【トヨタ/BMW】BMWグループとトヨタが協業に関する正式契約を締結 共同研究も開始

雑誌に載らない話vol62

2社は協業に関する正式契約を締結

2012年6月29日の既報記事のようにトヨタとBMWは業務提携の覚書の内容を煮詰めてきたが、2013年1月24日、BMWグループとトヨタは、サステイナブル・モビリティの実現に向け、長期的な戦略的協業関係構築の一環として、「燃料電池(FC)システムの共同開発」、「スポーツカーの共同開発」、「軽量化技術の共同研究開発」に関する正式契約を締結したと発表した。

また両社は、2012年年3月に開始した次世代リチウムイオンバッテリー技術に関する共同研究について、第2フェーズとして、ポストリチウム電池であるリチウム空気電池技術の共同研究を開始することで正式契約を締結した。

今回の主な契約内容は以下のようなものだ。
1)燃料電池システム
BMWとトヨタは、ゼロエミッション社会の実現に向け、FC技術の普及を共通の目標とし、中長期的な協力を進めていく。2020年を目標に、両社の技術を持ち寄り、FC車の普及拡大を目指し、FCスタック・システムをはじめ水素タンク、モーター、バッテリーなど、FC車の基本システム全般の共同開発を行う。また、FC車の普及に必要な、水素インフラの整備や規格・基準の策定に向け協力していく。

トヨタが開発した実用タイプの小型燃料電池スタック

2)スポーツカー
両社はミッドサイズのスポーツカーに搭載する共通のプラットフォームのコンセプトを決定するためのフィージビリティ・スタディを開始することで合意。お客様によりご満足いただけるよう、両社の技術と知見を高いレベルで融合していく。このフィージビリティ・スタディは本年中に完了する予定。その後、両社は、スポーツカーの共同開発に向けた将来の更なる協力について検討していく。

3)軽量化技術
強化樹脂など先端材料を活用したボディ構造の軽量化技術の共同開発を行っていく。成果は共同開発するスポーツカーのプラットフォームや両社の他の車種にも織り込む予定。

4)ポスト・リチウムイオンバッテリー技術
エネルギー密度や燃費の面で、現在のリチウム電池の性能を大幅に超えるリチウム空気電池を共同研究する。

↑トヨタが先行研究しているリチウム空気電池

BMWのノベルト・ライトホーファー取締役会会長は、「トヨタとBMWグループは将来の持続可能なモビリティの実現に向けた戦略的ビジョンを共有している。これから迎える技術的な変革期により、自動車業界全体が大きなチャレンジに直面するが、同時に好機でもあると認識している。今回の協業は、両社の今後の継続的な発展にとり、重要な礎になると確信している」と語った。

トヨタの豊田章男社長は「提携合意から約1年、日々BMWとの信頼関係が強固なものとなり、着実に次のステップへ進み続けていることに感激している。ここからはいよいよ成果を出していくフェーズ。今後、具体的な共同開発の中での「学び」を大切にしながら、「もっといいクルマづくり」という共通の目標に向かって、両社で切磋琢磨していきたい」と語った。

両社は2011年12月に、次世代環境車・環境技術における中長期的な協力関係の構築に合意。その段階で、BMWからトヨタモーターヨーロッパへのディーゼルエンジン供給について合意している。

燃料電池車に関しては、トヨタの開発が先行しており、トヨタは2015年に市場投入を予定している。今回の契約ではトヨタの市場投入後のより本格的な量産化を前提とした共同開発を目指していることがわかる。一方、ミッドサイズのスポーツカーの共同開発に関してはかなり具体的で、おそらくレクサスブランドの200ps級のスポーツカーと推定され、開発・製造は「86/BRZ」方式ではないだろうか。つまり、トヨタが企画、BMWが開発・製造という方式が想像できる。

BMWが実現したしたカーボンボディの量産製造技術

軽量化技術に関しては、金型を使用した量産向けのRTM製法を開発したBMWのカーボンコンポーネンツの製造技術は、自動車メーカーでは突出しており、トヨタがその技術を吸収する立場にある。またトヨタは現状のリチウムイオン電池はコストを下げることは困難と考え、次世代のリチウム空気電池、全固体電池などの先行研究を行っており、BMWは次世代電池に関してトヨタと共同開発を行う考えであり、すなわち次の次を考えての協業といえる。また、多くのマスコミが2012年の時点で伝えたトヨタのハイブリッド技術をBMWに供与するという情報は誤りであること明確になった。BMWすでに独自のハイブリッド技術を展開しており、トヨタTHS-Ⅱには魅力を感じていないのである。

トヨタ公式サイト
BMWグループ公式サイト

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