スズキとミクニは2025年6月2日、電気自動車に関する先行開発業務の委託について基本合意したと発表した。
スズキがミクニに委託する業務は主にサーマルマネジメント(EV全体の温度コントロール)に関するもので、ミクニの小田原事業所の遊休施設にスズキの試験設備を導入し、ミクニのエンジニアが業務を担当することになる。

脱炭素ソリューションの多様化が進むなか、サーマルマネジメントは自動車の電動化において最も重要な要素とされ、今回の業務委託により、ミクニがこれまで積み重ねてきた実績や知見が、スズキのBEV先行開発業務に活用されることになる。
ミクニは、幅広い自動車部品、2輪用部品の開発、供給を行なう独立系の老舗サプライヤーで、近年ではデジタル開発の能力を高めてきている。
ミクニの生田久貴社長は、「ミクニは新グループビジョンのVISION2033にて掲げたとおり、EVにおいて重要となる電池温度を正確に予測制御し劣化を抑制する事を含む、熱エネルギーの制御システムを作り、お客様の安心安全・財産を守ることで、地球環境保全につながる電動化の未来を拓くことに貢献します。そのために、ミクニが持つデジタル開発/システム開発能力を活用して、お客様の開発機能の一部を担う事を通して、開発効率の向上にも貢献してまいります」とコメントしている。
スズキの加藤勝弘技術開発担当取締役副社長は、「スズキは2024年に発表した技術戦略の中で行動理念である“小・少・軽・短・美”を体現する技術哲学“エネルギー極少化”を掲げています。これは製造からお客様のご使用中、そしてリサイクルに至るまでのあらゆるシーンにおけるエネルギーを極少化させることに加えて、技術開発にかかるエネルギーも含んでいます。スズキは本件をはじめ、様々な方々と協力し相互活用することで、工数、設備、期間も極少となる技術開発体制を推進し、全体でエネルギー極少化となるものづくりを目指してまいります」と語っている。