【トヨタ】TMG製「EV P002」がパイクスピーク EVクラス2連覇を目指して出場

ロッド・ミレンがステアリングを握るTMG製の「EV P002」

2013年5月7日、ドイツ・ケルンのトヨタ・モータースポーツ社(TMG)は、6月30日にアメリカ・コロラド州コロラドスプリングスで行われるパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに、EVクラスの2連覇を狙い、昨年よりさらに性能を向上させた「TMG EV P002」を出場させると発表した。

2012年のパイクスピークにおいて「EV P002」はEV新記録となる10分15秒380のタイムをマーク。このマシンは今や全世界のEVレースカーのベンチマークとなり、全くキャラクターの異なるパイクスピーク(ヒルクライム)とニュルブルクリンク北コース(サーキット)の両方でEVによる最速記録を打ち立てている。

今回パイクスピークに出場するマシンは、アメリカのノースカロライナ州サリスベリーにあるTRD-USAのファクトリーへ運ばれており、テスト走行に加えてラディカル社のベースシャシーに空力面の改善を施し、さらにパフォーマンスを向上させる計画だ。

EV P002でパイクスピークにアタックするドライバーはロッド・ミレン。これまでパイクスピークで数々の新記録を打ち立て、またトヨタのレーシングカーでかつて何度もレースを戦ったことのある61歳の経験あふれるニュージーランド人のドライバーだ。

ロッド・ミレンがさらに改良されたハイテクレーシングカーのステアリングを握り新しいレコードタイムを狙うことになる。現在、ファクトリーでは2012年のパイクスピークにおけるEVクラス優勝の実績をベースに19.99kmのヒルクライムコースに適合させるべく、パワートレーンのチューニングを行ない、モーターの回転数とトルクを向上させている。さらにTMGのサポートスタッフは、昨年TRD-USAのスタッフをアシストした経験を活かし、決勝日に先立つプラクティスウィークで、パワートレーンチューニングの最適化を行う予定だという。

レース現場で急速充電を行うTMGのDCクイックチャージャー

バッテリーチャージャーは、今回もまたシュナイダーエレクトリック製のEVlink DCチャージャーを使用し、画期的なバッテリーからバッテリーへの充電技術を使用する予定だ。

このシステムは信頼できる充電インフラがない場所でも、TMG EV P002への充電が可能となるもの。トヨタ・ハイエースの荷室部分に置かれたTMGのDCクイックチャージャーシステムは、42kWのリチウムイオン電池を装備しており、AC充電施設から同チャージャーシステムに充電ができるようになっている。一晩の充電の後、このクイックチャージャーはEVに対して急速充電が可能となる。

このTMGのDCクイックチャージャーは、様々な電流・電圧を供給することができ、どんな場所でも急速充電が可能な独立型の充電器で、EVモータースポーツには最適といえる。

TMG戦略EV開発エグゼクティブ・コーディネーターのクラウディア・ブラス氏はパイクスピーク挑戦を前に、こう語っている。

「我々は米国のトヨタの仲間たちと共に、再びパイクスピークに戻ってこられることを大変嬉しく思う。TMG EV P002は、過去3回の走行チャレンジで、いずれも他車に未だ破られていない3つの新記録を樹立しており、我々はこの高い水準を維持してきている。今回さらに高いパフォーマンスをもたらすべくパワートレーンに加えた改善によって、EV P002はEVレースカーの新たな基準となることであろう。 一方、レースカーのパワートレーン開発とともに、充電インフラの分野においても、我々は革新をもたらすことに成功した。設備の整った実験施設などでは当然のことではあっても、モータースポーツの現場においては必ずしも理想的な充電環境が整わないことが多い。つまり、充電インフラの性能が違ったり、あるいは固定的な充電設備が確保できるか分からない、といった悩みに対応しなくてはならない。 TMGの独立式のバッテリーからバッテリーへの充電技術は、特に、充電インフラの関係でEVレーシングカー充電が悩みの種となるEVモータースポーツの世界では大変優れているものである。我々のシステムは様々なEVレーシングカーや一般EVにも適用可能である。パイクスピークでは車両、充電施設の両面からEV技術をお披露目できることを楽しみにしている」

トヨタ・モータースポーツ社(TMG)公式サイト

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