スバル GP/GJ型インプレッサ 新世代エンジンを搭載し、ブランドを高めたヒット作 

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2014年型インプレッサ SPORT 2.0 iSアイサイト Active Style

スバル インプレッサは、誕生した初代からCセグメントのグローバル戦略車という役目を担っている。しかしその後は、紆余曲折を経て、4世代目となるインプレッサは2011年11月に登場し、アメリカ市場でのサブコンパクト・クラスのど真ん中にポジションを置くことにした。ヨーロッパではCセグメントは市場の中心となる才色兼備の重要なモデルであるが、アメリカではサブコンパクトカーは、Cセグメントよりややボディサイズが大きな低価格帯の実用車といったイメージが強い。新型インプレッサはその中でトップの性能や質感を狙っているのだ。

第4世代のインプレッサは、大幅に改良されたプラットフォーム、最新世代のFB型エンジンを投入するなど、以後のスバルのクルマ造りの出発点となっている。もともとスバルのラインアップの中では、インプレッサが最初に新しいプラットフォームを採用する、という位置付けになっており、2016年初秋に登場予定の第5世代のインプレッサは、スバルの次世代プラットフォーム(名称はSGP)を採用することになっている。

コンセプト
GP/GJ型インプレッサの開発コンセプト

また、インプレッサに搭載するエンジンは、1989年デビューのEJ型系を中心としていたが、2010年に20年振りとなる新世代化が図られた新設計のFB型に生まれ変わった。このエンジンは、まず初めはフォレスターに搭載され、ついでインプレッサに搭載されている。EJ型エンジンはその間、毎年のように改良され続けてきたが、新しいFB型の登場により、EJ型としては、WRX STI用の高出力スポーツエンジン、EJ20/EJ25型だけが残り、それ以外の車種すべてでFA/FB型が採用されている。

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■ブランドの整理

第4世代のインプレッサの登場で、スバルのブランディングの変更が行なわれたことも注目すべきことだろう。サブコンパクトクラスに属するインプレッサ・セダン/ハッチバックを中心に置き、インプレッサのスポーツモデルのWRXはインプレッサWRXではなく、インプレッサから独立した「WRX」という新たなポジションが与えられ、WRX S4(セダン)、WRX STI(セダン)という2本立てのラインアップが誕生している。WRX S4はスポーティなセダンで、WRX STIはWRXのトップグレードで、さらに磨きをかけたスポーツセダンという位置づけになる。

一方、インプレッサからの派生したモデル、クロスオーバーの「XV」が独立ブランド化している。XVというクルマは3代目インプレッサのモデル末期に「インプレッサXV」として初登場しているが、第4世代のインプレッサのデビューから1年後に新型「XV」がデビュー。この新型XVからインプレッサの名称は消滅し「XV」という単独車名となっている。

つまりこれまで、スポーツモデルのWRX、クロスオーバーのXV、そしてインプレッサとワイドなラインアップから、インプレッサはピュアに機能、性能を重視したサブコンパクトに絞り、あとは独立したブランドとして展開することにした。こうすることでインプレッサ・ブランドを分かりやすくしたわけだ。

そういう意味で、第4世代のインプレッサは、これまでのモデルとは目指す世界が異なってきたわけだ。4代目は新しい価値を実現することを目指し、「New Value Class」が開発テーマとなった。単なる実用的なサブコンパクトカーではなく、クルマの本質的な楽しさ、軽快で気持ちの良い走りと、燃費など環境性能の進化やアイサイトの採用などを実現。さらにスタイリッシュなエクステリアと質感の高いインテリアとし、従来のCセグメントや実用車というカテゴリーの枠を破るクルマを目指している。結果的には主戦場であるアメリカ市場でも日本でも、成功と言える結果を残すことになった。

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5ドア・ハッチバックのインプレッサ Sport
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セダンのインプレッサ G4

■第4世代インプレッサとは
新生第4世代インプレッサのモデル展開は、5ドアハッチバック(Sport)と4ドアセダン(G4)の2種類のボディ、エンジンはFB16型、FB20型という自然吸気エンジンが2種類、そして駆動方式はFFとAWDの2種類としている。スバルとしてはオールAWDの戦略が決定済みだが、インプレッサはスバル車の中ではエントリーモデルと位置付けられ、価格戦略的な要素と法人需要を前提にFFモデルが設定されているのだ。そのためベースグレードの1.6iはFF/CVT(159万8400円)、5速MT/AWD(173万8800円)の組み合わせが設けられ、価格的にはBセグメントに対抗できるレベルとしている。

なお5ドア・ハッチバックとセダンという2種類のボディをラインアップしているが、日本の市場では5ドア・ハッチバックが70%を占め、「インプレッサといえば5ドア・ハッチバック」というイメージが強い。

エンジン諸元

エンジンは、前述の新世代エンジンが採用され、従来の1.6L車は1.5LのEL15型に、1.6LはFB16型、2.0LはFB20型をそれぞれ採用している。これらのエンジンは低中速のトルクを高め、燃費も大幅に向上させている。吸排気側に可変バルブタイミング機構を採用し、低負荷ではアトキンソンサイクル運転を行ない、また大量EGRを併用することで、燃費性能を向上させている。

リニアトロニックCVT
リニアトロニックCVT
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チェーン式CVTによりワイドなギヤ比に

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FB20型エンジン
可変バルブタイミング
可変バルブタイミング
狭角バルブ角とコンパクト燃焼室
狭角バルブ角とコンパクト燃焼室

FB系のエンジンの特徴は、ロングストローク、チェーン駆動式、バルブ挟み角の縮小、レギュラーガソリン仕様など最新技術を使用し、低中速域で扱いやすく経済的な実用エンジンという位置付けになっている。

フロント・サスペンション
フロント・サスペンション
リヤ・サスペンション
リヤ・サスペンション

サスペンションは、フロントがストラット式、リヤはマルチリンク式で、フロント・サブフレームの支持剛性能向上、リヤサスペンションの横剛性能向上と、コーナリング時のグリップ力のアップが年次ごとに改良されている。

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2014年11月登場のDタイプからサスペンションの取り付け剛性を大幅向上

■アイサイト搭載
またインプレッサには最初からアイサイト搭載モデルが設定された。当初はアイサイトver2が2.0i/2.0i Sに設定されたが、2014年10月からはアイサイトver3に進化している。

2013年10月に年次改良が行なわれ、室内の静粛性を高め、ステアリングまわりのデザインを変更。さらに、助手席パワーシートを展開。電動パワーステアリングのチューニングが加えられている。また12月には特別仕様車の2.0i-S Limited、2.0i-S Limited アイサイトを発売した。

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従来型より大幅に剛性が向上したGP/GJ型インプレッサのボディ骨格

2014年の年次改良では質感の向上、サスペンションの改良により乗り心地の向上、静粛性の向上が図られた。また1.6Lモデルに1.6i-Sが追加されている。さらに特別仕様車インプレッサ SPORT 2.0i アイサイト Active Styleも発売された。

2014年型インプレッサ SPORT 2.0 iSアイサイト Active Style
2014年型インプレッサ SPORT 2.0 iSアイサイト Active Style

2015年7月にはインプレッサ Sport ハイブリッドを発売。2014年発売のXVハイブリッドに次ぐハイブリッド第2弾だ。このモデルはアイサイトver2を標準装備し、ハイブリッドシステムとアイサイトの協調制御により「ECOクルーズコントロール」を実現し、全車速追従機能付クルーズコントロール作動時に、EV走行と回生ブレーキを最大限活用することで実用燃費の向上を図っているのがユニークだ。なおハイブリッドモデルは、FB20型をベースにさらに燃費性能を高めた専用エンジンを搭載している。

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インプレッサ Sport ハイブリッド
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2015年型インプレッサ Sport 15i S

2015年10月に年次改良が行なわれ、1.6LのAWDモデルにアイサイトver3を新設定。また、1.6Lのアイサイト搭載モデルは、タイヤ、ホイール、ブレーキサイズを2.0Lモデルと同等とし、リヤスタビライザーも採用するなど走りのパフォーマンスも向上。また全モデルが、WRX系に採用されたサスペンションの取り付け剛性の向上対策なども、取り入れられている。

そして2016年秋には第5世代となる新型インプレッサがデビューしている。SGPプラットフォームとなる新型は、大幅な進化を遂げ日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

インプレッサ Sport 諸元表
インプレッサ G4 諸元表
インプレッサSport ハイブリッド諸元表

スバル インプレッサ アーカイブ

スバル公式サイト

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