トヨタ自動車は2015年10月26日、次世代交通システムHa:mo（ハーモ）の取り組みの一環として、沖縄県本部（もとぶ）半島で観光客を対象にして、トヨタ車体製COMSのシェアリングサー ビス「ちゅらまーいHa:mo」の実証実験を2016年1月中旬から12月末までの約1年間にわたって実施すると発表した。
本実証実験には新開発された「おすすめルート案内」機能付きタブレットを観光地モデルとして初めて採用。本部町観光協会と今帰仁（なきじん）村観光協会、さらに JTB グループとも連携して、地域の魅力を最大限活かした新たな観光ルートの発掘などにより、同地域の観光振興や着地型観光の取り組みを支援することも目指している。
ちなみに本部半島は美ら海（ちゅらうみ）水族館をはじめ、今帰仁城跡、古宇利（こうり）島など、県内有数の観光施設・スポットを有し、これら施設を訪れる観光客数は堅調に推移している。一方、これとは対照的にこの地に宿泊する旅行者の割合は近隣の恩納村（おんなそん）などに比べ低迷している。自然・環境に配慮したまちづくりの推進や、域内を自由に回遊できる「新たな移動の足」の確保など、観光の活性化を柱とした地域振興が目下の課題とのことだ。
「ちゅらまーい Ha:mo」は、こうした状況下のひとつの試みであり、宿泊施設などにシェアリング車両としてCOMS30台を配備。COMSには新開発アプリ「おすすめルート案内」機能付きタブレット端末を搭載する。地域の魅力の再発見につながる推奨スポットを結ぶ新たな観光コース（「日本にここだけ！円錐カルスト台地散策コース2時間」や「世界遺産今帰仁城跡と集落散策コース4時間」など）を提供し、スポット情報付きアプリによるルート案内を行なう。
特に超小型モビリティの導入により、車では乗り入れしにくい狭い道や自転車などでは敬遠される坂道を含むエリアへのアクセス性が高まったことで、従来は訪れる機会がなかった地域の魅力が詰まった場所や自然・景勝地などにも、滞在中の限られた時間を使って効率的に回遊することを可能としている。
なおシェアリングサービスの運営は地域の魅力向上に向けた取り組みの一環として、地元の観光協会が中心に行なう。一方で充電器の設置および旅行プランの商品化は JTB グループが担当する。そして旅行者は、所定のホテルや JTB グループの旅行予約サイトなどから利用登録を行なう仕組みとなっている。
本実証実験は、超小型モビリティ導入による近距離移動における回遊性向上と観光地としての魅力づくり、および観光客と地域の人々との交流増による地域振興・活性化などについて、ハーモ導入による効果とその有用性を検証する。またトヨタとしてはハーモの観光地モデルとしてのノウハウを蓄積し、沖縄県内の他地域への展開の可能性も模索していく。
