スバルは2021年11月11日、トヨタと共同開発したグローバル市場向けのSUV電気自動車「ソルテラ」のワールドプレミアを行なった。
スバルの中村知美CEOは、「グローバルに展開するBEVとしてソルテラを開発するにあたって目指したのは、今後スバルが生み出すBEVの礎として、今BEVに求められるさまざまな期待を上回り、安心して選んでもらえる実用性を持ったクルマをつくること。同時にスバルのSUVとして、スバルに乗り慣れたお客様にもこれは紛れもなくスバルだと感じてもらえるクルマにすることでした」と語っている。
ソルテラは、86/BRZに続くトヨタ、スバルの共同開発第2弾となる。86/BRZはトヨタが商品企画、デザインを、スバルが設計、開発、生産を担当しているのに対し、ソルテラはスバルがトヨタの開発企画に参画する形になり、共同開発のスタイルには違いがある。
ソルテラとトヨタのbZ4Xの違いは、フロントグリル、前後バンパー、ライト類、インテリアの色使いや仕上げ、そしてモーター制御などだ。また運転支援システムはアイサイトではなく、トヨタ セーフティセンスを採用している。さらにbZ4Xではステアbyワイヤーがオプション設定されるとされているが、ソルテラは採用していない。
ソルテラのエクステリアは、スバルのテーマであるヘキサゴングリルを採用。そのグリルから始まる水平ラインが通ったボディサイド、独自のC字形のLEDを配置したヘッドライト形状を採用している。
インテリアは、低いインスツルメントパネルデザインで、ステアリングホイールの上から見えるトップマウントメーターなどはbZ4Xと共通だ。
プラットフォームは合弁会社「EV C.A.スピリット」で基本骨格が決定されたEV専用のプラットフォームを採用。トヨタはe-TNGAと呼んでいるが、スバルはe-SGP(e-Subaru Global Platform)と呼称している。
EV専用設計のモジュラープラットフォームで、今後登場するEVもこのプラットフォームが採用されることになる。このプラットフォームは、フロア面にバッテリーを搭載し、内燃エンジンより容積が小さいモーター駆動の特長を生かしたロングホイールベース、低重心など、他社のEVプラットフォームと同様の特長を持っているが、衝突安全性、衝突時のコンパティビリティ、ボディ剛性の高さなどに特に注力しているという。
ソルテラはFF駆動と前後にモーターを搭載したAWDをラインアップ。AWDは長年蓄積してきた4つのタイヤを緻密に制御する技術と、モーターならではの高い応答性や自在な前後駆動力配分を活かし、4輪のグリップ力を最大限に使った安心感の高い走りを実現しているという。
モーター出力は、FFモデルでは150kW(204ps)、AWDモデルはフロント、リヤともに80kW(109ps)で、トータル出力は160kW(218ps)だ。
また、SUVモデルらしく悪路での走破性を高めるX-MODEを採用。同時に悪路でも車両を安定させながら一定速度での走行を可能にするグリップコントロールを追加し、悪路での走行安定性を高めている。なお最低地上高はSUVにふさわしく210mmとしている。
搭載されるリチウムイオンバッテリーの容量は71.4kWh、総電力355V。航続距離はWLTCモードでFFは530km、AWDは460km前後とされている。また充電は、普通充電で最大6.6kW、急速充電では最大150kW出力機に対応しており、この150kW急速充電を使用すれば10分間で100km走行分を充電できることになる。ただ、日本においては150kW急速充電器の普及はまだ始まったばかりだ。
サスペンションはフロントがストラット式、リヤがダブルウイッシュボーン式。電動パワーステアリングは、スバル初となるラック軸並行タイプを採用。タイヤは18インチ、上級グレードは20インチとしている。
なおソルテラはbZ4Xと同様に、2022年夏頃にグローバルで発売を開発する予定になっている。