4代目となった新型ジムニーが2018年7月に発売され、気になる大人が増えている。実際に乗ってみると、その見た目や走りで林道を走りたくなったり、敢えて険しいルートを選びたくなる衝動に駆られる。そのパッションはどこから来るのか?いろいろな角度から検証してみた。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
なんといってもスクエアなデザインは目を引くポイントになる。開発コンセプトはプロに使ってもらうことを前提に「本格的4WD性能と無駄のない機能美を併せ持つ、世界で認められるコンパクトSUV」だ。商品企画の段階で、業務でジムニーを使用する人達に話を聞き、コンセプトが固まったという。
もともとコアな人気モデルだけに、コンセプトよりも具体的にどんな技術を入れて開発するかという製品企画のほうが苦労したと想像するが、仕事で使っているユーザー、特に林業の方たちは、道路の無いところに道を作り、狭い場所でUターンして戻ってくることが日常的で、小回りが効き、そして小型ボディサイズが必要。もちろん軽い車体を活かした走破力も重要ということで、プロをターゲットにしつつ、従来モデルより快適性を上げるということが開発の主眼になったというわけだ。
具体的にどんな手法が取られているのか見てみよう。まず、スクエアにした理由として、実は、悪路を走行しているときの水平を掴みやすいように、という狙いがある。そのため、エクステリア、とくにボンネットの形状がフラットに見え、地面に対して車体の傾きが掴みやすいようにしてあるのだ。だから、インテリアも水平基調のデザインが取り入れられているというわけだ。
さらに、機能操作系、例えば室温調整やパワーウインドウのスイッチなどもセンターに集約しているのは、悪路走行中に操作系がセンターにまとめてあるほうが操作しやすいということを狙っている。
また、ウインドウも平らな印象だが、実はリヤクォーターウインドウは三次元曲面ガラスを採用しているのだ。本当にフラットなガラスだと、安っぽくペラペラに見えてしまうそうだ。そのため、リヤウインドウ、フロントのサイドウインドウも二次元曲面のガラスになっているということだ。
また、軽量であることも大事で、ドアトリムの下は鉄板がむき出しになっているが、これもその軽量の狙いと、無骨な感じの演出も兼ねている。そのため、このトリムを鉄板にするために専用の塗装工程を追加しているほど、気を使った製造をしている。
気を使ったと言えば、ダッシュボードに樹脂が使われているが、欧州の小型車では鉄板むき出しに塗装しているケースも見かける。ジムニーらしさからは鉄板がいいのでは?と思うが、安全性を考慮すると、ここを鉄板にするのはスズキとしては難しいと。助手席エアバックなども考えると樹脂なのかもしれない。
エクステリアではリヤの灯火類がバンパーに集約されているのもポイントだ。これはボディにストップランプを取り付けないことで、リヤドア開口部を広く取ることができるからだ。写真のように、ボディぎりぎりまでドアを責めることができている。そうなると、開口部が大きく作業しやすいというメリットを産む。
そして荷室、リヤシートバックは樹脂で、汚れたものでも掃除が簡単なように材料が選定されており、実作業で使いやすいことを隅々まで狙っていることが分かる。
ちなみに、ジムニーシエラとの違いはトレッド幅とオーバーフェンダー装着、エンジン、ミッションだけで、インテリアは共通になっている。
vol.1ではエクステリア、インテリアのデザインについてお伝えしましたが、vol.2ではエンジン、トランスミッションのパワートレーンについてお伝えします。
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