2011年8月30日、トヨタモータースポーツ社(TMG)が製作したEVがドイツ・ニュルブルクリンクサーキットのオールドコースで7分47秒794というラップタイムを記録した。ちなみに従来、ニュルブルクリンクでのEVの最速ラップはプジョーEX1が記録した9分1秒338なので、ブッチ切りでEV史上最速のタイム更新となった。
TMGはトヨタの子会社で、これまでWRCやF1の車両開発・参戦活動を担ってきたが、F1撤退後は風洞の運営、車両やエンジンの設計、EVの開発、先進技術の試験、先進部品の製造などを主な業務としている。今回タイムアタックを行ったマシンはTMGのEV部門が開発した「TMG EV P001」。ステアリングを握ったのは、レクサスLF-Aでニュルブルクリンク24時間レースにも出場しているヨッヘン・クルンバッハ氏だ。
TMG EV P001は2個のモーターを搭載し、最高出力は280kW(375ps)、最大トルクは800Nmで、0→100km/h加速は3.9秒、最高速は260km/hに達する。搭載している電池はリチウムセラミック電池で、電圧は520V、容量は41.5kWh、重量は350kgである。もちろん電気駆動マネジメントシステムもTMG製だ。リチウムセラミック電池は、通常のポリマー製電解質の代わりに硫化物ガラスなどの固体電解質を採用しているタイプだ。
なお、艤装はアグッティ社、電池や電気パワーマネジメントシステムはレイショナルモーション社、モーターはエボエレクトリック社との共同開発となっている。シャシー、ボディはイギリスのラディカル社製をベースにしている。車両重量は電池を含めて970kg。電池重量が350kgだから、きわめて軽量なシャシーであることがわかる。
TMGは、今回開発した高出力EVシステムを2012年頃にはモータースポーツ用として市販するとコメントしている。
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