SUBARUテックツアー vol.10
マニアック評価 vol662
スバルが恒例の「テックツアー」第10弾として、雪上試乗会を行なった。試乗車は最新のフォレスターとXVの2台で、それぞれ100kmほどの距離をリアルワールドで試乗した。あえてスタックしそうな箇所へ侵入し、AWDの走破力を試したり、日常の使い勝手を体験したりして短時間の新車試乗会では分からない性能を体験することができた。その結果、スバルのAWDは戦車のようにガシガシと雪道を走る体験をしたのだった。
雪国とはいえ、日常、走行するのは圧雪された雪道、除雪の行き届いた道路がほとんどで、稀に降雪直後などはかなり深雪となっている場合も遭遇する。また路地や山間部などでは除雪されていない箇所も多々存在するというのが雪国の日常だろう。
そこで今回のテックツアーの走行箇所は山形県の肘折地区。青森県の酸ヶ湯に次いで歴代深雪ランキング2位という豪雪エリアだ。もちろん、国道や大きな県道などは除雪もしっかりと行なわれているので、スバルのAWDでなくてもFF、FRでも走行できる環境がほとんどだ。
だが、あえて除雪されていないスキー場脇の路地を走行してみた。斜度はゆるい登りで徒歩で歩くと足首が埋まるほどの新雪が積もった状態。スバルXVでその新雪の中を進んでいくと、どんどん雪の量が増し「シャレにならないかも」という状態になったので、引き返すことにした。が、Uターンで見事にスタックしてしまった。
幸い天気は良かったので、車外に出て深雪や雪の硬いところを探し、チェック。前後にクルマを動かし、もがいてみたら、徐々に動かせる範囲が広がり、結局何事もなかったように脱出できた。これもXVのAWDとともに、最低地上高が200mmというのが大きく影響してると実感。ちなみにはフォレスターは220mmあり、またX-MODEも備えているのでそもそもスタックしなかったかもしれない。ちなみに試乗車にはブリヂストンのブリザックVRX2を装着していた。
AWDの種類と特徴
XVに搭載しているAWDは「アクティブトルクスプリットAWD」という多板クラッチを使った常時、前後に可変トルク配分する方式で、駆動力配分は通常6:4で走行しロックまで可変させることができる仕組みだ。XVの他にはフォレスターやインプレッサにも採用されている技術だ。
仕組みとしてはセンターデフはなく、フロントからのトルクを多板クラッチを使ってリヤタイヤに配分する仕組みで、可変幅を制御できる特徴がある。スバルには4種類のAWDシステムがあり、このアクティブトルクスプリットAWDが最も多くの車種に搭載している技術だ。
ちなみに、他のAWDシステムでは、WRX STIのマニュアル車だけに搭載するセンターデフ+DCCD方式(ドライバーズコントロールセンターデフ)、高出力エンジン+AT用のVTD(バリアブル・トルクディストリビューション)、そしてビスカスLSD付きセンターデフ方式の4つがある。スバルのAWDの詳細はこちらを参照してほしい。
※関連記事:スバル雪上試乗会レポート スバルを支えるAWD技術をズームアップ
AWD
AWDと言えば「スバル」という印象を持つ人が多いと思う。他に同様の印象では三菱があり、輸入車であればアウディ、レンジロバーあたりが思い浮かぶのではないだろうか。そのスバルのAWDでは、まず国内でのスバル車率は2.9%。山形県では3.7%がスバル車だ。そのスバルのうち山形で走るスバル車の95%以上がAWDということで、スバル車であればほぼAWDなのだ。もちろんBRZや営業車のFFインプレッサがあるので100%とはならないが、日本のスノーベルトエリアでは人気だ。
今回のスバルテックツアーはメディア向けにスバルが実施しているイベントで、これまで9回開催されている。狙いはスバルの技術を始め、オーバーオールにスバルへの認識を深めスバルの魅力を伝えていくことだ。したがって、これまで研究施設、テストコースなどの開発部門の見学会や、生み出された技術を搭載した車両による体験会などが実施されてきた。
そして今回は深雪でのAWD走破力の体験という狙いで実施され、スタックさせても安心のAWD技術を体験してきたのだ。