ワゴンRスマイル試乗記(FF マイルドハイブリッド)

スズキからワゴンRの派生車「ワゴンRスマイル」が発売され、試乗してきたのでお伝えしよう。

「ワゴンRスマイル」はスーパーハイトワゴンの「スペーシア」とハイトワゴンの「ワゴンR」の中間サイズに位置し、両側スライドドアが特徴の新型ワゴンだ。全長、全幅は軽自動車規格サイズの3395mm☓1475mmで、全高は1695mmとスペーシアより−90mm、ワゴンRより+45mmという高さ。ホイールベースはワゴンRと同じ2460mmとなっている。

特徴はこのボディサイズが示すように両側スライドドアで背の高さがスーパーハイトとハイトワゴンの中間サイズの新型軽自動車ということになる。ダイハツの「ムーブキャンバス」が唯一ライバルとして存在しているが、女性を中心にマーケットニーズが存在していることからの追従と言える。

ワゴンRスマイルでは、若い女性をターゲットと絞り込まず男性も含め幅広い年齢層をターゲットにしていると説明している。が、ターボ設定がないことやエクステリア、インテリアデザインからもやはり中心は若い女性を狙っているモデルだ。

パワートレーンはマイルドハイブリッドとNAの2パターンで、メインはマイルドハイブリッドだ。こちらは100VのISGを採用し制御変更を行なっている。新型ハスラーから採用している制御で、バッテリーサイズも従来の10Ahから3Ahへと小さくしている。開発責任者の髙橋正志氏によれば、バッテリーサイズは価格にダイレクトに反映するため、小さくし価格を抑えながらより省燃費となるように制御を変更したと説明している。

それは主にアシスト制御と回生頻度の変更で、狙いどおり従来よりも省燃費化できたという。ちなみにFFモデルはWLTCモードで25.1km/Lとなっている。

試乗してみると発進時のアシストや巡航時のアシストを体感することができる。アクセル開度を一定に保っているとバッテリーが充電されるとグッと背中を押されるような加速を体感する。また以前の制御ではクリープ走行のときEV走行をしていたが、今回の制御ではEV走行しない設定になった。

ボディでは構造接着剤の使用範囲を拡大し、とくにサスペンション付け根部分やパネル接合部などに採用され、ボディ剛性の高さも走行していて感じられる部分だ。しっかりとしたボディと滑らかな走行フィールは路面状況がよいと感じられる。が、リヤのショックアブソーバーなのか、少し突き上げ感がありもう少し高級なダンパーが欲しいところ。入力に対しての突っ張り感が残っているので、ボディ剛性の高さがあるだけに乗り心地に磨きをかけたいところだ。

ステアフィールは軽くて扱いやすい。最小回転半径4.4mと小回りが効くことと相まって日常で使いやすいだろう。前述の開発主査によればスペーシアよりは直進の座りを少し強め、操舵時の手応えも少し強めているという説明で、フィーリングとしては安心感のある、使いやすい軽さという印象だった。

最大の特徴である両側スライドは、フロアから天井まで1330mmあり27インチの自転車は積めないものの、広さは十分にある。もちろんその広さが不足する人にはスペーシアが対応できるというラインアップだ。

そしてシートアレンジも多彩で助手席のシートバックが前にも後ろにもフラットになるまで倒れるので、長尺物や後席に座ってアシを伸ばして乗るといった姿勢も可能。もちろん全面フルフラットにもなるし、後席はスライド機能もあり自由自在だ。また小物入れやフックなどワゴンRやスペーシアと同等にさまざまな物入れが用意されている。

ちなみにボディカラーは2トーン8通り、モノトーン4通りの合計12通りのカラーバリエーションが用意されている。

そして安全装備ではスズキセーフティサポートを全車標準装備としていて、衝突被害軽減ブレーキ、デュアルカメラサポート、誤発進抑制、後方誤発進抑制、車線逸脱、ふらつき警報、先行車発進お知らせ、ハイビームアシストなどの機能を装備している。さらにメーカーオプションではアダプティブクルーズコントロールやヘッドアップディスプレイ、標識認識、全方位モニター・カメラなどを選択することもできる。

デザイン、利便性、環境性能、そして安全性能といった全方位でマーケットニーズに応える仕様をもつ新型ワゴンRスマイルは実用性の高さとそのデザインが魅力になるモデルだった。<レポート:髙橋明/Akira Takahashi>

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今回の記事は、 FMヨコハマの番組「THE MOTOR WEEKLY」でもピックアップ。

radikoでも 10月9日まで お聴きいただけます。

https://radiko.jp/share/?sid=YFM&t=20211002200000

COTY
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