
スズキのAセグメント、スモールクロスオーバーワゴン「XBEE」がビッグマイナーチェンジを行ない、カッコかわいいデザインで登場した。
8年ぶりとなる新型クロスビーは、フロント周りとインテリアを一新し、フルモデルチェンジのように大きな変更を行なっている。2017年のデビューから8年となると、販売台数の伸びは鈍化しテコ入れが必要となるが、Bセグメントも含め競争の激しいマーケットで注目を集めるために、フロントフェンダー、ボンネットの金型を一新して新デザインで登場させた。またインテリアもインパネ、ドアトリム、ダッシュボードなども一新され、現行クロスビーとは大きく変わり、フルモデルチェンジレベルの変更が行なわれている。

ユーザー調査で得たネガ要素を元にマイナーチェンジ
現行型クロスビーに対するユーザーの声をスズキが独自に調査すると、運転を楽にする最新デバイス系が乏しい、燃費が良くない、スタイルがかっこいいという評価が低いなどのネガ要素があったという。そうした声に応える形で新型クロスビーがデザインされている。
従来のクロスビーがかわいい路線で人気となっていたが、この新型ではポジションチェンジを狙っており、かっこいいとスポーティなスタイルとし「かっこかわいい」スタイルとしている。
ターゲットユーザーは、ライフスタイルにこだわりを持ち、人とは違う、親しみやすいデザインを求める人、コンパクトで取り回しがよく、広い室内空間の軽自動車ではない小型車を求めている人、そして日常使いをメインとしながら、アクティブなシーンでの使用も想定している人としている。
外装はかわいさ残して、たくましくカッコ良く



フロント周りの違いは一目瞭然で、現行型からのマイナーチェンジには思えない風貌の違いがある。現行型はボンネットが前に向かってスラントしていくデザインだったのを、ボンネット先端位置を高くし、フラットなシルエットのデザインに変更。その結果、バンパーからボンネットまでの厚みが増して、たくましさやタフさ、そして存在感を表現できる顔に変わった。
そのバンパーもボディと同色とすることで、より大きく見えるようになり、また角張った四角の角を丸めた優しい長方形を随所に採用することで、印象を柔らかくしている。そして目力の強いヘッドライト&ポジションランプのデザインに変更し、またグリルにはホットスタンプのメッキのドットパターンで遊びも表現している。
リヤ周りはパネル鋼板に変更はないが、テールランプデザインは角を丸めたデザインとしたため、印象がかなり変わり、また大型ルーフエンドスポイラーの装備も印象を変えている。そしてアルミホイールも切削加工したデザインを設定している。
機能面では最小回転半径が軽自動車と同等の4.7mであり、取り回しの良さ、使い勝手の良さを実感する回転半径だ。
「質感の高さ」をキーワードに内装も一新

内装はガラッと一変している。ダッシュボード、センターコンソール、ドアトリム、シートが一新されているため、印象も上質さを感じるインテリアに変わった。
開発の主眼にも「質感の高さ」をキーワードに開発を行なったということで、革を模したパネルとステッチ加工や2段式センターコンソールの設置、そしてインパネ、ドアトリムは一新し、SUVらしいT字型骨格のインテリアに見えるようにデザイン変更している。
質感の高さでは、家具のような温かみのある表情を追求し、エンジニアが家具屋を視察し学習することで、細部の処理を含めた追求が行なわれたという。
その成果はインテリアカラーにおいて標準と高級の2タイプを用意しており、高級タイプを選択するとそうしたデザイナーのこだわったインテリアを味わうことができるというわけ。
ナビモニターは3種類あり、最大10インチまで対応する。またヘッドアップディスプレイの採用や、メーターも針表示からデジタル液晶へ変更し3パターンの表示を可能にしている。
ボディカラーも豊富に揃えているが、新デザインとして上下を黒で挟み込むブラックタフ2トーンを設定し、全体を黒で引き締め、ボディカラーを際立たせる配色のデザインが登場した。また通常の2トーンとモノトーンもあり、自分好みのカラーデザインを選ぶことができそうだ。
ちなみに、室内長はクラストップレベルであり、軽ハイトワゴンと遜色ない広さがある。近年ハイトワゴン、スーパーハイトワゴンはA、Bセグメントを凌駕する室内空間を持っており、逆に言えば小型車のウィークポイントでもあるが、新型クロスビーはハイトワゴンレベルのように広く、後席シートスライド量は165mmと10段階のリクライニング機能を備えている。





パワートレーンも変更

ボディ骨格は従来のキャリーオーバーでハーテクト・プラットフォームを採用。サスペンションではリヤのスタビライザーリンクの剛性をあげ、リバウンドスプリングを追加している。そして高応答ピストンバルブのチューニングを行ない、微低速時の振動の減衰を高めている。
そしてエンジンも換装しているのだ。従来の1.0L 3気筒のK10C型ブースタージェットエンジンを辞め、スイフトやソリオに搭載している1.2LのZ12E型エンジンに変更した。またトランスミッションも6速ATからCVTへと変更し、ISGのマイルドハイブリッドとすることで、なんと燃費が25%も改善したといいう。そして全車エコカー減税の対象となった。ちなみにWLTCモード燃費は22.8km/Lとなった。
安全装備や運転支援機能等の変更も行なっている。新搭載した機能では「アクティブコーナリングサポート」を搭載。アンダーステアとなった場合など内輪のブレーキを摘むことで車両姿勢を安定させる機能だ。そして減衰接着剤を新採用したことで、ボディの剛性がアップし静粛性も高くなっている。
新型クロスビーには2WDと4WDが用意され、走行モードも選択できるようになった。また電動パーキングブレーキも上級モデルには設定され、ステアリングヒーターも新規に設定されている。


安全装備では、衝突被害軽減ブレーキや標識認識機能、発進お知らせ機能のアップデート版、アダプティブハイビームシステム、ブラインドスポットモニター、車線逸脱抑制機能が搭載されている。またACCとカーブでの車線維持支援機能もアップデートされたバージョンが搭載されている。
こうしたビッグマイナーチェンジの成功例として、三菱のデリカミニを思い出す。スーパーハイトのeKクロススペースの販売不調からデリカミニの顔に変えたら数倍の売れ行きへとドラスティックに実績が変わった。クロスビーも現在の不調からポジションチェンジをし、顔を大幅に変えたことで同様の変化が起こる気がするがいかがだろうか。








