トヨタの子会社でソフトウェアや今後のモビリティの開発を担当するウーブン・プラネット・ホールディングスが、世界有数のアメリカの配車サービス会社Lyft(本社 : 米国カリフォルニア州)の自動運転部門である「レベル5」を約5.5億米ドル(約598億円)で買収することに合意したと発表しました。
ウーブン・プラネットは2021年1月に旧トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)から移行して以来、初めての企業買収案件となります。
アメリカのリフト社は、Uber(ウーバー)社と並ぶ配車サービス、運輸ネットワーク企業で、通常のタクシー的なドライバーと乗客を結ぶ配車サービス以外に、同じ方角に向かう乗客同士のマッチングアプリ、好みの車両を乗客が選択できるアプリなど、クルマによる移動に関する多様なアプリを提供しています。
またUber社と同様に自動運転システムの開発も行なっており、それが「レベル5」です。その名称の通り、自動車メーカーとは違ってADASやレベル3の自動運転を飛び越し、レベル4以上のMaaS車両向けの自動運転システム開発を行ない、実証実験をしていることが特長です。またレベル5部門はかつてGM、フォード社、マグナ・シュタイヤー社と自動運転技術の共同開発を行なってきた実績も積み重ねています。
しかし、その一方で新型コロナウイルス感染拡大による配車サービスの低迷、Uber社など競合企業との競争激化があり、こうした背景が今回の買収につながったと考えられます。
今回のウーブン・プラネットの買収により、シリコンバレーにある自動運転技術開発会社「Toyota Research Institute, Inc.(TRI)」、そして今回のリフト社のレベル5が合流することで世界トップクラスの研究者とソフトウェアエンジニアから成る、約1200人のドリームチームができたことになります。
そして、世界トップクラスのエンジニア、研究者、モビリティ・サービスに関する深い専門知識を持つエキスパートから成るグローバルなチームの形成、センサー関連技術、コンピューター関連技術、ソフトウェアの資産に加え、自動運転システム開発に必要な戦略的能力が強化されることになります。
また同時に、現在ウーブン・プラネット本社が位置する東京に加え、パロ・アルト(米国サンフランシスコ:TRIの拠点)、ロンドン(英国)へと開発拠点が拡大されることになります。
ウーブン・プラネットとリフトは、リフトが持っているシステムと車両データを活用し、ウーブン・プラネットの開発する自動運転技術の安全性と商用化を加速させる協業にも合意しています。