スバルは2022年12月1日、新型コンパクトSUV「クロストレック」の価格を発表し、受注を開始した。
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新型クロストレックは、従来の「XV」の車名をグローバル車名に変更し、新たなスタートを切ることになった。そしてその詳細情報もようやく明らかになった。グレードはフル装備モデルの「リミテッド」、標準モデルの「ツーリング」の2グレードで、それぞれにAWDとFFが設定されている。
パワートレインは全モデルがe-BOXER/モーター内蔵リニアトロニックCVTの1スペックのみとなっている。
アウトライン
新型インプレッサとプラットフォーム、ボディ&骨格は共通となっており、デザイン手法、ボディサイズともに従来型「XV」のコンセプトをキープしながら細部をアップデート、熟成を図っている。
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ボディサイズは、全長4480mm、全幅1800mm、全高1580m(ルーフレール/シャークフィン・アンテナ含む。なしの場合は1550mm)、ホイールベース2670mm。そしてSUVらしく最低地上高は200mmを確保している。
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またこの地上高に加え、前後のオーバーハング形状を最適化することで、アプローチ角、デパーチャー角を十分確保し、優れた悪路走破性を確保。さらに、極悪路や滑りやすい路面で走行するためのX-MODE、ヒルディセントコントロールなども装備されている。なおX-MODEでは、前進時だけでなく後退時にもe-BOXERのモーターアシストが働くように改良され、より悪路、滑りやすい路面でも脱出しやすくなっている。
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パッケージングでは、グローバルCセグメントサイズを守りながら、クラストップレベルの広さ、使いやすさ、利便性を追求。ラゲッジ容量は、リヤボディを絞り込んだ結果やや減少しているが、実際の積載では従来と同等レベルとしている。
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パワートレイン
パワートレインは、2.0L直噴のFB20型の水平対向4気筒エンジンとCVTに内蔵したモーターを組み合わせたe-BOXERのみの設定だ。FB20型は145ps/188Nmを発生。CVT内蔵のモーターは13.6ps/65Nmを発生する。CVTの変速比幅は7.0で、7速マニュアルシフト機能も備えている。
駆動システムはAWDとFFを設定。FFの導入により、より幅広いユーザー層に訴求する狙いがある。AWDは後輪も積極的に駆動を担当する。また滑りやすい路面のAWD制御では従来の舵角制御から横滑り角制御に改良することで、よりリニアでコントロールしやすい前後駆動トルク配分特性としている。
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FB20型エンジンは、クランクシャフトの振動を抑制するために、高剛性のオイルパン補強フレームを追加。さらに高剛性のアルミ液封エンジンマウントも採用することで全回転域で振動、騒音を抑制。
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CVTも従来型のリニアトロニックをベースにチェーン音の改善、フリクション低減アイテムを採用。静粛性と燃費をともに向上させている。
また、シフトセレクターのノブ位置を従来型から約40mm高く設定し、より自然に操作できるレイアウトとした。そして操作時の質感に着目した新しい評価指標を導入。シフトレバーの操作感や音に寄与の大きい部位を重視し、シフトノブボタンのリンク構造のロッド引き上げ式からロッド押し下げ式への変更、箱形構造の採用によるレバー剛性向上など、徹底的な最適化を行ない、素早い操作時のガタつき発生を軽減し、操作時の質感と音質を向上させ、気持ちよい操作感を生み出している。
シャシー
サスペンションは、AWD、FFともにフロントがストラット式、リヤがダブルウイッシュボーン式を採用。スバルとしては初のe-BOXERとFFの組み合わせとなるが、アクセル操作に対して素早くトルクを発生する電気モーターとFFを組み合わせることで、小気味よく軽快な走りが実現。さらにSI-DRIVEでスポーツモードを選択すれば、e-アクティブシフトコントロールによりスポーティな走行が可能になる。AWDと同様の心地よい走りを実現するため、サスペンションや電動パワーステアリングのアシスト特性をFWD専用にセッティングを採用している。
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フロント・サスペンションはサブフレームの剛性向上、スタビライザーの効率向上を図り、リヤでもサブフレームの剛性向上、ダンパーの改良を加えている。
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また電動ステアリングは、新たに2ピニオン式の可変ギヤ比電動パワーステアを採用し。リニアで遅れのない、滑らかな操舵フィールを実現。
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新型クロストレックは、第2世代のスバル・グローバル・プラットフォームに新たにインナーフレーム構造のアッパーボディを組み合わせている。これによりねじり剛性は10%向上している。細部ではメンバーフレーム、シートフレームなどの取り付け部のボルト取り付け剛性の向上、構造用接着剤の大幅採用、塗布式サイレンサーの採用などにより、乗員が感じるボディの質感、静粛性を大幅に高めている。
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そしてサスペンション周りの剛性を高めることで、操縦安定性、乗り心地、静粛性をアップグレード。また、特にフラットな乗り心地とクルマ酔いのしにくさを追求し、医学的なアプローチも行ない、乗員の頭部の揺れの低減、ルーフ周りの騒音の低減、そしてシート取り付け剛性の向上、シート形状の改良により乗員の骨盤支持性能を高めるなど新たな技術を投入し、より上質な乗り心地を生み出している。
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またブレーキも新たにハイレスポンスの電動ブースターを採用し、コントロール性のよいブレーキ性能を実現している。
インフォテイメント
インフォテイメントでは、11.6インチ縦型センターディスプレイ(リミテッドに標準、ツーリングはオプション)をレヴォーグに続いて採用。スマートフォンの接続性を大幅に高めている。そのため、ナビ機能はオプション設定となっている。スマートフォンのナビ・アプリをフルに活用することができるのだ。
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スマートフォンは、Appleはワイヤレス接続、Andoroidは有線接続が可能。スマートフォンの音声検索機能なども活用できる。
また純正ナビ機能では「what3words」を採用し、このアプリにより3個の単語を音声、またはタッチパネルで入力すると、目的地の詳細(3m四方)を、住所情報などが不要で簡単に設定することができるのだ。
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この他にコネクテッド・サービスの「スターリンク」も大幅に進化した。リコール告知、ソフトウエアの無線更新が無料で、有料契約では自動事故通報システム(ヘルプネット)のベーシックと、車内WiFi、スマートフォン、スマートウォッチを使用するリモートサービス、SOSコール/車両診断アラート/セキュリティアラートなどがセットになったオプションプランの2プランが用意されている。
アイサイト
運転支援システム「アイサイト」も大幅に進化している。ステレオカメラに加え、アメリカ仕様で先行していた広角単眼カメラを追加した3カメラ方式を採用。前側方レーダー、後側方レーダー、リヤ・ソナーを組み合わせた全方位安全システムとしている。
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特に広角カメラを採用したことで、右左折時の自転車や歩行者の検知能力、横断する自転車などの検知能力が高められ、より正確に衝突回避ブレーキをかけることができるようになっている。
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さらに緊急時プリクラッシュステアリングにより、ブレーキの制御だけでは衝突回避が困難な場合に、操舵支援制御が行なわれ衝突回避をサポートするなど、衝突回避のポテンシャルが高められている。
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もちろん、ツーリングアシストと呼ぶ先行車追従操舵制御、全車速追従機能付クルーズコントロール機能も備えている。さらに新型クロストレックからは、新開発のドライバー異常時対応システムも追加している。
ツーリングアシストの作動中にハンドル操作が一定時間検知されない場合に警告が表示され、それでもドライバーの反応がない場合は減速・ハザード点滅・ホーン吹鳴を行ない、自動的に停止し、ヘルプネットに自動接続するようになっている。もちろんレヴォーグなどに搭載されている、ドライバーモニタリング機能ではドライバーの居眠りや脇見を検知、警報する他に、ドライバーを識別して、シートポジションやドアミラー角度を自動設定する機能も備えている。
このように新型クロストレックは運転支援システムにおいても、クラストップの機能を備えており、ある意味ではクラスの常識を超えた装備ということができる。
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価格
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