【トヨタ86/スバルBRZ】トヨタ86 もうひとつの86開発ストーリー スポーツカーはカルチャーだ

雑誌に載らない話vol40
トヨタは2012年2月に86(ハチロク)を発表し、4月6日から販売開始となる。この86は発売前から多くのクルマ好きから注目を集め、どんなクルマなのか興味をそそられているモデルだ。トヨタはその86の販売をきっかけにして、新たなブランド、ビジネスモデル、そしてカルチャーとして浸透させるプログラムをつくり、メーカーとユーザー、そしてチューナーとの距離を近づける活動を始めている。

ワンメイク仕様
Nゼロレースも企画。ナンバー付き車両でワンメイクレース開催構想も。

では、どんな活動が始まったのか?というプレゼンテーションは3月下旬に開催されたメディア向け試乗会場で、車両概要説明と同時に行われた。そこで説明されたのは、Apple社のiPhonを例に出し、「iPhonだけではつまらない。この商品をより魅力的にしているのはiTunesとさまざまなアプリがあるからです」と話をするのは、トヨタ86の開発責任者の多田氏(製品企画室・チーフエンジニア)。

トヨタはそれに習い、新しい観点でクルマが楽しめるハード・ソフト両方の開発が進んでいることを明かした。まもなく86というクルマが発売されるが、それはまだ1/3を見てもらっているに過ぎないとも言っている。これからそのブラックボックスが稼動し、アプリが揃い、ユーザーはクルマだけでなく、さまざまな楽しみ方ができる世界をトヨタは構築し始めたということだ。その上段に構えるテーマは「スポーツカーカルチャー」である。

そして、その側面には、これまでの自動車産業は台数販売を伸ばすことで成長してきているが、国内では、その台数は人口の減少により、今後伸び悩むことは間違いない。そのためにも、クルマを買ったときからメーカーとユーザーとの間で、新しい関係をつくり、そこからも収益を確保するようなモデルがなければ、自動車産業そのものの成長が見込めないと判断したのだろう。

では、具体的には一体なにを始めたのだろうか。それは7つの構想から成り立っているが、これは一メーカーからの提案であるとも付け加えていた。

峠カルチャー(峠セレクション、86PIT HOUSE、リッジリクエスト)
86で走りたい日本の峠をセレクトし、情報を共有する。ユーザーと一緒にさまざまな基準でセレクトして、ユーザー同士でシェアし楽しむものにする。その基準は、
・道と自然とが美しく調和しているか。
・健全な大人が楽しくドライブを楽しめる施設があるか。
・高速道路からのアクセス。
・パーキングなどでのコミュニティの充実度。
など、多くの視点からセレクトする。そしてフェイスブックのチェックインに似た機能を使った、マイレージサービスなどが可能となるような「リッジリクエスト」というあらたなサービスの展開も予定している。つまり、いくつの峠を制覇したのかなどの楽しみ方ができるわけだ。

86PIT HOUSE
・健全な大人に開かれたたまり場を提供。
・オーナーだけでなく、クルマ好きがあつまれる場所を提供。
それが「86 PIT HOUSE」構想。

フォトカルチャー
自ら走る姿をとらえるという新しい取り組みで、アマチュアでは撮ることのできない迫力ある写真を友人とシェアして欲しいという目的で、
・ベストアングル、ベストポイントで撮影できる仕組み。
今夏からサービスを提供できる予定としている。

サーキットカルチャー
スクールプログラムとして、これまでサーキット走行は敷居が高く感じられているが、できる限り敷居を低くし、気軽に友人同士が参加できるような、休日のスポーツとして参加できるようなものへ成長させるプログラムだ。今夏8月ごろから初心者向けの体験走行を開始し、参加の様子をみながら、やや上級編のワンメイクレースを2013年ごろから開始したい、としている。
・メカではなく、運転のウデで走らせる86だからこそ。
・走る楽しさをより深く感じてもらうためのプログラム。
・安全走行や大人の運転マナーも広げていく。
・スポーツカーをより上質なカルチャーに底上げしてくプロジェクトとする。
86ワンメイクレース
・ナンバー付き車両で、そのクルマでサーキットまで来場し、また帰るという手軽さ。

ネットカルチャー(86コミュニティ、CAN-ECU)
世界中のファンが集まれるコミュニティとして「86ソサエティ」をインターネット上のサイトに構築し、ファン同士の交流の場とする。
オフィシャルサイト http://Toyota.jp/86/
Facebook

グランツーリスモ5
プレイステーションで自分の走りが再現でき、攻略法も学習できる?

CAN-ECU
86の走行データをUSBにダウンロードし、自分の走行が再現できる楽しみ。例えばFSW(富士スピードウエイ)を走った走行データをプレイステーションのグランツーリスモ5に接続し、CGでリアルに再現。自分の走行シーンを外から見ることができ、また、インカーで、どのタイミングでハンドル操作をしたのか、などリアルに再現できるという仕組みだ。また、同じコースをトヨタのプロドライバーと比較することもできるようなサービスの展開を進めている。

カスタマイズカルチャー(86カスタムサポート)
愛車をカスタムする悦びをサポート。カスタムされることが前提の「RC」グレードが用意され、トヨタの販売店でカスタムパーツが販売される予定だ。販売されるパーツはトヨタ純正用品、TRDパーツ、モデリスタパーツを予定している。また、アフターパーツ業界へは昨年の秋ごろより、実車確認会を実施しており、自分だけの1台をつくり楽しめるようにしていくという。

コラボレーションブランド
国内のブランド12社がオリジナルの86アイテムを展開

コラボレーションカルチャー
同時に、国内12のブランドとコラボレーションしたさまざまなギヤの共同開発している。それは自動車部品だけでなく、アパレルやミニカーなどにも及んでいる。

エリア86イメージ
クルマ好きのたまり場、AREA86構想が4/7からスタートする

ショップカルチャー(AREA86)
大人のたまり場としてAREA86(エリアハチロク)を提供する。スポーツカー好きが集まる大人のたまり場、アジトを目指すとしている。そこにはマスター的な専門スタッフがおり、スポーツカー好きには、ショップそのものに行くことが趣味と言えるような、永く深く付き合える場所にしていきたいという。

このような取り組みをユーザーへ提案し、日本の大人たちの新たなカルチャーとして共に育てていくという構想である。

トヨタ・AREA86公式サイト

COTY
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