スズキからまったくの新型車ソリオがデビューし、その試乗をしてきた。
ソリオは国内専用モデルとして登場し、新型のプラットフォームを採用している。搭載されるエンジンは1.2Lでこれはスイフトと共通している。ボディはコンパクトなトールワゴンタイプで、街中での使い勝手を追求したモデルとしてデビューしている。
ソリオのターゲットは軽サイズでは足りない、大型ワンボックスからのダウンサイジングをしたいというユーザーで、かつてワゴンRをワイドにしていたワゴンRソリオとは流れがまったく違っている。名前は同じソリオだが、アプローチや従来の流れを持たない新型車として誕生しているのだ。
全長は3710mm、全幅1620mm、全高1765mmというサイズからみてもコンパクトサイズであるが、ドアを開け乗り込むと、その広さにびっくりする。とくにリヤシート周辺が広く、2列シートだからフロントシートとの距離を広く取れる。前後乗車間距離は1mを越えるほど全席と離れているのだ。これは小型乗用車より前後席間が広いわけで、さらにトールワゴンだけに天井高も高いので余計に広さを実感するのだ。
フロントシートはセパレートされ、なんとウオークスルーができるようにもなっている。フロアも全面フラットになっているため、子供だけでなく大人でも余裕で前後移動が可能だ。だから、狭い駐車ペースで運転席ドアが開けられないような状況でもリヤのスライドドアから乗り込み、ウオークスルーで運転席に座るという動線が使える。まさに国内特有の使い勝手に配慮したものだ。
そのリヤドアは両側スライドで、半ドアから自動で閉まるスライドドアクローザーは標準装備され、また携帯リモコンで自動開閉も可能にするなど、実用面でも充実している。
リヤシートはワンタッチダブルフォールディングなので、簡単にシートを倒すことができ、フラットなスペースを作ることができる。助手席の前倒し機構もあり、長尺物でも車載が可能だ。また、リヤシートの左右独立スライドやリクライニングなどもS、Xグレードには装備されるので、より快適な居住性を得ることができる。
クルマに乗り込むときに感じたのは、ドア開閉の感触がいいことだ。コンパクトカーにありがちなチープな開閉音ではなく、上質と感じる閉まり方をする。それだけで気分もよくなるのだが、乗り込むと運転席からはヒップポイントが高めのため、見晴らしがよく、またAピラーには三角窓もあるため、より広い視界が確保されている。当然、死角は少なくなっている。
シートのでき具合やダッシュボード周辺の品質も、クラスを超えたレベルであり、上級車からのダウンサイジングユーザーでも不満はないだろう。落ち着いたトーンのダッシュには、効果的にシルバー塗装やメッキパーツが使われ、コンパクトカーセグメントのそれではない。
さて、その外観だが、さまざまな世代から受け入れやすいデザインで、個性的な主張を控えている感じだ。ただ、ワゴンRやパレットなどに比べればワイドになった分車両全体の安定感はあり、フロントマスクも好印象だった。個性的なMRワゴンなどに比べれば驚きは少ないデザインだが、訴求方法として、この定番的なトールワゴンのデザインに納めてきたということだろう。
走行をしてみると、スイフトと共通の1.2LのK12B型エンジンは驚くような性能ではないが、街中を普通に乗るには十分という印象。組み合わされるCVTも滑らかであり22.5km/Lという燃費はありがたい。これには転がり抵抗の少ないタイヤを装着している点も見逃せない。ちなみに試乗車のサイズは165/65-14でヨコハマのアスペックだった。
パワーステアリングは電動アシストで、意外にも操舵感は重めだった。速度域が高くなるほど重めの操舵感は歓迎であり、軽自動車と明らかに違う部分であるとも感じる。しかし、車庫入れなどで据え切りをするような場面では逆に重く感じるので、このあたりの味付けは変更があってもいいのではないだろうか。
直進性やブレーキタッチなどの走行性能では、かなりしっかりした感触があった。ブレーキペダルの踏力と比例するように制動され、制動力も十分に感じる。直進性も強く、安心感ある走りだった。
文:編集部 髙橋 明
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