【トヨタ】目指すべき新型カローラの原点とは? ダウンサイジングの価値

カローラ・アクシオ 1.5Xの画像
カローラ・アクシオ 1.5X (2WD・M/T)
カローラ・フィールダー 1.8S AEROTOURERの画像
カローラ・フィールダー 1.8S AEROTOURER

 

2012年5月11日、トヨタは新型カローラ・アクシオ、カローラ・フィールダーを発売した。新型のシリーズ型式名はE160(1.3L)/E161(1.5L)/E162(1.8L)となった。
今回の新型カローラは11代目にあたるが、初代カローラの原点に帰り、「大人4人が、安心・安全、快適に長距離を移動できるミニマムサイズのクルマ」を目指し、「ビッグスペースコンパクト」を開発コンセプトにしたという。このコンセプトに従い、ボディサイズをやや縮小し、エンジンのラインアップも見直された。従来型では1.5Lと1.8Lエンジンのラインアップであったが、アクシオは1.8Lエンジンを廃止して1.3Lと1.5Lに、フィールダーはこれまで通り1.5Lと1.8Lだが、従来の車種展開は1.8Lがメインであったのに対し、今回は1.5Lがメインとされている。

カローラ・シリーズは、従来型のE140/E150型から海外仕様と日本仕様で異なるプラットフォームとなっているが、今回の新型も日本専用のBプラットフォーム、つまりヴィッツ、ベルタなどに採用されているA〜Cセグメントをカバーするフレキシブル・プラットフォームを採用する。

また、これまでカローラ・シリーズはトヨタ・高岡工場、セントラル自動車、関東自動車で分散生産されてきた。しかし、2012年7月にトヨタ自動車東北と東北地方に移転したセントラル自動車、さらに関東自動車が合併してトヨタ自動車東日本が誕生する。そのため、東北を、愛知、九州に次ぐ第3の生産拠点にするというトヨタの新戦略に従い、今回の新型カローラから宮城県のセントラル自動車での生産に一本化される。

すでにアクアが岩手県の関東自動車で生産されており、これらを統合したトヨタ自動車東日本がコンパクトカークラスの車両企画、開発から生産まで一貫して行う総合車両メーカーとして機能することになるのだ。ちなみに宮城工場(セントラル自動車)は、ヤリス、ベルタとカローラ・アクシオ、フィールダーの4車種で年産12万8000台を計画している。なおカローラ・アクシオは月販3000台、フィールダーは月販4000台が目標台数となっている。そのうちアクシオは40%、フィールダーは30%で法人需要が見込まれているという。

カローラ・アクシオの画像カローラ・フィールダーの画像

新型カローラは、従来型と比べホイールベースに変更はないが、全長はフロントオーバーハングが60mm縮められ、アクシオ、フィールダーともに4360mmに。その一方で、ラゲッジスペースの拡大をはかると同時に、前後シートのヒップポイントを高め、リヤ席のひざスペースを拡大するなどパッケージングの改良で使いやすさを向上させている。

デザインでは、アクシオはやや保守的ながらカローラらしい車格感を表現し、フィールダーはスポーティさ、アクティブさを打ち出している。インテリアも同様で、アクシオは上級グレードには樹脂トリム表面にファブリック材を貼り付け、フィールダーはカーボン調のトリムにしている。

カローラの画像
↑カローラ・アクシオ 1.5G (4WD・CVT)
カローラの画像
↑カローラ・アクシオ 1.5X (2WD・M/T)

 

カローラの画像
↑フィールダー 1.5G (2WD・CVT)
カローラの画像
↑フィールダー 1.8S AEROTOURER (2WD・CVT)

最小回転半径はこれまでの5.1mから4.9mへと小回り性もクラストップレベルに向上させている。また、斜め前方視界も改善されている。それはフロントガラスの曲率を大きくし、Aピラー位置を後退させ、さらにドアミラー位置を工夫することで、フォワードキャビン・デザインの欠点であるAピラー周囲の視界を向上させているのだ。

カローラの画像
1.5G、1.3Xのドライブモニター付きメーター
カローラの画像
Aピラー付け根、ドアミラー周囲の形状の改良で斜め前方視界を改善

カローラ・シリーズのユーザーは幅広い年齢層で、法人ユーザーも少なくないことから、誰にでも扱いやすい、ユニバーサルデザインも追求されている。特に操作系の配置やスイッチ表示などが直感的に認識できるようにしてあるのだ。

エンジンは、アクシオが改めて設定した1.3Lの1NR-FE型、1.5Lの1NZ-FE型、フィールダーは1.5Lの1NZ-FE型と1.8Lの2ZR-FAE型というラインアップだ。

1NR-FE型はiQやヤリス、ヴィッツ、ラクティスに搭載されており、扱いやすさと経済性を狙ったベースエンジンだ。吸排気にVVTi(可変バルブタイミング機構)を装備。出力は95ps/121Nmで、燃費は20.6km/h(JC08モード)。従来から設定されている1NZ-FE型は改良され、フリクションを低減させている。出力は109ps/136Nm。なおこのエンジンのみアイドリングストップ仕様(1.5L/CVT車にメーカーオプション)も設定されている。燃費はFFのアクシオ/CVTで20km/L、フィールダー/CVTで19.6km/L、アクシオのアイドルストップ付きで21.4km/L(いずれもJC08モード)となっている。

フィールダーに搭載される2ZR-FEA型はデュアルVVTiと吸気バルブ連続可変リフト(バルブマチック)を採用したエンジンで、140ps/172Nmを発生する。燃費は16.6km/L(JC08モード)。

カローラの画像
↑INR-FE型エンジン
カローラの画像
↑1NZ-FE型エンジン
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↑2ZR-FAE型エンジン

 

トランスミッションでは1.3LはCVTのみ、1.5Lは5速MTとスーパーCVTiが設定され、1.8LはスーパーCVTiのみという設定だ。スーパーCVTiは今回改良され、加速時のレスポンスを向上させリニア感を高めている。また1.8L用のスーパーCVTiは7速マニュアルモードも装備する。これまで通り、1.5Lエンジン車には電子制御アクティブトルクコントロール式4WDも設定される。これは寒冷地向けの4WDモデルとして設定されている車種だ。

サスペンションはフロントがストラット式、リヤはトーションビーム式。ステアリングは電動パワーステアリングを採用。サスペンションは安定性の向上と滑らかな走りを目指している。フィールダーの電動パワーステアは、切り始めからよりダイレクトで軽快感のある操舵フィーリングを目指してチューニングされているという。

カローラの画像
ミラー全面のオートマチックハイビームカメラ

装備面では、今回からカローラ・シリーズ全車がVSC+TRC(ESP)と、カーテンシールドエアバッグを含む6エアバッグが標準装備化されている点は特筆に価する。さらにHIDビューアシストパッケージ・オプション(1.5LUXELのみには標準装備)として、HIDヘッドライト、オートマチックハイビーム、自動防幻眩ミラー、自動点灯・消灯ライトが9万2400円で設定されている。

オートマチックハイビームは、室内のバックミラー前面に装備されたカメラにより前方の明るさを判定し、ハイ/ロービームを自動切換えするシステムだ。

快適装備としては、ナノイー(水蒸気に包まれたイオン)発生機能も備えられている。肌に優しく、脱臭、ウイルス殺菌効果が得られ、運転席側のエアコン吹き出し口から放出するようになっている。(1.5Xのみメーカーオプション。他グレードは標準装備)

またフル装備車の1.5LUXELの運転席にはベンチレーションシートが装備される。シートバック、座面から送風機能を持ち、温風も送ることができる。

今回登場した新型カローラ・シリーズは技術的な進化は見られないが、コンセプト的に原点に帰り、幅広いユーザーにとっての使い勝手のよさ、扱いやすさを熟成させたと位置付けることができる。

カローラの画像カローラの画像カローラの画像

↑カローラ・アクシオ1.3X     ↑フィールダー1.5G        ↑価格表

トヨタ公式サイト

COTY
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