新型MRワゴン 発売

スズキの軽自動車トールワゴン、MRワゴンがモデルチェンジし、2011年1月20日から発売された。今回のモデルチェンジはプラットフォームからエンジン、トランスミッションまで新しくされたフルモデルチェンジだ。

↑車両概要動画

開発コンセプトは、低燃費、空間広々、個性的なデザインの実現である。またターゲットユーザーは20代の男女とされている。

プリント タッチパネル

2001年に発売された初代MRワゴンは、モノフォルムの先進性と多用途な使い勝手を訴求し、2006年発売の2代目では「ママ・ワゴン」と、主婦層をターゲットにした利便性、使い勝手を重視したコンセプトであったが、3代目となる今回は20代という若いユーザー層にアピールすることにしている。主婦層、ファミリー層はパレットでカバーし、スズキがやや不得意とする若いユーザー層を取り込もうという政策といえる。

このため、基本骨格のロングルーフのトールワゴンであることに変わりはないが、エクステリアはファニーフェースやボックスフォルムを強調し、インテリアはシンプル&モダンで家電を意識したデザインとなっている。オーディオはタッチパネルを採用し、スマートフォンンとの親和性を高めているのが特徴だ。

プリント プリント

エンジンは以前から使用してきたK06A型から、新設計のR06A型に16年ぶりに進化した。3気筒、DOHCであることに変わりはないが、軽量・コンパクト化、低フリクション化を徹底している。

ボア・ストロークはK型の68×60.4mmよりロングストローク化し、64×68.2mmとなった。コンパクト燃焼室にすることで、圧縮比はレギュラーガソリンで11.0となっている。ピストンやコンロッドの軽量化、ピストンリングの低張力化に加え、クランクシャフトも16%程度細径にしている。

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その一方で、シリンダーブロックは剛性向上がはかられ、ディープスカートのブロックと鋳鉄ベアリングキャップ、アルミ製オイルパンを組み合わせている。点火プラグは軽自動車初のM10ロングリーチ式とし、燃焼室周りの冷却性を向上している。

NAエンジンは軽自動車初となる吸排気VVTを、ターボ版は吸気VVTを採用し、燃費は、NA版が25.5km/L、ターボ版が22.5km/Lとなっている。なお、エンジン重量は、NAが51.9kg、ターボが55.7kgで、これらは軽自動車で最軽量だという。またエンジンマウントはヨーロッパ車のようなペンデュラム式(振り子型)に変更されている。

燃焼室 Plug

トランスミッションは、変速比幅が格段にワイドなジャトコ製の副変速機付きCVTを搭載し、エンジンとCVTの間には減速ギヤが配置されている。しかし、エンジンの進化に合わせとりわけNAはハイギヤードにされており、トータルでハイギヤでの走行ができるようになっている。なお、この新エンジン、トランスミッションともに今後のスズキの他車種にも拡大され、時期を見てアイドルストップシステムも採用されると考えられる。

CVT

新プラットフォームはホイールベースが2425mmとこれまでより65mm延長され、スズキの軽自動車の中では最長になった。またアッパーボディは、Aピラー、Cピラーともに立てたボクシーなデザインのため、前後の乗員間距離、室内長ともに大きなゆとりを生み出している。もちろんシートの着座姿勢はアップライトで、着座位置は前席で地上高650mmと十分な高さに設定されている。前席の左右方向のウォークスルーがしやすいように段差を少なくし、リヤ席はほぼフラットとしている。

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リヤシートの折り畳みは、T、Xグレードではダブルフォールディング式、Gグレードはシングルフォールディング式となっている。またリヤシートのスライド量はT、Xで160mmの範囲で可能で、リクライニングも6段階の設定がされている。

サスペンションはフロントがストラット式。アッパーマウントは1ヶ所止めを新採用。リヤはトーションビーム式となっている。

新型MRワゴンは、軽量化と静粛性の向上にも重点的に取り組んでおり、最も装備がシンプルなGグレードで790kgとクラス最低車両重量を達成。フル装備のTグレードで830kgと、同クラス車より約70kg軽くなっている。

軽量化、転がり抵抗低減のため、タイヤも145/80R13、155/65R14など細径タイヤをあえて選択している。

安全装備はESP(BA・ヒルホールド付き)、フロントサイドエアバッグ、カーテンエアバッグがメーカーオプションとして設定されている。

価格表

Auto Proveのひと言

軽自動車の場合、女性ユーザー層が多いため、どのようにユーザー層にアピールするかを各メーカーが工夫しているが、新型MRワゴンはクルマ離れが進んでいるといわれる20代の男女にターゲットを合わせている。若いデザイナーが中心となってTOYライクではあるが、個性的なエクステリアと、現代的な家電製品のようなインスツルメントパネルデザインを採用した。これは今までにない新しいチャレンジといえる。

文:編集部 松本晴比古

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