スーパーGT2022 SUBARU BRZ GT300 ウエットコンディションの開幕直前公式テスト 連覇の鍵は!?

オートバックス スーパーGT2022の開幕直前公式テストが3月26日(土)、27日(日)に静岡県小山町の富士スピードウェイで開催された。

SUBARU BRZ GT300は昨シーズン、シリーズチャンピオンを獲得しディフェンディングチャンピオンとして迎えるシーズンになるが、今季はレース距離を長くしたものも含まれるため、燃費をはじめ戦略の幅の広さが要求されるシーズンになる。

雨天でのテストが想定より多い富士での公式テストだった

テストでのクラッシュ原因は?

さて、BRZ GT300は3月上旬に岡山国際サーキットでプレシーズンテストを行ない、その後公式テストも岡山で行なっている。それぞれのテストでは、かつてないトラブルに見舞われ、井口卓人がブレーキトラブルからのボディサイド左側を当てるクラッシュを喫し、続く公式テストでも今度は山内英輝がステアリングトラブルでスポンジバリアに正面からぶつかるクラッシュをしている。

これらのアクシデントに対し、小澤総監督は「何かを大幅なアップデート、改良をしようとしたとき、シーズン中は難しいので、オフシーズンにトライをします。連続チャンピオンを狙うには、マシンのアップデートは必須で、このオフシーズンにECUを変更しました。より燃費が良く、レスポンスを上げるためです。そして6ポッドリグでのテストからのサスペンション設定の見直しなども行い、テストに臨みました」

「そうした中、これまでと違ったアプローチで改良を試み、いいものが見つかり、いい方向の改良ができていましたが、それ故に、いままで以上にパーツに負担が増えていたようです。テストでは限界を上げたために強度的に限界を超えてしまいました。アクシデントが起こる前に我々が見つけられなければいけないと反省しています」と話していた。幸い両ドライバーに怪我はなくダメージも負っていないということで、不幸中の幸いだった。

ダメージは小さい

こうしたアクシデントを経て、開幕前最後の公式テストを富士スピードウェイで迎えたわけだが、土曜日の午前は小雨からウエットになるコンディション。このテストで本番に向けて最終的な本番仕様を決めていく大事なテストになるのだが・・・・・・。

山内英輝がドライブし、エンジン、サスペンション、空力の総合的な取りまとめに取り掛かった。午前中2時間の走行でさまざまな項目をテストし、順調にまとめ上げていく。タイムも全体2番手のタイムを計測できており、まずまずの状況でマシンを降りた。残り30分で井口卓人に交代するもコース上のトラブルがあり、赤旗で終了。井口はほぼ走行できずに午前の走行を終えた。

午後はオフィシャルスケジュールが変更され、2時間の走行時間が1時間に短縮。コンディションはヘビーウエットに変化。ところが、BRZ GT300のエンジンが始動できない。

想定外?ウエット走行時間が多かった

小澤総監督は「プログラムエラーで電気系にトラブルが出てしまいました。単純なヒューマンエラーで申し訳ありません。ただ、ヘビーウエットでは持ち込んだタイヤのマッチングも難しい状況でしたので、走行できなかったダメージは小さくて済みました」

午後のこの走行枠ではダンロップ勢すべてが上位に顔をだせず、16度前後の路面温度と雨量のマッチングはできていない様子。仮にBRZ GT300が走行をしたとして得られる情報は限られたものになっていただろうと想像でき、最小限のダメージということだ。こうして公式テストの初日を終えた。

ドライのままのウエット走行

翌日はドライの天気予報ではあるものの、ウエットコンディションが継続。前日走行できなかった井口がステアリングを握り走行を開始。走行は2時間、GT300専用の時間も10分間予定されている。

今回のテストではGTAから内示されたBoPに従ってテストに臨んでいる。雨は止む予報なので、マシンはウエットセッティングに大きく変更せず、ほぼドライセッティングのままECUのマッチングをテストしていた。

当然タイムは伸びず24番手付近のタイムで井口も歯痒いものを感じていたはずだ。「いろいろ噛み合ってない感じ。タイヤも合ってないし、エンジンにも欲しい部分が出てきていて、もっと煮詰める必要を感じています。午後は、ドライで走行できると思うので、ロングランの予定でいます」と午前の走行を終えた井口は話す。

リヤウイングの角度調整などミリ単位で変更する

トップスピードが苦しい

午後の走行時間は3時間で、前半井口が乗るものの、路面はウエットの部分が多く、スリックに履き替えるタイミングが難しい。そうした中、「ECUのマッチングではアンチラグ制御とコーナー立ち上がり時のアクセルのツキに関しテストを繰り返していました。まだ納得できるレスポンスではないのですが、ウエットであることを考えるともう少しデリケートなレスポンスが欲しいイメージです」と井口は話す。

マシンの細部の詰めを行なっている様子だ。ドライブフィールはGT300でも重要な項目で、ドラビリの良し悪しでタイムにも影響は及ぶ。単純なスペックだけではタイムに結びつかないのもGT300の難しい部分だ。

残り時間2時間で山内英輝に交代。路面は部分的にウエットが残るもののスリックで走行できるため、山内はタイヤテストをする。4〜5周ごとにピットインしタイヤを交換する。タイムも上位に顔を出し始める。おおむね、6番手〜8番手付近のタイムで安定して計測できている。

しかし、気になるのはトップスピードだ。JAF勢で速い52号車、60号車とは2〜3km/h程度の差があるが、それは昨年とほぼ同じ。しかしGT3勢からは10km/hほど最高速が遅い。手元のデータではGT3のフェラーリ、ランボルギーニ、BMWは275km/h前後をコンスタントに記録するのに対しBRZ GT300は265km/h前後というのが多い。

カナード形状やフリックボックなど細かく空力変更をテスト
フリックボックスタイプを装着している

他のマシンの燃料搭載量やテスト内容が分からないため、単純比較は難しいが今季、トップスピードが苦しくなるのは間違いなさそうだ。また、過給圧が低くなるため、加速性能も落ちる。その分燃費には好影響となるものの、どこまで燃費に貢献するのか本番レースで見えてくる部分だ。

6ポストリグテストなどから得られたデータをもとにオフシーズンにトライしたサスペンション・ジオメトリーについて、これまでにないアプローチで荷重コントロールができるようになっているという。さらにターボラグを解消するとろこまでECUの制御を追い込み、ドラビリを向上させ、コーリングスピードをさらに磨きかけるというのが、連覇への鍵になるだろう。そしてもちろん、ドライバーのテクニックによってポイントをもたらす展開になることを期待する。

スーパーGT開幕戦は4月16日(土)、17日(日)岡山国際サーキットで幕を開ける。<レポート:高橋アキラ/Takahashi Akira>


The Mortor Weekly

ページのトップに戻る