トヨタ自動車と東京都港湾局、一般社団法人の東京臨海副都心まちづくり協議会は2016年3月24日、臨海副都心内の公道(歩道)を使って、トヨタが開発するパーソナルモビリティロボットのWinglet(ウイングレット)の公道走行実証実験を開始すると発表した。
Wingletをはじめとする搭乗型移動支援ロボットの公道走行実証実験は、これまでは特区制度の利用により、茨城県つくば市や愛知県豊田市などで取り組まれてきた。しかし2015年7月にこれが全国展開され、同様の内容・要件にて実施可能になった。
そこで今回、国内でも先進的なエリアのひとつである臨海副都心において、この実験を新たに実施することが決定。なお臨海副都心は、全国展開後に当該措置によって実証実験を行なう国内初の地域となる。今後はトヨタや東京都などによる安全確認の試験走行を経たうえで、2016年4月下旬からは一般ユーザーを対象とする乗車体験会を開催していくとのことだ。
実験の概要としては、現行法令上では公道での自由な走行が認められていないWingletを、警察署の許可のもと特例的に走行できるように準備を進める。さらに一般ユーザーにも実際に乗車・見学する機会を提供して、歩行者との親和性や観光資源としての可能性などを調査・検証していくというものだ。
実験期間は2016年3月28日から2017年3月31日までの約1年間。なお3月28日から当面の間は試験走行とし、一般ユーザーの乗車体験会は4月下旬からの開催を予定している。この乗車体験会は毎月2日間程度(主として土日の2日間)の実施を予定しており、当面の間は1日あたり10名程度を募集する。参加費は無料だ。
なお開催日時や募集受付方法などは決定次第、臨海副都心にあるトヨタの展示ショールームであるMEGA WEBホームページに掲載する。
対象者はトヨタ発行の「Winglet Pass」を取得し、かつ原付免許を所持(普通自動車免許でもOK)していることが条件となる。またWinglet Passは、MEGA WEBで所定の運転教育などを受けた人に発行されるとのことだ。走行の概要としては、上の写真にように先頭と最後尾にスタッフを配置して、編隊を組んでの走行が予定されている。
なおトヨタでは、体の重心移動で走行するWingletを操る楽しさ(=ファンtoドライブ)を単に伝えるばかりではなく、「Winglet Pass」制度の中で走行時に必要な操作やスキルの修得、ルール&マナーの教育を並行して行なうことで、歩行空間で安全・安心にWingletが走行できる仕組みづくりを進めている。すでにWinglet Passの発行はMEGA WEB内で随時実施しており、これまでに600名を超える人が取得している。
トヨタは今回の実証実験などを通じて、Wingletを操る楽しさや使い勝手の良さをより多くのユーザーに実感してもらうことで、より街に溶け込んで、地域や観光の振興にも貢献できる新たなモビリティ社会の構築を目指すとのことだ。