8月26日に3代目新型スズキ・スイフトを発表した。初代スイフトの発売は2000年にカルタス(海外ではスイフトの名称)の後継モデルとして発売された。
ドイツのある市街地、ニュルブルクリンクを走るスイフト・スポーツらしき車両をスクープ
続く2代目は2004年に登場し、日本マーケットでも販売を開始。従来以上にグローバルカーとして特化され開発されたモデルだった。日本以外に、ハンガリー、インド、パキスタン、中国で生産が展開され、世界124カ国で販売され、これまでの累計販売段数は180万台に達している。そして最大の販売国はインドで67万台が生産販売され、ついで日本が56万台である。
スイフトは世界戦略車であり、世界に通用する走りを開発テーマとしたが、3代目に当たる新型スイフトもこの路線を継承し、開発コンセプトは「モア・スイフト」とされ、キープコンセプトを明確に打ち出している。面白いことに、デザインも2代目のイメージをそのまま流用している。
ダイナミック&エレガンスというキーワードを使用しているが、ショルダーラインを高めにしてグリーンハウスはやや小さめに、ボディ側面はラウンドした張り出しを持ち、Cピラーを太い台形形状とするなど、これまでのデザイン基調を保っている。
スズキは、かつては平板なパネルデザインに終始していたが、2代目スイフトでデザイン革新を行い、海外市場において存在感を強めるために、ソリッドで抑揚の感じられるデザインとし、これが世界のマーケットで定着した事実を重視したため、あえてデザインもキープコンセプトとしたのだろう。
新設計のプラットフォーム
デザインやクルマ全体はキープコンセプトだが、プラットフォームは新開発されている。これはおそらく、従来から存在するフィアットと共同開発のSX4、GMとの共同開発であるスプラッシュ(ハンガリー生産)など各種のプラットフォームを統一するため、新型フレキシブル・プラットフォームを開発したと考えられる。このプラットフォームの変更により、ホイールベースは40mm、トレッドもフロント20mm、リヤ15mmほど拡大された。
アッパーボディは、骨格部分に590MPa(メガパスカル)級以上の超高張力鋼板を採用し、従来モデルより10kg軽量化するとともに、ねじり剛性を15%ほどアップしたという。通常200〜300MPaは高張力鋼板で、590MPa付近を境に超高張力鋼板となるが、当然コストに跳ね返ることになる。よって、日産マーチでは超高張力鋼板を使用していない。スイフトにおいては、国内生産モデルには超高張力鋼板が使用されているが、想像だが、インド中国など新興国での生産モデルには使用されない可能性もあるだろう。
サスペンションはフロントがストラット式、リヤはトーションビーム式で従来と同じなのだが、リヤのトーションビームはU字型2重構造(従来型はV字+スタビライザー)とすることでスタビライザーを省略した。またビームの取り付けに角度を付け、トー変化量を少なくしている。このようなサスペンションとしたことで、機敏なハンドリングを得るためにステアリングギヤは可変ギヤレシオを採用し、小〜中舵角時のクイックな操舵感をつくっている。
エンジンは高出力・高速型
1.2Lの4気筒DOHCエンジンは継承され、新たに吸排気カムにVVTを採用し、吸排気バルブの遅閉じを行うことで燃費を向上させている。排気量1242cc、ボア×ストロークは73.0×74.2mm、レギュラーガソリンで圧縮比は11.0となっている。
最高出力は91ps/6000回転、最大トルクは118Nm/4800回転。日産マーチの3気筒1.2Lエンジンよりパワーで12ps、トルクは12Nm大きいが、エンジン特性としては日産のほうがより低速型で、それに対してスイフトのK12B型は、低中速域のトルクの落ち込みを解消した結果、なだらかなトルクカーブとなり、最大トルクポイントが従来よりも高回転側に移ったとされている。がしかし、高出力・高速型の従来の価値観にこだわっているように思われる。
燃費はマーチが26km/h(アイドルストップなし仕様で24km/L)で、スイフトは23Km /L。(欧州ミックス燃費は5.0L/100km 、CO2排出量は116g)となっている。
トランスミッションは、主力は2速副変速機付きCVTで変速比幅は7.3。廉価仕様には5速MTも設定されている。スズキはすでに軽自動車に副変速機付きCVTを投入しているが今回のスイフトにも採用し、CVTのメーカーはマーチと同じジャトコ製である。
性能は、ヨーロッパ仕様で0-100km/h加速が12.3秒、最高速は165km/h。価格は124万4250円〜147万5250円、最上級4WDモデルで165万3750円。ヨーロッパでは、3ドアの最廉価仕様で1万999ユーロ、上級グレードで1万5499ユーロ。
文:編集部 松本晴比古