トヨタがジュネーブショーに出展したコンセプトカー、「FT-Bh」の全貌が明らかになった。FT-Bhはハイブリッドカーが一段と普及すると考えられる2010年代後半を想定し、ECOMOTION (Eco+Emotion)をテーマにしている。高い環境性能に加え、優れたレスポンスと軽快な操作性によりドライビングの楽しさも提供すべく企画されたBセグメントのスモールハイブリッド コンセプトカーとされている。
FT-Bhの性能は、軽量化、パワートレーンの効率向上、走行抵抗の低減などを徹底的に追求し、欧州の新燃費測定方法(NEDC)で2.1L/100km、CO2排出量は現在のBセグメントカー平均の半分以下である49g/kmを達成している。さらに、小型燃料タンクとハイブリッド用リチウムイオン電池をリヤシート下に配置することで低重心を実現し、クルマの本質的な魅力である走行性能を高めている。またFT-Bhはハイブリッド仕様の他に、天然ガス(CNG)仕様とPHV仕様も想定しており、これらのCO2排出量はそれぞれ38g/km、19g/kmとしている。
具体的な内容は次のようになっている。
・軽量化:空車重量は786kgと圧倒的な軽量化を達成。量販低燃費車を想定しているためカーボンファイバーなどの高価な材料を使用せず、高張力鋼板の使用拡大などによりボディ構造を軽量化。また、室内熱マネージメントのために内装材に採用した新しい高発泡材料は、軽量化にも寄与し、それがボディ骨格、シャシー、パワートレーンなど全ての部品の軽量化につながっている。
・走行抵抗の低減:全長4m以下で大人4名が快適に座れる室内空間を確保しながら、Cd=0.235という優れた値を実現。タイヤは転がり抵抗の低減に有効な大径とし、空気抵抗の低減と軽量化にも貢献する細幅タイヤを新開発(145/55R18)。
・パワートレーンの効率向上:低燃費化における高い目標を達成するため、新たにロングストロークの1.0L2気筒のアトキンソンサイクル・ガソリンエンジンを開発。ハイブリッドシステムの効率向上と合わせて、NEDCでCO2排出量49g/kmという極めて高い環境性能を実現。
・熱マネージメント:前述の内装材に高発泡断熱材の利用し、車両室内の温度調節に要する熱容量低減。さらに、少人数乗車時に必要な空間のみを空調する「エアゾーニング」を採用するなど、室内全体の熱マネージメントを徹底。同時に高効率エンジンでは排熱量が減少するため、暖房時にはエンジン内部および排気の熱を活用。
・節電:ヘッドランプ、テールランプや室内灯などへのLED採用に加え、パワーウィンドウなど電動部品の消費電力や待機電力の削減などを徹底的に行い、通常のBセグメント車に比べ消費電力を半減。
・エクステリア・デザイン:EcoとEmotionが両立するECOMOTIONをキーワードに、風の流れを感じさせるエモーショナルな造形で高い空力性能を表現した新たなデザインとしている。外形は空力を追求したフォルムで、ボディ全体が大きな砲弾型を形成し、フロントガラス前出しのロングルーフシルエットと、視界をさえぎらない細幅ピラーにより軽快で伸びやかなプロポーションを実現。フロントは、フェンダー一体の縦型ランプと大型のアンダーグリルにより、整流効果と冷却性能を両立させた次世代トヨタフェイス 「KEEN LOOK」を表現。また、リヤエンドに向けて絞り込まれたボディと後端を蹴上げた床下形状など、空力特性を最適化した造形で優れたCd値を低減。
・インテリア・デザイン:乗車人数にあわせて必要な空間のみを空調する「エアゾーニング」を空間構成のコンセプトに、布をピンと張ったような「張力」を表す造形でエモーショナルに表現。超薄型シェル構造のシートの採用により快適な乗り心地を実現するとともに、リヤ席の足元空間を拡大。内装材には軽量で通気性の高い素材を使用することで室内熱マネージメントにも寄与する。インパネ奥に設置したセンターディスプレイには、ボディに設置した3台のカメラからの後方画像を表示、インナーミラーには、接近車両の画像
に注意喚起情報を合成表示(アンビエント重畳表示)することで、安全性を向上させている。