トヨタは2025年2月14日、新型燃料電池システム（第3世代FCシステム）を開発したと発表した。
カーボンニュートラルの実現を目指す中で、トヨタは水素を重要なエネルギーと位置づけ、さまざまな業界のパートナーとの取り組みを進めてきている。だが、水素社会の実現に向けた動きを加速させるためには、燃料電池のさらなる進化が必要であった。
今回新たに開発したシステムは、特に水素社会をけん引する商用分野のニーズに応えることを目指し、ディーゼルエンジンに匹敵する耐久性を実現した。また、燃費をはじめとしたさまざまな性能向上と低コスト化を目指している。従来の乗用車に加え、大型商用車にもラインアップを拡大し、2026年以降、日本やヨーロッパ、北米、中国などの市場に投入する予定としているのだ。
なお、この第3世代FCシステムは、2月19日から始まる「H2＆FC EXPO（水素・燃料電池展）」で初披露される。
メンテナンスフリーでディーゼルと同等
トヨタは、2014年に燃料電池自動車「MIRAI」を発売し、30カ国以上の地域に約2万8000台を販売してきた。さらに2019年からは、FCシステムの供給を開始し、バスや鉄道、定置式発電機など、グローバルで100社以上に2700基を超えるFCシステムを供給してきた実績がある。日本では、東京都や福島県を中心に、多くのパートナーとともに商用分野の社会実装に向けた取り組みを進めている。
新たな第3世代FCシステムは、こうした実績や実証で得られた知見、長年蓄積した技術をもとに開発されている。
その特長は、耐久性能の向上（当社比2倍）だ。ディーゼルエンジンと同等とし、メンテナンスフリーを実現している。また、燃費性能の向上（当社比1.2倍）、航続距離を約20%向上も実現している。
FCのスタックではセル設計、製造プロセスの革新によるコストの大幅削減も果たしている。
また、第3世代FCシステムでは、乗用車向け、汎用向けの定置式発電機、鉄道、船舶向けなどに加え、大型商用車にも搭載できるように設計されている。乗用車向けでは、燃費性能の改善により航続距離が向上することで、長距離も安心して走行できる。
大型商用車向けでは、ディーゼルエンジン並みの耐久性や高出力を実現し、小型化することで、より容易にさまざまな商用車に搭載が可能になっている。
なお、従来のFCシステムでは発電を担当するFCスタックの量産性に課題があったが、この第3世代FCシステムでは、どれほど生産性が改善されているか注目したい。
