【不正行為】ランクル、ハイエースなどのディーゼルエンジンに不正行為。出荷停止【豊田自動織機】

トヨタのエンジンや車両を受託生産している豊田自動織機は2024年1月29日、トヨタ用ディーゼルエンジンの認証に関して不正行為が発見され、国土交通省をはじめとした監督官庁に報告した。そのため国土交通省は出荷の停止を命令している。

この調査は2023年3月に発覚した現行機種のフォークリフト、建設機械用エンジンの排出ガス性能に関する国内認証での法規違反について外部有識者からなる特別調査委員会による調査を進めてきた中で、新たな不正行為が発見された。

新たな不正が発覚し、会見で謝罪する豊田自動織機の伊藤浩一社長

豊田自動織機は、トヨタ車のRAV4の車両生産をはじめ、エンジンではランドクルーザー30/70、ハイラックス、ハイエースなどのディーゼルエンジンを受託開発・生産している。

その他にフォークリフト、建設機械用エンジン、船舶用エンジンを開発・生産している。また自動車用部品としてはエンジンのシリンダーブロックの生産、ターボチャージャーの生産も担当している。そしてエアコンのコンプレッサー、非ブリッド車用の電流コンバーター、車載充電器、ハイブリッド車用のバイポーラ型ニッケル水素電池の生産も行なうなど、トヨタとは幅広い範囲で深い関係にある。

最初に、2023年3月に明らかになったフォークリフト、建設機械用のディーゼルエンジンに関する不正は下表のようになっている。

そして各エンジンに対する認証時の不正行為は以下になっている。

フォークリフトなど産業用エンジンは2001年にトヨタとの間で機能集約を行ない、豊田自動織機が運営を行なうようになっていたが、産業車両用エンジンの排出ガス規制強化というトレンドを正しく認識できず、また発売日から逆算した後戻りできない開発スケジュール設定などにより、認証部署にのみ負荷を与えることになっていたという。

そして今回、新たにトヨタ、日野から開発受託している自動車用ディーゼルエンジンでも、豊田自動織機が担当する出力試験での不正が発覚した。

なお、自動車用ディーゼルエンジンは、トヨタ、日野が車両ごとに型式指定の申請手続きを実施しているが、豊田自動織機は出力試験を担当し、必要なデータをトヨタ、日野に提出しているが、試験の時に、燃料噴射量を調整し、出力/トルクカーブを見栄えの良いデータにするといった行為が判明したのだ。なお、出力の性能は抜き取り検査で、出荷基準値を満たしていることは確認されているという。

不正の具体例は、量産用とは異なるECUソフトを使用してエンジンの出力性能を測定し、測定する数値が安定するようにバラつきを抑えて報告する行為が行なわれていた。該当するエンジンが搭載された車両は、グローバルで10車種(うち日本6車種)となっている。

自動車用ディーゼルエンジンの不正に関しては、法規認証の専門部署がなかったため、法規への理解、法規が定めるルールの規則などの理解が不十分であり、さらに開発日程や担当人員の不足などの条件も加わっている。

■トヨタの対応

トヨタは認証時の不正行為が判明したエンジンが搭載された車両について、出荷を一旦停止することを決定した。今後、当局に説明を行ない、改めて立会試験などの適切な対応を進めるとしている。

国内は1月29日夕方以降のシフトから2月1日までの出荷停止を決め、2月2日以降は1日午後の時点で判断するとしている。この結果4工場6ラインが影響を受けることになる。海外工場では1月30日から出荷を順次停止する。こうした生産停止によって、影響を受ける台数は月産で換算すると世界で計3万6000台、国内で7000台となっている。

また国土交通省は報告を受け、1月30日に立ち入り調査を行なうことになっている。

トヨタ・グループとしては、日野、ダイハツ、そして今回の豊田自動織機と、いずれも型式認証に係る試験での不正が連続しており、いずれのケースも認証実験部署に人員不足、失敗、極端な短期開発、発売時期厳守により後戻りできない開発期間の設定、設計部門と認証部門のコミュニケーションの途絶など、共通した要因が横たわっており、真の原因には根深いものがある。

豊田自動織機 公式サイト

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