【トヨタ】カローラのライバルはカローラ! アクシオ1.5L試乗記

マニアック評価vol123
環境性能を磨き上げたカローラ・シリーズの主役

11代目となる新型トヨタ・カローラの主力モデル、1.5Lエンジンを搭載したモデルが2012年6月11日に発売され、先ごろメディア向け試乗会が行われた。

カローラ・アクシオ1.5LUXUEの画像
カローラアクシオ1.5LUXUE画像

カローラ・アクシオ1.5LUXUEエンジンの画像

新型トヨタ・カローラの1.3Lと1.8Lエンジン搭載モデルは一足早く5月に発売されていたが、ようやく主役が発売された。これまで、カローラの中心となっていたのは1.8Lを積むモデルであったが、今回から1.5Lへとダウンしている。エンジン型式では変化を読み取れないが、新型カローラの1.5Lエンジン、1NZ-FE型は新型といっていいほど変化している。特に環境性能を中心に省燃費、高効率を中心とした改良が加えられている。

その結果、セダンの1.5Lカローラアクシオの2WDではJC08モード20.0km/L、ワゴンモデルのフィールダーは同19.6km/Lという省燃費になっている。さらに、オプションではあるが、アイドリングストップ機能付きのモデルであれば、アクシオが21.4km/Lでフィールダーが21.2km/Lというスペックになる。

新型カローラのアイドリングストップ機能付きは「平成27年度燃費基準+10%」を達成し、環境対応普及促進税制と自動車グリーン税制の減税措置の対象モデルとなっている。

カローラアクシオ1.5Gの画像
カローラアクシオ 1.5G

試乗の機会を得た新型カローラの1.5Lモデルは、アイドリングストップ機能付き。豪華装備のLUXELと中間グレードの1.5Gに乗ってみた(標準グレードは1.5X)。新型カローラは「大人4人が安心、安全、快適に長距離を移動できるミニマムサイズのクルマ」をテーマに開発されているので、早速その乗り味をレポートしよう。

カローラアクシオ1.5LUXUE画像

カローラアクシオ1.5LUXUE画像カローラアクシオ1.5LUXUE画像

カローラアクシオのディメンションは全長4,360mm×全幅1,695mm×全高1,460mm(4WDは1,485mm)。先代カローラより50mm短くなっている。最小回転半径も4.9mと市街地でも扱いやすいサイズに変更されている。ホイールベースは先代カローラと同じであることから、オーバーハング部分を短くして実際の使い勝手を上げているということだ。

カローラアクシオ1.5LUXUEコクピット画像カローラ室内画像

新型カローラの車内に乗り込んだ第一印象は「広い」と感じる。運転席まわりも余裕があり、インパネやコンソール、ダッシュボードなど直線基調でワイドな広がりを感じさせるデザインだ。そしてフロントウインドウもキャビンフォワードとはせず、運転視界が広いというのも車内を広く感じさせる要因かもしれない。フロントウインドウは大きくサイドまで回りこみ、視界の広さから安心感や扱いやすさなどが感じられ、好印象だ。

室内の質感も悪くない。トップグレードのLUXELはもちろんだが、中間の1.5Gでも好印象なインテリア。樹脂素材にエンボス加工や布を貼り付け、素材感を消す工夫がされているので、見た目の印象がいい。レザー巻きのステアリングは高級感もあるが、プリントの木目デザインは好みが分かれるところだろう。

カローラアクシオ1.5LUXUEフロントシート画像カローラアクシオ1.5LUXUEリヤシート画像

フロントシートは大きく、ソフトな座り心地。上下のシート調整とステアリングが前後に動くテレスコピック&チルトもあるので、ポジションはどんな体型の人でもフィットできるだろう。リヤシートでは座面長が十分とまではいかないが、中高年の平均的な体型を考慮すると上手い具合のサイズだ。膝前のスペースも前モデルと比較し+40mm拡大し、ゆとりのある後部座席をもっている。

シート生地は全てファブリックでレザー仕様は設定されていない。しかし、トップグレードのLUXELには運転席ベンチレーション&シートヒーターが標準装備され快適だ。ただ欧州車のように、シートバックサイドにフレームがしっかり入り、横への旋回Gが加わったときでもホールド性をキープするといった種類のシートではない。新型カローラは国内専用であり、中高年がターゲットというトヨタの割り切りを感じる。

カローラアクシオ1.5LUXELコクピットまわり画像カローラアクシオ1.5LUXELメーター画像

メーター類の視認性では中央に大きめの速度計があり、左に回転計、右に燃料計。デジタル情報もメーター内に表示されるので、インフォメーションは十分認識しやすい。空調やオーディ類もトヨタらしく、使い勝手のいい配慮がされている。

ユーザーの好みを知り尽くしたクルマ作り

カローラアクシオ1.5LUXUEフロント画像カローラアクシオ1.5LUXUEリヤ画像

走り出してまず感じるのは、車内がとても静かなことが好印象だ。路面状況にもよるが滑らかに、スムースに走ってくれ、中高年がクルマに要求する性能の上位にある「静粛性」を高めているのはさすがだ。

1.5Lエンジンは4000rpmを超えると車内に入る音が大きくなる。高速の合流などでアクセルを踏み込むと、CVTのネガな部分が顔を出し、6000rpmに維持されたまま車速の伸びをじっと待つことになる。

アクセル全開という運転をトヨタは想定していない。ユーザー層から考えると、アクセルもブレーキも、そしてステアリング操作も全てゆっくり、穏やかに操作するのが前提であるとすると、加速時のレスポンスはもう少し欲しい。アクセルペダルをせいぜい20mm程度しか踏み込まない運転だとすれば、そこである程度の加速力は欲しい。

高性能なスポーツ車ではアクセルの早開きは嫌われるが、車種や想定ユーザー層を考慮したセッティングも可能ではないだろうか。もちろんやりすぎてはダメだが。

反面、ブレーキはそのような設定に近い。ソフトタッチでの制動は十分に車速を減速していると感じる。ブレーキ側と同じようにアクセル側も加速すれば、加減速がリンクした乗り味となる気がする。現在のセッティングはややトルク感の薄い印象。フィーリングの変化はCVT次第だろう。

シフトレバーで気になったのが減速用のBモードだ。一般的にDレンジの下側は通常「L」や「2」と表示されているモデルが多いと思う。しかし、新型カローラは「B」表示になっている。これはブレーキの意味だろうが、広義でブレーキと捉えると、高速運転中に「B」へシフトしないだろうか?つまりエンジンブレーキとして。CVTであるからそれでも対応できるといえばそれまでだが、中高年のユーザー層を想定すると「L」や「2」のままでよかったのではないだろうか。

トヨタはハイブリッドのプリウスで「B」モードを設けている。プリウスの場合はジェネレーターの強制始動用レバーなのでスイッチタッチになっている。だが実際はエンジンブレーキのように働くので「ブレーキ」と認識が一般化した。その次のアクアでは、「B」をスイッチではなくブレーキモードとして利用してもらうために、ミッション車のエンジンブレーキと同じようにシフトゲートの中に配置し、スイッチタッチを廃止している。そして新型カローラでは通常のミッションに「B」を設置し、ハイブリッドも通常のトランスミッションもエンジンブレーキは「B」を使用するという認識で統一しようとしているのだろう。

ステアリングの反応は穏やかだ。レスポンスに対する比較対象や判断基準が違うと、新型カローラは反応が鈍いと評価する向きもあるだろう。だがターゲットユーザーを考慮すると、ちょうどいい塩梅なのだろう。トヨタによれば先代カローラよりクイックなギヤ比としているということだが、実際は穏やかで急激に反応することもないので、操作に不安はない。こうした新型カローラの味付けは明快で割り切りが感じられ、ターゲットユーザーを意識したと評価すべきだろう。

カローラアクシオ1.5LUXUEタイヤ画像

乗り心地では、車内の静粛性も手伝ってソフトで穏やかな乗り心地だ。ただ凸凹や継ぎ目などを乗り越えるときは硬い入力がある。最近の流行である低転がりタイヤのエコタイヤの影響なのか、それとも試乗車が新車であるためサスペンションまわりのしぶさが残っているのか不明だが、そこが少し気になった。しかし、全体ではソフトで好印象な乗り味である。通常の速度でのコーナリングではゆっくりとロールし、ロール速度も一定だから安心感がある。

アイドルストップは必要な場所できっちり止まってくれる。「止まれ」の一時停止でエンジンが止まってしまう輸入車もあるが、新型カローラは賢い。意図に反してアイドリングストップするようなことはない。再始動もブレーキを離せばすぐに始動する。ステアリングを回してもエンジンはかからない。しかしパワーステアリングは稼働している。このあたりのよし悪しはトヨタがいろいろなユーザーからの声を反映し、より理想的な装備へと進化させていくだろう。それにしてもアイドルストップがオプション設定という部分に疑問は残る。

こうして試乗を終えると、中高年というターゲット層が求める性能をトヨタはよく理解していると感じる。闇雲に欧州車を比較対象とせず、ライバルは在来カローラであり、カローラを超えるのはカローラであるという造りが興味深かった。

 

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カローラアクシオ1.5LUXUE価格表画像

トヨタ自動車 カローラアクシオ公式サイト

トヨタ自動車 カローラフィールダー公式サイト

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