トヨタは2023年7月31日、電動車の普及が進む中国市場で競争力のある電動車を提供するため、その根幹である知能化・電動化技術の現地開発強化に取り組み、開発力を強化することを発表した。
まず、中国トヨタ最大のR&D拠点「トヨタ自動車研究開発センター(中国)有限会社」の社名を、8月1日付で「トヨタ知能電動車研究開発センター(中国)有限会社:Intelligent ElectroMobility R&D Center by TOYOTA (China) Co., Ltd」に改称する。
そして、中国における合弁会社のR&D拠点3か所、FTRD(一汽トヨタ)、GTMC(広汽トヨタ)のR&D、BTET(BYDとの合弁会社)のエンジニアなどをIEM by TOYOTA主導の開発プロジェクトに投入する。
電動化では、電動車全般(BEV・PHEV・HEV・FCEV)の現地開発を強化する。組織の垣根を越え、デンソーとアイシンもIEM by TOYOTAに参画し、電動パワートレイン開発を加速させる。
また現地メーカーに出遅れている知能化の面では、空間設計やAI活用を通じた、よりよいユーザーエクスペリエンスのためのスマートコックピットや、より中国の実情にあった自動運転・先進安全機能の現地設計・開発を加速、推進する。
電動化・知能化いずれについても、競争力強化に向け、「現地サプライヤーの開拓」、「部品設計の見直し」、「生産技術・製造モノづくり改革」の3分野での取り組みを通じ、製造コストの大幅削減に挑戦するとしている。
中国本部長の上田達郎氏
「中国の市場は類を見ないスピードで発展しています。トヨタとしても中国での生き残りをかけ、グループ一丸となり、仕事の仕方・意識の変革に取り組みます。IEM by TOYOTAを核に現地開発を推進することで、中国のお客様に喜んでいただける競争力のある商品をスピーディーに開発、提供することにチャレンジしてまいります。また、中国における開発成果や“学び”は中国だけでなく、グローバルにも還元してまいります」と述べている。
既報のように、2023年の上海モーターショーで、日本の自動車メーカーのソフトウエア先導型の新世代車両の開発が現地の中国メーカーに比べ遅れていることが明確になった。そうしたことを背景に、トヨタも中国での販売が2023年になって急激に落ち込んでおり、危機感が増している。
そのため、従来のような本社主導型の開発、現地における広州汽車、第一汽車との合弁による分散的な開発体制から、オール現地での開発、現地での部品調達という方向に舵を切り、開発、生産を加速させることを決断したわけである。