スズキ 2030年度に向けた成長戦略を発表 独自の強みを活かしカーボンニュートラル実現へ

スズキは2023年1月26日、2030年度に向けた成長戦略を発表し、今年度中に日本市場にEVを初投入し、最終的に5車種のEVを展開する計画であることを明らかにした。

プレゼンテーションした鈴木俊宏社長

スズキは現在、約3兆5000億円を売り上げているが、2030年度には倍増となる売上高7兆円を目指すとしている。またスズキの特徴として、インドを筆頭に新興国を中心に世界12カ国で4輪車シェアNo.1となっている。

現地生産により、現地市場とともに成長するという基本理念が功を奏し、急成長する巨大市場のインドでは他の自動車メーカーを圧倒する43.4%のシェアを持ち、隣国のパキスタンでも44.8%のシェアとなっている。

スズキは日本と、ヨーロッパ(ハンガリー)での技術、製品開発を基盤に、インドをはじめとするアジア地域とアフリカ地域で現地に根付きながら販売を拡大する基本方針で、特にアジア、アフリカ地域は人口、GDPのいずれも急速に拡大すると見通し、今後はアフリカ市場にも一段と注力するとしている。

こうした成長戦略の一方で、日本とヨーロッパでは2050年に、インドでは2070年のカーボンニュートラルの実現を目指す責務がある。もちろんそれは単に排ガスゼロにすることではなく、製品のライフサイクルを含む事業全体のCO2排出量のニュートラル化だ。

そのカーボンニュートラル対策の第1弾が2023年度中に日本市場に投入するEVで、日本市場では最終的に6モデルを展開する。またヨーロッパでは2024年度中にEVを投入し、最終的に5モデルを展開してヨーロッパにおけるEV比率を80%とすることを目指している。

インドでは2023年度中にEVを投入し、合計6モデルをラインアップするとしている。ただ、インドはEVだけではなく、バイオ燃料を使用した内燃エンジン、ハイブリッドも同時並行で開発していくことになる。インドならではの、牛糞から生成されるバイオガスはカーボンフリー燃料として大いに期待されている。

インドでのEV生産を実現するため、現地での車載用バッテリー生産工場(スズキ・東芝・デンソー合弁企業)が稼動を開始し、EV生産体制を整えている。

また、2輪車も2024年度にEVバイクを投入し、グローバルで8モデルをラインアップしてEV比率を高めることにしている。

さらに、生産工場におけるカーボンユートラル化も推進され、グリーン電力の使用はもちろん、その電力による水素の生成、水素エネルギーを使用するなど各工場でのカーボンニュートラルを進め、当初の目標だった2030年カーボンニュートラルの実現を前倒しし2027年度に達成するとしている。

スズキが策定した成長戦略は合理的であり、スズキの特長を活かしながら確実にカーボンニュートラルを実現するというリアルなビジョンが、日本の自動車メーカーの中では異例ともいえるほど明確にプレゼンテーションされたことは評価に値する。

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