2015年10月15日、スズキは1.6Lエンジンを搭載するBセグメントのSUV、新型エスクードを発表した。同じ車名で従来から存在する本格SUVのエスクードは、「エスクード 2.4」として存続し、併売される。
今回発表された新型エスクードは、2014年9月のパリモーターショーでデビューした「ヴィターラ」の日本仕様だ。これまでの経過をたどれば、2013年のフランクフルトショーに出展されたコンセプトカー「iV-4」の市販化仕様がヴィターラ（ヨーロッパ名）でヨーロッパでは2015年4月販売が開始されている。
開発・生産はハンガリーのマジャール・スズキで、日本仕様は逆輸入車となる。スズキのSUVラインアップは、これまでラダーフレーム、縦置きエンジンの本格的なクロスカントリー性能を備えた「エスクード 2.4」（輸出車名はグランド･エスクード）、Cセグメントのクロスオーバー「SX4 S-CROSS」、より小型の本格クロスカントリーカーとして「ジムニー/ジムニーシエラ」が展開されているが、新たにBセグメントの、SUVの資質を持つ新型のコンパクトSUV、新型エスクードが追加されることになったわけだ。
現在、Bセグメントのクロスオーバー/SUVは世界的にみて最も競争が激しいカテゴリーだが、スズキのグローバル戦略車と位置付けられる新型エスクードは、クロスオーバー･タイプと本格的なクロスカントリー4WDの中間に位置するSUVとされ、クロスオーバー的な扱いやすさと、本格SUVに匹敵する悪路走破性能を兼ね備えており、Bセグメントの中で、独自の存在であることを訴求している。
新型エスクードが追求したのは、コンパクト＆スタイリッシュなSUVデザイン、ゆとりのあるキャビンと積載性に優れたパッケージング、ヨーロッパで熟成した走りと「ALL GRIP」による高い走破性能、先進安全技術によるドライバー支援システムの採用だ。
デザインはスズキのSUVデザインを継承しながら、より力強い安定感のある造形になっている。ボンネットはこれまでのエスクードのデザインを受け継ぎ、クラムシェル（貝殻）式とし、バンパーやグリルはワイド感を強調し、安定感を演出している。
インテリアもSUVとしての力強さをテーマに、質感を追求。ヨーロッパ生まれらしくステアリングはチルト&テレスコピックが装備される。ブラック基調のインテリアカラーに金属調のガーニッシュを採用しアクセントを付けている。また4DWモデルは運転席/助手席に2段階調整式シートヒーターも装備している。<次ページへ>
プラットフォームは同じマジャール･スズキ製のSX4 S-CROSSと共用している。パッケージングはゆとりある乗員スペースを確保する一方で、ラゲッジ容量は375L(ラゲッジボードなし。ボードを取り付けると362L）を確保している。ラゲッジルームは左右端の仕切り板をはずすと9.5インチゴルフバッグを2個横置きできるように工夫されている。
ボディ骨格は高張力鋼板を多用し、車両重量は1140kg(FFモデル。4WDは1210kg）と軽量化しながら高い剛性を確保している。
またSUV性能を確保するため、アプローチアングル18.2°、ランプブレイクオーバーアングル17.7°、デパーチャーアングル28.2°、最低地上高は185mmを実現し、一般的なクロスオーバーを超えるスペックを備えている。
搭載エンジンはVVT装備のM16A型の1.6Lを採用。最高出力117ps、最大トルク151Nmを発生。アイドリング･ストップ機能も備え、エンジン内部の摩擦抵抗を低減・さらにヨーロッパ生まれのためペンデュラム(振り子）式マウントを採用。燃費はFFモデルで18.2km/L、4WDモデルで17.4km/Lを達成。
組み合わされるトランスミッションは、スズキの国内向けとしては初となる6速ATを採用している。これはアイシンAW製のユニットだ。もちろんマニュアルモード付きパドルシフトも採用している。
シャシーはフロントがストラット式、リヤはクラッシュパイプ式のトーションビームを採用。ステアリングギヤはサブフレームに直付け、取り付け剛性を高め、サブフレーム自体も横剛性を向上させて、高いレベルの操縦安定性を実現している。
4WDシステムは、SX4 S-CROSSで採用された電子制御4WDシステムの「ALL GRIP」を継承している。前後可変駆動トルク配分、4モード切替式、車両運動協調制御という機能を備えているが、新型エスクード用としてさらにチューニングを加え、SX 4 S-CROSSよりSUV性能を高めるため、新機能を追加している。
まず、エスクード専用制御として、オフロードで発生しやすい前後の対角2輪がスリップするような状態では、タイヤのスリップを検知するとロックモードに切り替えなくてもスリップするホイールに強いブレーキをかけ、LSD機能を発生させ脱出をサポートする。これは、ドライブモードがオート、スポーツ、スノーのいずれでも同様に機能する。
ロックモードの時に対角2輪がスリップした時は、スリップするホイールにさらに強力なブレーキをかけ、悪路走破性を高めている。つまりブレーキLSD制御の機能を強化しているのだ。
新型エスクードは、ドライバー支援システムとしてミリ波レーダーによる「レーダーサポートⅡ」を標準装備している。前方衝突警報ブレーキ機能として移動する車両(5km/h～100km/h）に対しブザー、警報と軽い自動ブレーキが作動し、衝突の危険が迫っている場合には静止車両に対して約5km/h～30km/h、移動する車両に対しては5km/h～100km/hで緊急自動ブレーキが作動するようになっている。
またミリ波レーダーを使用することで、40km/h～100km/hの範囲でアダプティブクルーズコントロール（ACC)も使用できる。
■価格：（消費税込）
2WD：212万7600円
4WD：234万3600円
オプション：クールホワイトパール2万1600円高（消費税込）
ブラック2トーンルーフ4万3200円高（消費税込）
