スズキは、「2017 日本パッケージングコンテスト」において、スズキが取り組んだ「エンジン 集合包装仕様改善」が「ジャパンスター賞」の「経済産業省製造産業局長賞」を受賞したことを発表した。
日本パッケージングコンテストは公益社団法人 日本包装技術協会が主催する、包装におけるデザインからロジスティクスに至るまでの、その年の包装の最高峰と優秀群を決定するもので、毎年開催されている。そして今回受賞した「エンジン 集合包装仕様改善」は、日本で生産したエンジンを海外へ輸出する際の梱包を高効率にする技術だ。
自動車のように大きくて構成部品が多い工業製品は、必ずしも全てのパーツやユニットが1カ所の工場で作られるわけではない。そのためエンジンのような大物パーツを、工場から工場へ搬送するという工程が必須になるわけだが、その際に効率を左右するのが梱包方法だ。
スズキは従来、エンジン輸送には専用のリターナブルラックを使用。もし生産変動によってラックが不足した場合は、使い捨てのエンジン専用スチールケースを使用していた。しかしエンジン専用スチールケースは、価格が割高なうえに製作日数も長くかかっていた。
そこで考えられたのが、ラック自体には部品輸送に広く普及していて、繰り返し使用可能な汎用のリターナブルラックを使う方法。大型の汎用ラックを使えば、複数のエンジンを他のパーツと同じように一気に輸送することができるし、数量の調整もしやすい。
ただ問題は、エンジン単体は大抵が“座り”の悪い形状をしていることだ。底板と枠だけの汎用ラックに、ゴロンとエンジンを転がして乗せるわけにはいかない。
そこでスズキは、王子コンテナーと共同でエンジンを固定するための段ボール材を開発。それを汎用ラックと組み合わせることで、汎用ラックでも効率良くエンジンを輸送できる方法を考え出したのだ。
これならば、従来の使い捨てのエンジン専用スチールケースを使うよりもコストダウンにつながる。もちろん生産変動に素早く対応することも可能だ。そうした点が「包装の適正化を推進するため、流通の効率化に寄与し、商品等の保護、包装技術の改善、向上への努力が最も優れている」と評価され、今回の受賞につながった。
輸送の効率化やコストダウンは、生産される車のコストに反映され、最終的にはユーザーにも還元される。直接の接点こそ無いが、我々ユーザーにとっても嬉しい技術といえるだろう。