SUBARU BRZ GT300インサイドレポート チームは成長したのか スーパーGT2019 第8戦ツインリンクもてぎ

スーパーGT2019シーズンが終わった。スバル/STIのBRZ GT300はチームランキング13位、ドライバーランキング18位という成績になった。スバルファンをはじめ、チームスタッフ、そしてドライバーも決して満足のできる結果ではないだろう。だが、チームに密着して取材してきたオートプルーブは、「内容の充実」という変化を感じるシーズンに見えた。

12位で最終戦を終えることになったが、タイヤ無交換作戦が初めて挑戦できたレースでもあった
12位で最終戦を終えることになったが、タイヤ無交換作戦が初めて挑戦できたレースでもあった

結果がすべてなのか

数字で示す結果は自慢できるものではないが、技術をみてきたオートプルーブとしては2018年シーズンより、技術的なトライと結果を残せているシーズンだったと考えている。

最終戦は予選15位からスタートし、決勝は12位でゴールした。オンボードカメラによるライブ配信もあり、コーナー立ち上がりでGT3に離されていく姿はまさにパワー不足。しかし、そのパワーは主催者による性能調整を守っている証拠でもある。

スーパーGTはレースエンターテイメントに位置づけられ、抜きつ抜かれつの白熱した展開がファンを惹きつけているレースだ。そのためには、さまざまなレギュレーションで作られたレースカーの性能を調整する必要があり、主催者から細かな指示が出されている。そうした中で常に上位に食い込むレースをするには、新しい技術的な試みが必要になり、2019年のBRZ GT300は多くのトライを重ねてきていた。

だから、結果を数字だけで判断すれば、下位に沈んだシーズンではあるが、技術的トライについては多くのデータを蓄積できたシーズンであり、データの関連付けも見えたシーズンでもあったわけで、実り多いと言っていいだろう。

最終戦でのトライとは何か

もてぎはスバルファンなら知っているデータだが、2017年までは相性が悪くノーポイントが数年続いているレースだった。その原因を追及し修正して望んだのが2018年のレースだ。現在の渋谷真総監督就任の初年度だ。代表的な改良ポイントを振り返るとブレーキの改良があった。

もてぎのコースレイアウトはストップ&ゴーが連続し軽量、小排気量のBRZが戦うにはブレーキングで突っ込むことがひとつのアドバンテージとなる戦い方だ。リズミカルに連続するコーナーがないため、得意とするコーナリングマシンの特性を活かせないサーキットでもある。そのためブレーキを今まで以上に強化する必要があった。逆に言えば、ブレーキは弱点でもあったわけだ。そこでローター径の拡大、ブレーキ冷却のやり直し、摩材の選び直しとマッチングなどを行なったのが2018年初頭だ。そのため2018年の開幕戦岡山では、その新ブレーキにトラブルを出した経緯もあった。

リヤの3rdダンパーもリンクをパラレルに変更し、切り返しのコーナーでも車両が安定すようになった
リヤの3rdダンパーもリンクをパラレルに変更し、切り返しのコーナーでも車両が安定すようになった

そして2018年の最終戦もてぎでは公式練習で全体トップ、予選4位、決勝6位の結果を出した。この時、決勝で順位を落としたのはピットストップの時間の長さだった。燃費がGT3より悪い、タイヤも4本交換する必要がある、といったことがあり、4位でピットインし、ピットアウトした時にはマージンを失い、さらに順位を落としていた。

必死の追い上げをしてなんとか6位まで順位を挽回した、というのが2018年のもてぎだ。そこで、今年は、ピットストップの時間を短くするため、タイヤ無交換作戦にトライしていたのだ。

一方で、2018年はタイヤの問題以前にマシンのセットアップに苦しんだシーズンでもあった。そのため年間を通してデータの蓄積を重ね、シーズンオフに2019年仕様の概要をまとめた経緯がある。その結果今季は、空力性能やトップスピードなどBRZ本体の性能に課題を抱えるというより、そこはコースレイアウトや路面のミュー、気象条件に合わせるといった調整レベルに仕上がったことが大きな変化だと言えるのだ。だから2019年はタイヤ性能がクローズアップされるようにもなったという見方もできる。

データの蓄積と活用というスタイルが渋谷総監督のやり方によって、BRZ GT300は大きく進化できた
データの蓄積と活用というスタイルが渋谷総監督のやり方によって、BRZ GT300は大きく進化できた
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