スバル/STIは「WRXファンミーティング2019」を愛知県新城市の「ふれあいパークほうらい」でイベントを開催した。集まったスバルファンはWRXのオーナーを中心に約1000台のWRXが全国から集まり、イベントを楽しんだ。イベントではEJ型エンジンの開発に携わったエンジニア、車両開発担当者などがステージでトークショーを行ない、開発秘話など滅多に聞けない「ここだけの話」で会場を盛り上げていた。
ペター ソルベルグ登場
さらにスペシャルゲストとして2003年にEJ20型エンジンを搭載したインプレッサでWRC世界チャンピオンとなったペター・ソルベルグも登場し、その後チームメイトになるトミ・マキネンも現れ、来場者のテンションも最高潮になった。ステージでは二人のトークショーの他にペターはデモ走行も行ない、ドーナッツターンを狭小スペースで披露するなど、マシンコントールの確かさは微塵も衰えていないテクニックを見せつけた。
ふれあいタイム
スバルはEJ20型エンジンの生産終了し、30年の歴史に幕を閉じることを発表したが、その歴史にはWRC世界チャンピオンの獲得や複数回にわたるニュルブルクリンク24時間レースでのクラス優勝、そしてスーパーGTのGT300クラスで走るBRZに搭載する現役エンジンとしても活躍している。また、現在も市販車両のWRXにも搭載され、数多くのファンがいる。
そうしたファンたちは、開発スタッフとの「ふれあいタイム」で直接1対1での対話ができるチャンスがあり、愛車に対する想いを熱心に語る姿が印象的だった。
参加者の浅見さんは、純正タイヤにこだわりコンプリートモデル専用タイヤのブリヂストンRE070を探して装着。もともとレガシィのBG、BH、BPと乗り継ぎ、しかも全てスペックBだったというが乗り換えのタイミングで、MTに乗りたかったという理由から、2013年モデルを探して買ったという惚れ込みよう。STIの森さんへは、「限定車には特別なものがついているので、それを維持するためにレストア部門を作って欲しい」ということをお願いしていた。
STI開発副本部長の高津益夫さんはスバル時代、現行WRXの開発責任者。釧路から参加の工藤さんは、17年式のWRX D型タイプSを所有。「D型はロワグリルの面積を少し大きくして、重心の低いイメージの顔にした」と高津さんが説明し、工藤さんは、「お気に入りはこの黄色いキャリパーですね。ガンメタのホイールとすごくマッチしていて気に入ってます。もともとレガシィ派で、BF5からBG5にいってBE5、BL5と乗り継いでターボがなくなったので、フォレスターに変えました。でも、なんとなく合わなくて1年でWRXに変えました。自分が買った中ではこのクルマが一番かっこいいかな」と。
3月の富士スピードウェイにはBRZで参加。今回はS208で参加していた岩田さん。しかし話はBRZの話へ・・・センターパネルのオーディ周りの処理で、ピアノブラックの処理があるけどシルバー処理されているのが気になる。これを業者にお願いして・・・と、こだわりの強い岩田さんは、具体的なデザイン処理を自分でカスタマイズ。
一緒に写真に収まるのはスバルの商品企画本部 本部長の阿部一博さん。スバル車全体の商品企画を見渡す立場だが、スバルは組織上の立場が上になると直接ユーザーと触れ合う機会がへってしまう。しかし、役員自身がユーザーと直接触れ合うことも重要と考え、今回阿部さんも参加したという。阿部さんも、「ダイレクトにユーザーの声を聞き、フィードバックしていく」とコメントしてくれた。
ペターの引退
イベント終了間際では、メディア向けにペーター ソルベルグのインタビューの機会もあった。
ーー今季を振り返って
「今季は自分のチームの運営で忙しかったですね。でも、このWRXファンミーティング2019の計画を聞いて、引退の世界ツアーの最中ですけど、ぜひ、このイベントに参加してファンのみなさんに伝えたかった。私は、プロの活動を止めますが、今後は自分のチーム運営に力を入れていきたいと考えています。他にも夢は他にたくさんあるんですよ」
ーー息子のオリバーについて
「息子はスバルモータースポーツUSAでスバルのレーシングスーツを着て優勝することが叶ったので、とても嬉しい。自分の引退の理由のひとつには体調を落としたこともありますが、息子が頭角を表してきたことが大きいです。来年は世界選手権に出るのでサポート役に回ることがベストだろうと。あ、私の体調はいまは回復しているので不安はありません」
ーー2020年に開催されるラリージャパンについては
「来年のラリージャパンは北海道より新城は東京に近いので、観客が多くなるでしょう。クルマも観客も多くなりますから、計画をキチンとする必要があります。そうすることで、今後もずっと安定してできることにつながりますし、それを期待したいです」
ーーEJ20型エンジンの終焉と引退が重なったことに関しては
「自分の引退では、これからエキサイティングな将来が待っていると思います。私の引退とエンジンの終焉は偶然重なりましたけど、STIのエンジニアが築き上げた歴史が背景にあり、特別な年になったと思います。未来は、環境や技術などすべてが変わっていくと思いますが、いい方向に進んでいくと思います。STIの社長平岡さんもEJエンジンを開発したした人なので気持ちが通じますね」