トヨタの2月期事業実績から読む新型コロナウイルスの自動車産業への影響

世界を襲う新型コロナウイルス。自動車メーカーの工場では生産調整や工場封鎖など、多大な影響が出ており、その販売にも影響が出ている。2020年3月30日に各社から2月期の生産、販売実績のデータが公表されたが、世界の1位、2位を争うトヨタの実績から状況を俯瞰してみた。

2月期は各社とも中国市場での影響はあるが、欧州や北米ではまだ蔓延していなかったため、全体の数字でマイナスが目立つものの、3月以降ではさらに大きなマイナスデータとなることが予測できる。

トヨタ、ダイハツ、日野グループ全体でグローバルでの2月期の販売、生産、輸出実績は2ヶ月連続の前年割れ。国内販売(軽自動車を含む)は5ヶ月連続の前年割れだった。また、中国の販売だけを見ると76.1%減という新型コロナウイルスの影響が顕著に現れている。これは中国市場にウエイトの大きい日産、ホンダにも同様の減速が見られる。

トヨタ本社

一方、中国での生産を見てみると77.4%減という大幅な減産で、トヨタは武漢市、湖北省に工場はないが、中国政府からの指示とサプライチェーンの停止により大幅減少となっている。

そして日本の自動車メーカーは中国、北米の2大市場での販売シェア割合いが高いため、スズキ、マツダを除き5割以上の販売台数をこの2大市場で稼いでいる。特にスバルは7割以上が北米での販売のため、3月以降はさらに厳しい数字が並び、各社とも空前の危機に直面することになるだろう。

トヨタは、グローバルで多くの工場、販売店が活動を停止しており3月以降、新型コロナウイルスの影響で販売が大きく減少し、かつてないほどの規模で販売が激減すると予想している。そのため、銀行に緊急用の1兆円の融資枠確保を求めるなど、非常事態に突入している。

トヨタグループの日本とグローバルの販売実績

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