価格破壊と欧州フィール――スズキ新型e-ビターラ最速試乗レビュー【試乗記】

スズキのB+セグメントEVで SUVの「Vitara」ビターラを公道で試乗することができた。2025年6月のプロトタイプ試乗会が開催され、9月に正式発表。そして2026年1月に発売という時間軸で我々の前に現れている。

インドのグジャラート工場で生産され、日本には逆輸入されるモデルだ。ボディサイズはB+サイズのセグメントで、全長4275mm、全幅1800mm、全高1640mm、ホイールベースは2700mmあり、前後のオーバーハングは短く、2.7mのホイールベースの長さが室内の広さに有効的に使われているのがわかる。また5.2mの最小回転半径は取り回しがしやすく、日常使いではかなりありがたく感じる場面に出会うこと間違いなしだ。

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駆動方式はFWDとAWDの2タイプがあり、このB+セグメントサイズでのAWDは現状ビターラだけ。価格も399万3000円〜とBEVとしてはかなり競争力の高い価格設定であり、補助金の見直しによって政府から127万円に、そして各自治体の補助金がプラスされる。東京都だとメーカーによって差があるが40万円前後の補助が出るので、軽自動車の価格に近い値段にまで下げることができるのは魅力だ。

試乗したモデルは上級グレードの「Z」でFWD、AWDの両方を千葉県の幕張周辺で試乗した。試乗コース周辺の道路環境は道幅が広く、比較的交通量は少ない。また近くに高速道路があり、路面コンディションも綺麗な場所だ。そのため詳細な評価は難しいが、NVHにおいての静粛性はクラスを超えるレベルと感じる。また乗り心地は欧州テイストで引き締まったサスペンションの印象だ。一方で高速走行ではしなやかな乗り心地を披露するわけで、まさに欧州テイストと言える。

そのためステアリングの味付けも欧州向けであり、手応えがしっかりとあり、また直進の座りもしっかりしていて安心感がある。ステア応答は敏感すぎず適度なレスポンスであり、だれもが違和感なく操舵するはずだ。そしてアクセルレスポンスもリニアに感じられ、欧州を意識した味付けになっていると感じた。

この欧州テイストの理由として、e-ビターラは欧州が初出しであり、イギリスでの発表からスタートし、準備が整った国から順次発売をはじめている。またアジア地域では日本が最初であり、今後シンガポールやオーストラリアなど100カ国ほどの国と地域で発売を予定しているグローバル戦略車という顔をもっているのだ。

モータの出力はFWDモデルが128kW/193Nmで、AWDモデルは135kW/307Nmとなっている。この違いは乗った瞬間にトルクによる力強さの違いとして感じることができる。またリヤモータによる押し出し感も感じるが、こうした市街地エリアでは大きな差はない。

搭載するバッテリーはリン酸鉄系のLFPバッテリーで、BYDの子会社「フィンドリームバッテリ」社からの調達とし、フロアに敷き詰めたセルto ボディの構造になっている。プラットフォームは「ハーテクトE」プラットフォームで従来のICE搭載のビターラのプラットフォームとは全く異なるため、名前はビターラで同じだが、異なるモデルと考えても良い。

新プラットフォームと引き締まったサスペンション、そして硬めのシートから伝わる印象は高い剛性感であり、こうした部分でも欧州テイストだと肌で感じる部分だ。

インテリアは10.1インチのセンターディスプレイと10.25インチのメーターディスプレイの2つが一体化したデザインでまとめてあり、先進感のあるインテリアだ。とくにセンターディスプレイはさまざまな操作をタッチパネル式で操作を行なうタイプで、インターフェイスはやや戸惑うものの、すぐに慣れるレベルの迷いなので高齢者でも恐れることはない。

ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツとあるが、極端な差異はつけてはおらず、電費もよくなるエコモードが使いやすいと感じた。またどのモードでもアクセルを踏み込めばフルトルクで加速するため、エアコンも調整し航続距離を伸ばす制御を盛り込んだエコモードがデフォルトになりそうだ。

また、ワンペダル走行がしやすい「イージードライブペダル」があり、減速Gも3段階で調整が可能だ。ただし、完全停止はせず、どの強さでもクリープはする。そして航続距離はFWDで520km、AWDで472km走る。LFPバッテリの容量は2タイプあり、61kWhと49kWhだ。十分な走行可能距離であり、電欠への不安を持つことはないと思う。

またナビ機能では目的地を設定したときに、現在の電池残量で到達できない場合は、充電ポイントの提案が表示されるので安心だ。つまり、通いなれた場所でもナビで目的地を設定しておけば、電欠の不安からは解消されるのだ。

こうした機能は「スズキコネクト」が大きな働きをする。自身のスマホとビターラとインタネット接続より、スマホで目的地をセットすれば、ビターラ側にも自動でセットされる。また充電状況やバッテリー残量もスマホの専用アプリで確認できる。さらに冷寒時にはバッテリーの性能がフルに発揮できなくなるため、マイナス15度以下ではスズキ・コネクト経由でバッテリーウォーマーを起動することができ、車両に乗り込んだ時には十分な電池性能が発揮される状態になっているというわけだ。

B+セグメントのコンパクトSUVというカテゴリーで、100%バッテリーEVで、しかも競争力の高い価格設定、そのうえ欧州テイストのドライブフィールであれば、おすすめな一台と言っていい。特に自宅充電できる環境の人であれば、ぜひBEVを検討すべきとアドバイスをする。買わない理由探しは進化を止めてしまうこととイコールなのだ。

諸元

価格

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