NTTは2019年11月20日、同社が開発した「インテリジェントマイク」、「音声認識」、「音声合成」技術と、NTTドコモが開発した「行動先読み」技術を、トヨタの電気駆動・自動運転&AI技術コンセプトカー「LQ」の車載AIエージェントに採用したことを発表した。
自動運転「東京臨海部実証実験」で運用
東京モーターショー2019に出展したコンセプトカー「LQ」は、自動運転、AI技術を搭載したコンセプトカーで、コンセプトカーとはいえ公道で走行することを前提に保安基準に適合させており、ナンバーを取得して公道走行が可能な実証実験車だ。
そのLQは、SIP自動運転プロジェクトの一大イベントとして2020年夏頃に実施される大規模な「東京臨海部実証実験」で公道を走行し、一般向け試乗会にも参加する予定だ。この実証実験は、トヨタはAIエージェントに「YUI(ゆい)」と名付け、「東京臨海部実証実験」で「YUIプロジェクトTOURS2020」を展開する。
NTTの「インテリジェントマイク」、「音声認識」、「音声合成」、ドコモの「行動先読み」技術が「LQ」のAIエージェント「YUI」に提供されるわけだ。実証実験では、乗員と「YUI」との会話コミュニケーションに「インテリジェントマイク」、「音声認識」、「音声合成」技術、さらに事前に公開されるスマートフォン・アプリから乗員の一人一人の趣味・嗜好を「YUI」に学習させるるために「行動先読み」技術が使用される。
また「LQ」の試乗拠点にはドコモが5G基地局を設置し、高速で安定した通信環境を提供することになっている。
NTTの技術の特徴
「インテリジェントマイク」、「音声認識」、「音声合成」は、NTTが長年培ってきたAI技術を結集し、自動車内における背景騒音を抑えながら、乗員の音声だけを抜き出し、深層学習を活用したDNN(ディープ・ニューラル・ネットワーク:Deep Neural Network)技術を駆使して、高い音声認識率と、人間の声に遜色ない合成音声を提供することができる。
「行動先読み」は、NTTグループのAI技術ブランド「corevo(コレボ)」のひとつで、ドコモが開発した「先読みエンジン」を活用し、日常の行動データからそのユーザの生活習慣や趣味・嗜好を学習することで行動を予測し、ユーザに合った情報を適切なタイミングで提供することを可能にする。
今後NTT、ドコモは、様々なパートナーとのコラボレーションを通じ、コネクテッドカーや自動運転車など将来のクルマがより豊かな体験を提供できるような技術開発に取り組むことになっている。