スバル レヴォーグSTIスポーツEX試乗 ボクサーサウンドが聞きたい(1.8Lターボ+CVT AWD)

スバル レヴォーグはこれまで当サイトでも多くの情報をお伝えしてきた。クルマづくりが一変し、欧州車と同様の製造方法のインナーフレーム構造になり、すべての面で大幅なレベルアップが図られたとお伝えしてきた。今回の試乗は、一般公道を中心に3日間に渡り長時間試乗することができた。大きく進化した2代目レヴォーグの「実際」をお伝えしよう。

レヴォーグSTI Sport EXに試乗した

モードによる変化

試乗車はレヴォーグSTI Sport EXグレードで、アイサイトXも標準装備されているモデル。車両価格は412万5000円(税込み)。レザーシートや安全装備もフル搭載となっているため、特別な目的がなければ、オプション装備は不要というほど充実している。

これまでも欧州プレミアムモデルと比肩できるレベルというのをお伝えしているが、改めて日常使いにおいても、その評価が間違っていなかったことを感じるのだ。ドアの開閉の質感は、まさにそうした違いを感じやすいポイントで、ドア閉めという行為だけでも上質であることが伝わってくる。

STIスポーツEXグレードには、初の電子制御ダンパーが搭載され、ドライブモードに連動してクルマのキャラクターが変化する振り幅が広いところもポイントだ。特にスポーツ、スポーツ+のモードになると、俊敏さが増し、運転に慣れている、あるいはジワり操作ができる人には、期待通りのレスポンスを示すので、運転が一層楽しく感じるのは間違いない。

一方で、運転に不慣れな人は「動きすぎる」という印象を持つかもしれない。実は、不慣れな人ほどジワり操作は難しく、アクセル、ブレーキ、ハンドルを大胆に大きく動かしてしまう傾向にある。だから、運転に不慣れな人ほど、クルマが素直に動くということを初体験してしまうのだ。不慣れだった人がいつの間にか「運転がしやすい」と感じるようになり、いままで乗ってたクルマはすごくハンドルを切らないと曲がらない、といったことを言い出すから面白い。

メカメカしくコックピット感のあるドライバーズシート

脳ミソを使わない

さらに注目はアイサイトだ。運転支援システムのアイサイトが進化し、広角化したステレオカメラと4つのレーダーによって360度センシングすることが可能になった。これは交差点での右左折や出会い頭の衝突回避に役立つ。そのアイサイトにプラスして、高度運転支援システムとなるアイサイトXは、高精度3Dマップと準天頂みちびきやGPSからの情報を組み合わせ、これまでにないほど正確に自車位置を測定している。

アイサイトXは、実際の高速道路で運転負荷軽減に大いに役立つシーンを改めて体験した。それは道路工事や交通量が多いことから起こる自然渋滞で、アイサイトXを稼働させ前車を追従させていると頭を使うことなく走行していることに気づいたのだ。

マニュアル運転では、ゴーストップが連続的に起こる状況では、車間を空けすぎず、詰め過ぎないようにアクセル、ブレーキを駆使する。この行為は目からの情報を頭で判断し、予測しながら手足を動かしているわけだが、アイサイトXを稼働すると、そうしたゴーストップの時も車間維持はシステムが行ない、しかもそれが不安なく、自然なゴーストップをするので、自分の脳で予測・判断することを止めていることに気づくのだ。こうしたことからも運転疲労軽減は大きなメリットであるというのを実感したのだ。

せっかくの水平対向エンジン

さて、新開発のCB18型エンジンと8割が新部品となった新型CVTの組み合わせでは、まずCVTであると感じるシーンがほとんどない。滑らかな加速と力強さがあり、スリップしているようなあのラバーバンドフィールは感じないのだ。

大量の空気を過給するターボエンジンは、希薄燃焼も行ない最大熱効率40%を達成している。つまり、燃費がいい。今回の試乗でも500kmを走行し燃費計では14.7km/Lを示していた。弱点だった燃費も改善できているという実感があった。

気になるポイントとしては、新型レヴォーグは、綺麗な路面だとものすごく静粛性が高く滑らかに走行できるので、そうした場面ではエンジン音は抑え、滑らかさ、上質さを感じさせ、ドライブモードでスポーツモードを選んだときは、ぜひ水平対向エンジンのサウンドを聞かせてほしい。スポーツモードを選択するということは、ドライバー心理は「走り」だ。音から来る別ベクトルの上質感を演出してほしいところだ。

それともう1点、メーターパネルとセンタークラスターの大型画面に表示される情報が多いという点。飛行機のコックピット感があっていい、という意見もあるし情報のダブリ表示は不要という意見もある。例えば時計、外気温など常に両方のモニターに表示されている。

インターフェイスの変化は音声認識なども出てきていることから、ミニマルが流行になっているものの、市場ユーザーの意見は「あれはないの?」という欲しがる気質は残っている。上位のフル装備モデルから売れる日本独特の心理からすると「なんでもあります」というのがベストとなる。その結果、インターフェイスが複雑になってしまう、ということが起きているように感じた。この先、マルチモーダル機能も増えるわけで、機能はフルに欲しいが見た目はシンプルにというのが課題になるだろう。

<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

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