2012年6月7日、ドイツ・ケルンにあるトヨタモータースポーツGmbH(TMG)は、7月8日にアメリカのコロラド州パイクスピークで開催されるヒルクライムに、同社が開発した高性能EVで出場することを発表した。
TMGは従来からスポーツカー用の電動パワートレーンを開発しており、2011年には公道走行が可能なナンバー付きプロトタイプカー「TMG EV P001」でニュルブルクリンク北コース(ノルトシシェライフェ)でタイムアタックを行い、EVのコースレコードを記録している。
その後TMGの電動パワートレーン部門はTMG EV P001の次期型用に、よりパワフルで信頼性の高い高出力パワートレーン・ユニットの開発を行った。そして、新たに開発された「TMG EV P002」が、日本の株式会社RK1が推進するプロジェクト「哀川翔ワールドラリーチーム」に提供され、奴田原文雄選手がステアリングを握ってパイクスピーク・ヒルクライムに参戦することが決定したのだ。
TMG EV P002はP001と同様にイギリスのラディカル社のシャシーをベースに開発され、ツインモーターを搭載して350kW(476ps)を発生し、最高速は240km/hと想定される。なお、TMG EV P002はトランスミッションは使用せず900Nmの最大トルクを発生する。
パイクスピークは、標高2800m地点からスタートし標高4300mまで登坂するため、EVにとっては気圧変化に左右されず有利な条件といえる。TMG EV P002はすでに5月にポールリカールでテストを行い、満足すべき結果が得られているという。
今回のパイクスピークは、すでにEV出場車として三菱i-MiEVエボリューション、モンスターモータースポーツ、横浜ゴムEVチャレンジが名乗りを上げており、激戦の様相になっている。なお、横浜ゴムは自社のEVチャレンジ以外に、TMG EV P002に横浜タイヤのアドバン「 A048」を供給する。