SUBARUインプレッサを公道で試乗してきた。2023年4月にサーキットで試乗し、旧型インプレッサとの乗り比べテストを行ない、進化のほどをお伝えしている。今回は日常使うレベルで、どう変化したのかをお伝えしよう。
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まずは、ボディサイズだ。全長4475mm、全幅1780mm、全高1515でCセグメントサイズの5人乗りハッチバックスタイル。試乗車は2.0Lのe-BOXERでCVTリニアトロニックAWDにマイルド・ハイブリッドという組み合わせ。スペックは145ps/6000rpm、188Nm/4000rpmで、燃費はWLTCモード16.0km/Lだ。最小回転半径5.3mで国内での日常使いとしてはまずまずのスペックだ。グレードはST-H。
インプレッサはSUBARUのスタンダードモデルに位置付けられ、多くのユーザーから支持される必要があるという宿命を背負ったモデル。一方で近年のSUVブームからハッチバックスタイルが売りにくいという声も聞こえるが、プラットフォームをはじめ多くを共有するクロストレックがあるため、Cセグメント領域をフルカバーしているラインアップと言える。
そうした量産車としての役目を持ちながら、公道で試乗した印象は上質で乗り心地がよく、そして静かに走行するので、長距離移動での疲労も軽減されるという印象だ。さらに安全装備でも新アイサイトを搭載し、ステレオカメラにプラスして広角をカバーするカメラを搭載し、より安全運転の支援に役立つ装備も持っている。
似て非なるデザイン
見た目のファーストインプレッションはリヤフェンダーのボリュームが印象に残る。前からAピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーとある中でDピラーから後端にかけて外板パネルが丸みを帯び、フェンダーを膨らませて力感のあるデザインになっている。
これはフルインナーフレーム構造がもたらした結果で、Dピラーでしっかりと剛性を作り出せたことで、外板はパネルとして使うことができるため、デザインに自由度が上がったからだ。以前のモデルではDピラーから後ろの外板も構造部材の役目を持っていたため、デザインに自由度がなくストレートなデザインをしていたのだ。
インテリアではシートの座り心地が変わった。以前を知らなくても座った瞬間柔らかい座り心地がいい、と誰もが感じると思う。SUBARUではシート形状の見直しを行ない、座面、背もたれのウレタン等の見直しも行なって、柔らかく感じるシートにしている。
そしてインパネ周りは、アウトバックやクロストレックに採用された新しいインターフェイスに統一され、センターに大きなモニターが設置されている。
文句なしの滑らかさと静粛性、乗り心地の良さ
走り出してすぐに感じるのは滑らかに動き出し、そして静かであることに上質さを感じる。サーキットではサスペンションのストロークの違いなどを感じたが、公道ではそれをしなやかさとして感じることができる。さらにダンロップのインプレッサ専用タイヤを開発したことも乗り心地や静粛性では効果が大きいということだ。
ハンドリングは、微少舵でもクルマは反応ししかも軽めの操舵フィールは気軽に操作できる。欧州車風にしっかりとした直進の座りを作るというより、もう少し柔軟さをもった優しい直進性に感じる。一般的にはそうした優しく感じる操舵フィールのモデルは微少舵での反応が鈍く、応答遅れをするが、そこが全くない。わずかに動かせば、クルマもわずかに動くので、運転はしやすいと思う。
サーキットでは少し物足りなさを感じたキャリーオーバーのFB20型自然吸気エンジンだが、公道走行ではそこまで力不足や応答遅れを感じることはなかった。コーナー出口での応答遅れやパワー不足を指摘したが、やはりサーキットという環境だから感じた部分で、公道では十分なパワーとレスポンスだったというわけだ。
先代インプレッサも熟成が進んだモデルだっただけに、不満に思う箇所は思い当たらなかった。それが新型となって登場した時には「やっぱり進化するんだなぁ」というのが正直なところ。新型インプレッサは、すべての領域で高いレベルを求めたエンジニアの努力が結集しているモデルだと感じられるのだ。
諸元
試乗車価格 (ST-H / AWD):338万2500円(税込)
車両本体価格:324万5000円(税込)
メーカーオプション:有料色(3万3000円)、ステアリングヒーター(1万6500円)、フロントシートヒーター(3万3000円)、ナビゲーション機能(8万8000円)