スバル「レガシィ アウトバック」総合雪国性能体験ドライブ 〜福島会津編〜

SUBARUのフラッグシップモデル「レガシィ アウトバック」で総合雪国性能を体験するドライブに出かけてきた。

レガシィアウトバック「Limited EX」、ボディカラーはサファイアブルー・パール

現行6代目レガシィ アウトバックは2021年10月にフルモデルチェンジを行ない、SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)+フルインナーフレーム構造のボディになり一新されている。この時にナビを含むインターフェイス系も刷新され、11.6インチサイズの縦型大型モニターとなり、アイサイトXが標準装備されたことも話題になった。

アウトバックは名前からもイメージされるように、郊外、アウトドア、悪路といった場面での走破性の高さも魅力だが、今回雪国での実力も実体験しようと福島県会津エリアまでドライブしてきた。SUBARUの収益の70%程度が北米だが、その中で「スノーベルト」と呼ばれる雪国エリアで人気に火がつき、全米各地での人気に繋がった歴史がある。

その総合雪国性能を体験しに行ったわけだが、現在アウトバックは、SUBARUのフラッグシップモデルに位置付けられ全長4870mm、全幅1875mm、全高1675mm、ホイールベース2745mmと立派な体格になっている。さらに最低地上高は213mmとステーションワゴンタイプのSUVだが他のSUV以上のロードクリアランスになっている。

FMヨコハマ「THE MOTOR WEEKLY」のパーソナリティでモータージャーナリスト高橋アキラさんと舞台女優の山下麗奈さんもアウトバックで雪上ドライブを体験

搭載するパワーユニットはCB18型の1.8L水平対向4気筒直噴ターボ(DIT)で、130kW(177ps)、300Nmというスペック。燃費はWLTCモードで市街地モード9.6/郊外モード13.7/高速モード14.7km/L。グレードは「Limited EX」と「X-BRAK EX」の2タイプで、テスト車両はリミテッドEXだった。

総合雪国性能を一言でいうと「舗装から雪道、高速道路とどんな道でも何もせず、普通に走行できた」ということ。雪道になったから、とか高速走行だからといった道路の状況変化に対してドライバーは何も操作することなく、普通に走行できる性能があるということだ。

その性能の高さを司るもののひとつに、シンメトリカル・フルタイムAWDがある。水平対向4気筒エンジンはエンジン高も低く、重量物のエンジンを低い位置に搭載でき、そして左右対称にレイアウトできる特徴がある。こうしたことが、車両の運動性能にプラスに働いているのだ。

さらにトルクスプリット式のAWDは前後のトルク配分をセンサーで感知し、最適な駆動力を前後に配分する。そしてVDC(ヴィークル・ダイナミック・コントロール)で滑りを検知した場合や、コーナリング時の旋回性を上げるために、4輪にあるブレーキを独立してつまむことで車両の安定性を確保する性能を持っている。

だから路面変化に対して、車両側で安全な走行ができるように制御し、ドライバーはタイヤの限界を超えないレベルを意識するだけで、全ての路面を安全に走行することが可能になるわけだ。

そのために、視界にも工夫があり雪国や極寒地で役に立つものとして、フロントワイパー、サイドドアミラーに熱線が仕込まれ、凍結や曇り対策が施されているのだ。これは走行中というより朝の出庫時に非常に役立つ機能だ。残念ながら試乗時は極寒ではあるものの快晴かつ乾燥した空気だったため、この機能を実感することはなかったが、便利さは容易に想像できる。

18インチアルミホイールに横浜ゴムのiceGUARD SUV G075が装着されていた

またリヤワイパーもフロントワイパーが稼働している場合、リバースギヤにシフトすると自動で作動する。走行時の巻き上げで付着した粉塵や雪で後方視界が悪いような場面でも役に立つというわけ。これらはリミテッドEXには標準装備されている。

室内ではシートヒーターの充実がよかった。テスト車のシートはメーカーオプションのナッパ・レザーだったので、駐車後のシートは冷え冷えで、とても冷たい。そんな時、シートヒーターが役に立つが、フロント左右だけでなく後席左右にも装備されているのはありがたい。このシートヒーターも同じく標準装備されている。

ディスプレイの操作でシートヒーターをコントロール
後席は2段階で温度調節が可能

そしてドライバーにはステアリングヒーターも標準装備され、手袋をしたままハンドルを握らなくてもOK。また空調は左右独立のフルオートエアコンが標準装備になっていた。

こうした快適装備で多人数乗車でテスト体験したが、単調な移動には音楽も聴きたくなり、メーカーオプションだったがハーマン・カードンのオーディオは心地よく、ボーカルが際立つセッティングなのか、In car Karaokeが楽しめたのだ。

さて、今回体験できなかったが、悪路に特化したX-MODE機能も搭載しているので、お伝えしておこう。雪道の急な上り坂や下り坂など路面のミューが極端に低い路面では大いに役立つ。こうした場合、ブレーキ操作、アクセル操作にはレベルの高い操作が求められるが、X-MODEを使えば容易にクリアできる。

タッチパネルにある車の絵をタッチすると、X-MODEの項目が出てきてタッチでON-OFFが切り替わる。これをオンにするとアクセル、ブレーキには一切触らずとも自動で上り、下りができる。また、このX-MODEはスタックした場合などでも役に立つ機能で、一晩駐車していたら雪で埋まったといった状況からでも脱出は容易にできるのだ。もちろん、このX-MODEも標準装備となっている。

ステアリングヒーターは30分でOFFになるタイマー機能付き
X-MODEのスイッチもディスプレイ上に

最後にSUBARUの安全に関する情報をお伝えすると、一言で安全といってもさまざまな状況があるがそれをSUBARUでは「0次安全」「走行安全」「予防安全」「衝突安全」そして「つながる安全」というドメインに分類し、それぞれのドメインに新技術を投入し安全性を高めている。

簡単に触れておくと、0次安全とは走行していない状態での安全で、たとえば視界の確保や死角の低減といったことなど。予防安全はアイサイトで代表されるように衝突危険回避などだ。そして衝突安全は万が一の衝突でもキャビンを守り、ドアが開閉できる堅牢さ持たせることなどで、走行安全はドライバーの意のままに走れることが安全につながるという哲学でもある。

最後のつながる安全はスターリンクのようにインフラなどとの協調により周囲情報を得ることで安全につなげるという考えで、こうした安全への取り組みは高く評価され、アウトバックは2021年のJNCAPでは5スターを獲得し大賞を受賞している。

雪上ドライブはほぼ未経験という山下さんも安心してアウトバックのハンドルを握っていた

特に走行安全という考え方はSUBARUらしさを象徴していると思う。これについては別の機会にお伝えしたい。そして衝突安全は冒頭で触れたフル・インナーフレーム構造は大きく役立っている。予防安全のアイサイトはいうまでもなくアイサイトXへと進化し、さらに研究開発が進められているのは言うまでもない。

こうした車両の総合安全性能を保ちながら総合雪国走行でも遺憾無く性能を発揮し、楽しく安全なドライブを楽しむことができたのだ。

ベース車両 レガシィ アウトバック:414万7000円〜429万円

メーカーオプション:ナッパレザーシート 17万6000円、ハーマンカードンサウンドシステム 13万2000円、サンルーフ 11万円 合計41万8000円

試乗車価格:470万8000円(Limited EX +上記オプション)

COTY
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