2026年3月5日にSUBARUからEVモデルの第2弾「Trailseeker」が発表された。
トヨタとのアライアンスで誕生
SUBARUは2026年度末までにEVのSUV、4車種を発表するとしており、現在は2025年7月にニューヨークで発表したソルテラより小型の「アンチャーテッド」があり、もう1台がラインアップに加わる予定としている。
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SUBARUのEVモデルはいずれもSUV系のラインアップでアドベンチャーをブランドイメージにしている。その車両開発はトヨタとのアライアンスで、企画、開発、生産を共同で行なっている。今回発表のトレイルシーカーもトヨタとのアライアンスで誕生しており、正式発表は4月上旬を予定している。今回は、ひと足早く新型トレイルシーカーの情報をお伝えしつつ、プロトタイプに雪上で試乗したので、その情報もお伝えしたい。

このトレイルシーカーはソルテラと共通する部品も多く、兄弟車的な存在だが、ボディサイズは少し大きくなっている。ソルテラは2025年10月にD型へと変わり、この時に大幅な内外装デザイン変更、バッテリー容量の拡大、新たなAWD制御による動的性能の向上を果たしている。そのあたりをベースにしてトレイルシーカーは開発され、もちろんトヨタとの兄弟車でもある。








トヨタでは先行して発表しており「bZ4Xツーリング」としていることからも、ベースはソルテラ/bZ4Xであることはわかる。共同開発についてはトヨタの技術本部へSUBARUのエンジニアが出向き、共同開発をしている。トレイルシーカーの開発責任者である井上正彦氏はSUBARUのPGMを兼ねながら、トヨタのミッドサイズカンパニーを兼務している。そのため、月曜、火曜、金曜がSUBARUで水曜、木曜がトヨタで働いており、400kmの距離を毎週移動しているそうだ。
ちなみにトヨタとの共同開発は2005年にスタートしており、これまで86/BRZ系を2世代に渡って開発してきている。
トレイルシーカーの生産についてはSUBARUの矢島工場で生産され、矢島工場はICEモデルとの混流生産で製造される。また部品の調達に関してボディ関係の大型なパーツ、シャシー、シート、バッテリーケースはSUBARUが担当し、モータやハーネス、E-Axe、ECUなどはトヨタが調達を行なっている。
またバッテリーはトヨタが調達をし、SUBARUの大泉工場、矢島工場で車載用のバッテリーパックを生産し、車載する工程を担当している。ちなみに、今後発表予定のEVモデルはトヨタの元町工場、高岡工場での生産が予定されている。
SUBARUのアドベンチャーはEVで実現
さて、トレイルシーカーのボディサイズは全長4845mmで、ソルテラより+155mm長く、アウトバックより-25mm短い。全幅は同じ1860mmで、アウトバックより少し小ぶりなサイズで-15mmとなっている。全高はソルテラが1650mm、アウトバックは1675mm、トレイルシーカーは1670mmだ。
ソルテラがベースとはいえCピラーから後ろは大きくサイズが異なっており、荷室容量で比べるとソルテラ452L、アウトバック561Lに対してトレイルシーカーは633Lと圧倒的な広さを持ったSUVなのだ。



つまり、トレイルシーカーの位置付けはSUBARUらしい実用性の高いSUVであり、非日常でも使いやすいことをコンセプトとし、アウトバックに近いポジションに位置付けている。したがってターゲットユーザーもアウトバックからの乗り換えを積極的に展開したいというわけだ。
PGMの井上氏は「SUBARUのアドベンチャーはEVで実現し、そのためのSUBARUらしいCUV(クロス・ユーティリティヴィークル)に仕上げた」と語っている。
インバータに高価なSiCを採用
パワーユニットを見てみよう。航続距離は700km以上とし、280kW(380ps)のAWDでWRXよりもパワフルなユニットを搭載している。駆動方式はFWDとAWDを用意し、バッテリー容量は74.7kWh、フロントモータは167kWで、リヤモータも同じモータを搭載している。ソルテラのAWDはリヤモータが88kWと小さかったが、車格をあげて出力も上げたわけだ。
そのモータを制御するインバータは、興味深いことにスイッチング素子にIGBTではなくSiCを採用している点だ。SiC(シコンカーバイド)半導体はIGBTと比較し、高耐圧、低損失、高温動作、高速スイッチングに優れ、EVのスーパースポーツモデルに採用する高価な半導体でもある。また電力効率が大幅に向上することと小型・軽量化にもつながるのだ。
EVは日々進化を続けているが、SUBARUの最新EVとなるトレイルシーカーの進化点としては、ECUの統合が進んでいる点もある。AD/ADAS、IVI、ボディ、パワートレインなどの各ドメイン(領域)ごとにECUが統合され、それぞれのオペレーションシステムで稼働する仕組みになっている。
こうしたECUの統合はユーザーにダイレクトにメリットは感じにくいが、エンタメ系や運転支援系、電費などでは、より高度な制御が可能になるため、結果としてメリットを受けているのだ。このECUの統合は最終的にはハイパフォーマンス・コンピュータがすべてを制御し、そのオペレーションシステムをトヨタは「Arene(アリーン)」の名称で開発をしている。
SUBARUもアライアンスの関係でアリーンを採用すると想像するが、アイサイトやX-MODEなどSUBARU独自の制御が必要な領域もあるため、すべてをアリーンOSになるのかは疑問が残る。ちなみに、このトレイルシーカーにアイサイトは搭載されておらず、トヨタのADASシステムが搭載されている。



雪上でも安心安全
さて、そのトレイルシーカーに試乗したのは群馬のサイクルスポーツセンターで、雪上ドライブだった。路面状況はアイス状態が多く、陽の当たる部分はザクザクに溶けているような状況だった。試乗車はAWDで、アップダウンもありつつ、狭いワインディング路の周回コースを走ってきた。


コーナーでは回頭性が高く、スッとノーズがイン側を向き、アクセルを開けるとリヤのモータによる押し出し感がある。前後のトルク配分は瞬時に変化しているのだろう、滑りやすい路面でありながら滑らかに、そして安定して走行できることが印象に残った。


ドライブモードにはエコとノーマルとパワーモードが備わっているが、ノーマルが運転しやすかった。本来はエコモードがおすすめなのだろうが、ある程度車両姿勢のコントロールができるドライバーであれば、エコモードの反応の穏やかさはレスポンスが悪く感じてしまうかもしれない。またパワーモードはレスポンスが良すぎて、トルクが瞬間的に立ち上がるので、こうした滑りやすい路面では扱いにくい。
またパドルシフトを備えており、回生ブレーキがこうした雪道では有効に使えるが、もっとも強い回生ブレーキもそれほど強い減速Gは感じられなかった。

雪上で、しかもコンディションは荒れた状況でも乗り心地は良く、高い静粛性もあり、高級に感じられ、十分にアウトバックからの乗り換えユーザーも満足できる質感を持っていると感じた。入力のいなしや角の丸い入力など上質な揺れに感じられ、重量物を床に置くメリットが活かされた大衆車の高級化ができているモデルだった。
なお、トレイルシーカーの正式発表、受注開始日は4月9日(木)となっている。













