ソリオ バンディット試乗記 ハイブリッドになって高級感も増した新型ソリオ

マニアック評価vol374
スズキの小型乗用車「ソリオ」、「ソリオ バンディット」が2015年8月にフルモデルチェンジを行ない、そのハイブリッドの新型ソリオに試乗してきた。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>

ソリオハイブリッド

4代目となるソリオはエンジン、プラットフォームを変更するフルモデルチェンジで、その詳細はこちらをご覧いただきたい。ボディサイズは全長3710mmで先代から変更はない。全幅1625mm(+5mm)×全高1745mm(-20mm)、ホイールベース2480mm(+30mm)という変更があった。

ソリオハイブリッドソリオハイブリッド

このサイズからもわかるようにAセグメントクラスのハイトワゴンで、見渡しても直接ライバルとなるモデルは不在だ。いわば独占市場で実際の販売状況では、東京などの大都市から地方都市、農村、山間部とまんべんなく売れていると説明している。

ソリオハイブリッドソリオハイブリッド

したがってフルモデルチェンジとはいえ、キープコンセプトとなる開発が行なわれ先代モデルでの性能に磨きをかける、という狙いで開発されている。

ソリオハイブリッド
新開発の1.2Lガソリンエンジン。K12C型はマイルドハイブリッド方式を採用している

そのひとつにエンジンにハイブリッドが採用され、さらに、プラットフォームが変更されたことによる、操縦安定性、静粛性、乗り心地、スペースの有効化などの改良などが行なわれている。

特に気になるのはパワートレーンのハイブリッド化だろう。ベースモデル以外はハイブリッド化され、より省燃費になっている。JC08モードではクラストップの27.8km/Lで0-400m加速でも先代より0.5秒速くなっている。

◆インプレッション

さて、そのソリオ・ハイブリッドだが、試乗したのはソリオ・バンディットハイブリッドで、人気の高いほうのモデル。ソリオとバンディットでは3:7から4:6程度の割合でバンディットが人気だという。ソリオ/バンディットに搭載されるハイブリッドはすでにワゴンRやハスラーに搭載されているSエネチャージと同じ構造で、それを乗用車ようにサイズアップしたものだ。また、一般的にはマイルド・ハイブリッドという呼び方もしている。

ソリオハイブリッド

おさらいするとISG(モーター機能付ジェネレーター)と専用リチウムイオン電池を組み合わせたもので、駆動機能をジェネレーターに持たせ、通常は加速などの駆動をアシストするが、スズキのISGは駆動アシストするときは、エンジン出力を絞って、つまり燃料を絞って出力ダウンさせている。その失った出力分をこのISGが補っている、という構造が特徴だ。

だから、モーターアシストによるパワー感を感じたり、EV走行をすることはなく、走行中ハイブリッドである場面を感じることはできない。しかし、気づけば燃費がよくお財布にやさしい、ということだ。もちろん、いつエンジン出力のダウンがあり、またISGの駆動力を使っているかなどの変化は一切わからない。普通に走行し、裏側で一生懸命省燃費の努力をしているというわけだ。ただインジケーターではアシスト状況は表示されるので、目で確認することは可能だ。また、エンジン本体も新開発のK12C型のデュアルジェットタイプに変更され、低回転からのトルクアップを狙ったものになっている。

ソリオハイブリッド
ハイブリッドのエンブレムはテールゲートとフェンダー左右につく
ソリオハイブリッド
バッテリーは助手席したの小物入れの下に格納されている

副変速付CVTとの組み合わせのパワートレーンで、変速比幅が7.2と広くこのあたりからも燃費に優れている一面がわかる。反面低速時のトルク不足が起こりやすく、特に排気量が小さいと絶対値としてのトルクを大きくすることが難しい。しかし試乗車のバンディットは出足などで実際のアクセル開度よりもスロットルを開いた制御をしているため、ドライバーのフィールで加速の悪さは感じない。逆にグッと加速するので力強さを感じる。

また、このISGの搭載によりアイドリングストップも進化している。減速時に13km/hになるとエンジンが停止するが、再始動の際、実に滑らかにエンジンがかかる。これはISGのメリットでクランクプーリーに直接ベルトをかけているため、セルモーターを使わず再始動するので振動が起きにくいわけだ。<次ページへ>

ソリオハイブリッド

一方、このフルモデルチェンジでもっとも印象に残ったのは、高級感やしっとり感といったフィーリングの進化だ。それはドアの開閉や動き出しのサスペンションのしなやかさ、乗り心地、路面の凸凹のショックの入り方などが、大きく進化していると感じた。Aセグメントの量販モデルというクラスを超えたレベルだと思う。

ソリオハイブリッド

この乗り心地のよさに関し、残念ながら後席に座れずインプレッションはドライバーズシートでの印象ということを付け加えておきたい。

操縦安定性の点ではわずかな外乱に対するクルマの反応、動きが少し気になった。直進安定性ということではもちろん問題ないが、まっすぐ走っているときに入力してくる外乱、横力などに対し、ボディの揺れやステアリングへのフィードバックなどをどんな処理にするのがいいか?味付けの部分でのこだわりがもう少し強くてもいいのではないか?と感じた。

ソリオハイブリッド

それは、ドライバーに不要と思われる振動や横力入力などは、上手に消して欲しいということ。でもダイレクト感は残して欲しい、という背反案件で贅沢なリクエストだと思うが、高級に感じられるドア閉め、走り出しの乗り心地などとのバランスを考えると、要求したくなるというわけだ。

また、コーナリングではロールはするもののドライバーはそのロールを感じにくく、不安感はない。エンジニアによれば、ロール速度とGの掛かり方、ヨーモーメントの感じ方には気を配ったという説明で、その話のとおりの出来栄えだと思う。乗り心地のよさとリニアなロール感、わずかに遅れて回頭する動きなど、ナチュラルで安心感のある走りだ。ちなみにタイヤサイズは165/65R15でエアボリュームを活かした乗り心地も上手い。

ソリオハイブリッドソリオハイブリッド

さて、新型ソリオはボディも一新されている。そのため室内長も2515mmあり、+30mmのホイールベースのメリットを活かしている。また、全高は先代モデルよりも低くなったものの、室内高は+15mmと逆に高く1360mmある。さらに前後乗員間距離は+55mmで1080mmと広々感がさらに増している。もちろん先代同様センターウオークスルーが楽にできる。

このように若干サイズアップしているが最小回転半径は4.8mとこれまでより-0.2m と小回りが効き、取り回しの点でメリットがある。

ソリオハイブリッド

エクステリアでは先代からの大きな変化は感じにくいが、じつは新色がドカッと増えている。ソリオは新色で5色ありトータル8色。新色となったのは「クォーツピンクM」「クリアライムM」「クラッシーブラウンM」「ファーベントレッド」「ピュアホワイトパール」の5色だ。バンディットは4色が新色で「ファーベントレッド」「ミッドナイトバイオレットM」「ピュアホワイトパール」「クラッシーブラウンM」を含む9色でツートーンカラーも新設定されている。

インテリアではセンターメーターの採用が目をひく。内装装備ではグレードごとにデコレーションの違いや素材の変化を加え、バリエーションに富んだものになっている。どのグレードをチョイスしても共通する室内の広々感があり、開放感あふれるインテリアになっている。

ソリオハイブリッド

安全装備ではデュアルカメラ式のブレーキサポートや誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能はエマージェンシーストップシグナル、クルーズコントロールシステムとセットでメーカーオプションに設定されている。とりわけステレオカメラはスバルのアイサイトと同等のハードウェアで、日立オートモーティブ製のカメラシステムを搭載し、高い信頼性を持っているものだ。

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