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スバルXVとフォレスターが2015年10月にマイナーチェンジを行ない、その詳細はお伝えしているが、正式発表は東京モーターショー2015だった。その最新のフォレスター、XVの試乗テストを一足早くすることができたので、その内容をお伝えしよう。レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>
試乗コースは栃木県宇都宮近郊にあるGKNドライブライン ジャパンのテストコースで高速周回路とハンドリング路の2種類。高速周回路は100km/h程度で周回するオーバルコースだ。ハンドリング路は綺麗な舗装路面で整備されているが、サーキットほど道幅広くなく、車両1台がテストするための幅を想像してもらえばいい。
どちらも乗り心地を改良したモデルだが、印象に残ったのはフォレスターだ。フォレスターは、ガソリンNA(自然吸気)モデルとターボモデルの2種類あるが、車両重量が大きく異なっている。それは、エンジン重量差、高容量タイプのCVT差、そして装備の違いなどから100㎏と大きく異なっている。当然その違いはハンドリングにも表れてくるものだ。
ところが、フォレスターはNA車、ターボ車どちらも似たようにスバルらしさをもったハンドリングに仕上げてあることが強く印象に残ったのだ。グレード違いによって操舵フィールが異なるということがないのだ。近年ハイブリッドとガソリンでは性格が違うということもままある。つまり、HEV車はモーターに加えバッテリーを多く積む関係上、このフォレスターと同様に100kg程度の車重違いが起こり、その違いによってハンドリングも変わってしまうというのが実情なのだ。
スバルはハンドリングへのこだわりも強く、開発者も操舵遅れを意識においた開発をしている。それは前輪で操舵したコーナリングフォースを如何に速くリヤタイヤへ伝えるか?というのがポイントで、ボディの剛性やサブフレーム剛性の取り付け剛性、ステアリングギヤボックスの取り付け、もちろんサスペンションのセッティングなどの連携が確立されないと、理想のハンドリングが生まれない。もちろん、どのメーカーも当然狙っているフィールドなのだが、前述のように現実はそうなっていないもの。スバルは、そこのポイントにこだわりが強くあり、グレード違いでも同様に感じるように仕上げていることに感心したという意味だ。
したがって、グレード違いを飛び越えて、車種違いであるインプレッサ、レガシィ、フォレスターXVなど、いろんなモデルの間でも、スバルらしいと感じるハンドリングに仕上げられているのだ。言葉で書くと「そんなことか」というように思うだろうが、ここまで統一できているのはスカイアクティブ以降のマツダ車とスバルだけと言っても過言ではない。だからこのフォレスターは、SUVで車高も高くおよそWRXとは対極にあるようなモデルだが、ハンドルを握ってカーブを曲がると、スバルらしいと感じるわけだ。<次のページへ>
◆ハンドリングオタクも満足
具体的に説明すると、フォレスターで感心したのは、車両重量の軽いガソリンはノーズも軽く回頭性が高い。ジオメトリーからくる性格もニュートラルに近い弱アンダーでコントローラブルというのがガソリン車のキャラクターだ。コーナー侵入時にステアするとロールから始まり、ヨーを感じ、リヤタイヤの追従を腰で感じながら立ち上がる。途中、切り足し、ブレーキなど予期しないアクションにも、舵の方向にクルマは進む安心感がある。
一方、ターボ車は重量が重いため慣性モーメントが至る場面でNA車とは異なる。しかし、前後のトルク配分を変化させるトルクベクタリング、4輪個別にブレーキ制御できるコーナリングブレーキ機能などを稼働させ、ドライバーには期待通りの動きをするのだ。当然サスペンションも別特性のダンパーを採用し、最適化が図られている。
コーナー進入を同様に開始し、ロールを感じ、ヨーモーメントが発生する。アンダー傾向になる前に、制御が稼働し操舵方向に回頭が始まる。スロットルを開け加速させるとステア方向にちゃんと加速する。また、オーバースピードで進入してみると、今度はブレーキ制御が働きクルッと回頭し安定する。
極端に言えば、どんなハンドルの切り方をしても、ブレーキが遅れてもハンドルを切ればその方向にクルマは動き、カーブをクリアしてしまうのだ。それほど安定しており、安心感の高い走りを提供してくれる。
NA、ターボを乗り比べると100kgの車重差があっても、共に操舵した方向に進もうとするキャラクターという言い方ができる。ただ、フィール的にはジオメトリーによる操舵フィールと制御による操舵フィールの違いがあることは否めないが、結果としてはニュートラルなステアリング特性に仕上がっている。
◆XVはどうか
XVはインプレッサと同じプラットフォームで、アイポイントが高くクロスオーバーの要素を持つモデル。目線が高いと言いながら、ロールが大きく怖いと感じることもなく、自然なロールのレベルなので、誰もが安心して走れるだろう。
また、コーナリングの挙動はインプレッサをマイルドにしたイメージで、それでも十分スポーティでナチュラル。カーブを自然に曲がれる、違和感のないハンドリングを味わえるだろう。違和感がない、つまり敏感なセンサーが働かないと、じつは何も感じないわけで、【普通】と感じると思う。この自然に感じるということは逆に難しく、それがスバルのクルマには備わっているという印象だ。
今回の試乗はどちらも尖ったスポーツモデルではなく、一般のユーザーで量販を期待しているモデルだ。それでもスバルらしさがあるというのは、ブランドとして確立したアイデンティティと裏付けとなる技術が培われている証拠だと感じた試乗だった。このあと、公道による試乗会もあるということなので、一般道での乗り心地などは、その時にレポートしたい。
全国メーカー希望小売価格は以下の通り。