トヨタは2020年12月7日、水素分野におけるグローバルな連携や水素サプライチェーンの形成を推進する新たな団体「水素バリューチェーン推進協議会」に加入したと発表しました。
「水素バリューチェーン推進協議会」は、地球温暖化対策で将来的に中心的な役割を果たすことが期待される水素について、今後も日本が世界をリードし続けるために、様々なステークホルダーと連携して取り組む団体です。
菅総理大臣が10月26日の所信表明で「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言し、今後はCO2大幅削減に向けて国を挙げて取り組むとしています。ですが、脱炭素社会の実現のカギを握るエネルギー源とされる水素エネルギーは、関わる業界が団結して課題解消に取り組み、業種の垣根を越える新しい団体として「水素バリューチェーン推進協議会」が誕生しました。
そのため、業種を超えて「水素バリューチェーン推進協議会」には民間企業9社(岩谷産業、ENEOS、川崎重工業、関西電力、神戸製鋼所、東芝、トヨタ自動車、三井住友フィナンシャルグループ、三井物産)が理事会員として参加しています。さらに80社以上が会員企業として加わる予定です。
「水素バリューチェーン推進協議会」は12月7日に都内で設立イベントが行なわれ、トヨタの会長・内山田竹志氏、三井住友フィナンシャルグループ会長・國部毅氏、岩谷産業 会長兼CEO・牧野明次氏、来賓として経産省の梶山弘志大臣。国際協力銀行・前田匡史総裁が出席して設立理念書の手交を行なっています。
日本は2017年に経産省を中心として水素基本戦略を策定し、この戦略に従って水素・燃料電池戦略ロードマップ、水素・燃料電池技術開発戦略が策定されるなど他国に先駆けて水素エネルギーの実現に向けての基盤を作ってきました。
そして現時点では、2017年時点の予測をはるかに上回り、2030年時点の国内での水素利用量を1000万トン規模とする目標を設ける調整に入っています。
菅総理大臣が表明した2050年の温暖化ガス排出実質ゼロを実現するには、CO2を出さない水素の大幅な活用が不可欠と考えられているのです。
こうした産業を横断した組織は、日本の水素エネルギー戦略をより加速させる原動力になると考えられています。
「水素バリューチェーン推進協議会」は、まず2021年2月をめどに政府に対して水素戦略加速のための提言を行なうことになっています。