2019年4月20日、群馬県太田市にあるスバルビジターセンターで「トライ!! タミヤRCスクール in SUBARU」が開催された。実際にタミヤのスペシャリストの方にRCカーの組み立てを一から指導してもらえるほか、隣接する矢島工場の見学やスバルの歴史も深く知ることができるイベントだ。
「スバコミ（SUBARU WEB COMMUNITY）」というスバル好きな人たちのためのコミュニティ活動の一環で、スバコミではこういったイベントのほかにも、ネット上で自分のブログを展開したり、お気に入りの写真やドライブスポットの情報交換などを楽しむことができる。
お父さんのスバル愛がすごい
今回の「トライ!! タミヤRCスクール in SUBARU」は元々親子25組限定で募集したそうだが、想像以上に応募が集まり、急遽枠を拡大して30組にしたという。それでもたくさんの人が来られなかったというからすごい人気！タミヤでもこういったRCスクールは何度も開催しているそうだが、ここまで人が集まったのは初めてだそう。
開催時間が近づくにつれて、続々とスバル車が会場へと入って来る。親子で参加するイベントなので、ファミリーで使いやすい大きめのフォレスターやアウトバックなどが多いのかなぁと思っていたら、いいエンジン音を響かせて入ってくるWRXやBRZなどスポーツモデルが想像以上に多いこと！お父さんもお子さんもキラキラした表情でクルマから降りてくる。きっとクルマ好きなお父さんが、お子さんにもクルマの楽しさを伝えているんだろうなと思った。
まずはレガシィやインプレッサ、フォレスターなど生産されている矢島工場の見学から。ほかのメーカーの工場ではなかなか見ることができない、ボディのプレス工程を見せてもらえることには驚いた。子供たちも巨大なプレス機械が地響きを立てて動いているのをじーっと見つめている。
工場内を進んでいくと、たくさんの機械が滑らかに動いてボディを溶接したり、さらに人の手でエンジンやトランスミッションを組み付けたりと、徐々にクルマが完成していく。それぞれの前で足を止めて、お父さんに「あれなに？これなに？」と質問しながら、親子でクルマの勉強をしている姿が微笑ましかった。その後にビジターセンターの展示ホールで歴代のスバル車を見学したのだが、説明員のお姉さんよりも詳しいお父さんがたくさん。スバル車の特徴である水平対向エンジンについて熱心に話をしている親子もいた。
NBRマシンのRCづくりにチャレンジ
ひととおりスバルの歴史を学んでから、いよいよRCづくりへ！用意されていたのはなんと、ニュルブルクリンク24時間レースでクラス優勝した「WRX STI NBRチャレンジモデル」。今回はファーストトライRCキットという難易度低めのモデルではあるものの、それでもRCを一から組み立てることには変わりはない。工具などを使うのが初めてな子も多いようで、おぼつかない手つきで一所懸命ネジを締めていた。どうやら思いのほか力も必要らしく、立ち上がって上から力をかけて締めている子もちらほら。
「はい、それでは次はロアアームを取り付けまーす」と講師の方がいうと、子供たちも説明書を見ながらパーツを探し始める。自分の子供の頃を思い出すと、クルマのサスペンションすら知らなかったのに、この子たちはサスペンションを構成するパーツまで分かるようになるんだ！とRCの奥深さを改めて知った次第。
熱心に組み立てている東京都練馬区から来たご家族に話を聞いてみると、息子さんはスバルのエンジニアになりたいのだという。「アイサイトの本を読んですごいなと思って、それからスバルのエンジニアになりたいと思いました」そこでこのイベントにも張り切って参加したのだと、お父さんも嬉しそうに話をされていた。
RCの組み立てはとても時間がかかるので、途中で飽きてしまうのではないかと思ったが、子どもたちの集中力というのは本当にすごい。ひとつひとつのパーツを根気よく組み上げて、なんと約5〜6時間も作業に費やして、ようやく完成！朝早く出発した方たちもいて、疲れて途中で眠ってしまいそうになる子もいたが、全員がきちんとやり切ったことに感激。終盤では子どもたちの工具を扱う手つきもすっかり様になっていて、その成長するスピードには本当に驚かされる。
最後はいよいよ完成したRCを走らせることに。子供たちはみんな不安と期待が入り混じったような顔でコントローラーを握る。講師の方が合図をすると、全員がスロットルを開け、RCが一斉に走り始めた。そこら中から大きな笑い声や「うわー！」という叫び声も聞こえてくる。
まだ不慣れな子たちも多く、壁にぶつけてしまう子もいたが、みんな自分が作ったマシンをなるべく痛めないように必死でコントロールしようとしている。一から組み立てることは、こうやって物を大切にすることにもつながるのだろう。丸一日のイベントで参加者の皆さんも疲れたかと思ったが、完成したRCを抱えながら親子で話をする笑顔は、来た時よりもいきいきしているように思えた。
