SUBARU XVがフルモデルチェンジをし、「クロストレック」と改名して間もなくデビューする。正式デビュー前のプロトタイプに試乗できたので、早速お伝えしよう。
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プロトタイプということで詳細が公表されていないが、ボディサイズは現行XVとほぼ同サイズで、コンセプトの変更もなさそうだ。クロストレックという名前は元々XVの北米での名称で、このフルモデルチェンジで名前の使い分けをせず、グローバルネームとして統一したわけだ。
パワートレインは2.0L水平対向エンジンの4気筒にモーターアシストをするマイルドハイブリッドとした「e-BOXER」を搭載。国内ではこのパワートレインの一択となった。仕向地仕様としてはNAやフルハイブリッドなどもありそうだが発表はしていない。
ボディサイズは、全長4480mm(4485mm)、全幅1800mm(1780mm)、全高1580mm(1550mm)、ホイールベース2670mm(2640mm)で、カッコ内は従来型XVのサイズでほぼ同じ大きさだ。従来どおりのCセグメントサイズになり、メインマーケットの北米も従来どおりだ。
グレード展開も未発表で、上級と標準という表現にとどまり詳細はわからない。ただ上級グレードは18インチサイズのタイヤ&ホイールで、標準グレードは17インチを装着している。そして装着されるタイヤはオールシーズンタイヤでスノーフレークマークのないタイプだった。
クロストレックはSUBARUの中ではエントリーモデルに位置付けられ、ライバルにはホンダのH-RV、次期型ZR-V、マツダCX-30あたりで、フォレスターとのカニバリもあるという。
現行XVと乗り比べてみる
試乗場所は、伊豆・修善寺のサイクルスポーツセンターを占有して走行。18インチの上級グレードでFFとAWD、そして現行のXVとの比較試乗というプログラムだった。
当初、オールシーズンタイヤということで、グリップ力やロードノイズなどのネガも考えたが、いざ試乗してみるとそうしたマイナス要素を一切感じることはなかった。現行型XVにはもちろんサマータイヤが装着されているが、その比較試乗でもタイヤによる違いはない。
AWDモデルで走行してみると、全体にしなやかさがあり上質になったことがわかる。その秘訣はスバルグローバル・プラットフォーム(SGP)の熟成が挙げられる。クロストレックにとって2巡目となるSGPは、すでにレヴォーグ、アウトバックでの採用があり、採用するごとにチューニングがされているので、クロストレックに搭載するときには、熟成度があがったというわけだ。
具体的にはサスペンションの取り付け部の剛性アップや、ルーフの振動を抑える減衰接着剤の採用、構造用ボディ接着剤の延長などが織り込まれている。さらにフル・インナーフレーム構造ということもあり、剛性感、かたまり感、ねじれ剛性などが大きく改善されているのだ。
したがって、全体がしっとりとした上質な走行フィールにつながっている。さらに電動パワーステアリングのEPSがWピニオンに変更されていることも好感触につながっている。タイトなコーナーを切り足しながら走行するシーンでは、ステアリングギヤ比が変更されたのか?と感じるほどで、XVではやや敏感に反応していたものがクロストレックではジワリ操舵がしやすくなっている。
また、エンジン本体の補剛をしたことで音が目立ちにくく、ワインディング走行時のエンジン音が控えめに聞こえてくることからも上質と感じることに貢献している。またAWDの旋回性も高く「良く曲がる」という印象を持った。あえてステアしてからアクセルを踏み込みアンダーステアとしたいところが、クルマは操舵方向へきちんと旋回してくので、ワインディングでの安心感も高い。
また今回シート構造を変更しており、仙骨を支える構造にしている。当初ドラポジの変更があったようにも感じられたが、どうやらシート構造の変化で着座姿勢がかわり目線の位置が変わったということだ。そのシートでは首の動きなど、乗り心地を良くするために新しい評価指針を取り入れたことも大きいだろう。
とくに全体の音、乗り心地、そして何が不快に感じるのかといったことの評価軸を持つことで、大幅にブラッシュすることができたとエンジニアの竹内源樹氏は説明する。
このように改善、熟成したクロストレックはドライスティックに変化したというより、細かいところを全領域に渡り煮詰めたためにワンランク上の上質さを手に入れたと言えよう。
今回の試乗コースでは路面が非常に綺麗でロードノイズや乗り心地といった評価は難しい。また高速走行のシーンもなかったため、断片的な評価になるが、XVよりワンランク上の上質さを手に入れたことは間違いない。
この先、公道で試乗した折には乗り心地や高速道路での動きなども見ていきたい。
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