【SUPER GT2025】富士スピードウェイ公式テスト SUBARU BRZ GT300 マシンバランスを崩し消化不良気味

2025年3月29日(土)、30日(日)に静岡県小山町の富士スピードウェイでスーパーGTの開幕前最後の公式テストが行なわれた。

テストは4回のセッションがあり、初日の午前セッション1は2時間、午後からのセッション2も2時間。翌日のセッション3は2時間15分、そして最後のセッション4は2時間30分のセッションが行なわれた。

前日までは、日本中が暖かくなり夏日を記録するような気候だったが、一転し富士スピードウェイは真冬の環境となっていた。特に初日の気温は一桁台で路面温度も10°程度と低く、さらに雨量の多い雨が降り、予定していたテストを消化できないチームも多数あった。

SUBARU BRZ GT300は、新しいレインタイヤのテストも予定していたのだが、低温すぎて予定のテストはできない状況だった。また、雨量も多く、テスト走行時間中、どのチームも走行しないという時間帯もあるほどの雨量で、雨量が少なるタイミングを見てコースインを繰り返すようなテストになった。

小澤正弘総監督はこの最終テストに向けての狙いについて「今年(2025年)は、マシンを一新し、すべてが新しくなっているので、マイナートラブルも含め、細部まで見極め、万全の準備をする必要があります。またセッティングについてもPCUやパドルシフトも変更しているので、プログラムの確認も重要です」と話していた。

そうした課題を持ってテストに臨み、厳しい環境のなかでもシフトチェンジのプログクラム確認や、アンチラグ、点火タイミング、燃調などの制御も新しいPCUに交換したことによる走行確認を行なっていた。そうした中でもBRZ GT300はマシンのバランスがよく、走行している同条件の中では常にトップ3のタイムをマークしており2025年モデルの順調な仕上がりの良さを感じさせるものだった。

ところがセッション2の終盤、山内英輝がドライブ中に左のリヤタイヤが脱落しかけるトラブルが発生している。山内はマシンをコースサイドに止め、レッカーで回収することになった。

直接的な原因は、ホイールナットの緩みだったと言うが、小澤総監督によると「ホイールナットも新しくしたパーツのひとつで、従来と同じデザイン、材質なので、それが原因とは考えにくいのですが、右側にも緩みがでていたので、きちんと精査する必要があります」と話していた。

BRZ GT300は、結果的にマシン修復に時間がかかることから、そのままセッション2を終了し、翌日のテストに備えることとなった。

そして、今季はフロントタイヤのサイズが小さくなり、従来と同等の走りができるかは大きな課題のひとつだ。ダンロップタイヤの開発エンジニアは「小さくなった分、痛めやすくなりますので、タイヤ側でどこまで守れるかですね。また高いグリップ力を維持しながらの耐久性、グリップ力の持続性、前後バランスの最適化が必要です。ですから、コンパウンドや構造を変更して対応し、それに合わせてリヤも変更するといったテストを行なっています」と話す。

しかしながら、本番のレースでは遭遇しない低温と雨量のためダンロップの担当者は「いままでのところ、テスト項目の半分程度しか消化できていません」と言う。

Session3

迎えたセッション3は、ドライ路面となったが、相変わらず気温は低く、気温5°路面温度15°という条件で始まった。前日に確認できていない課題もあり、タイヤとのマッチング、マシン本体のセットアップ、そしてリザーブドライバーの奥本隼士(おくもと しゅんじ)のルーキーテストもこなす必要があった。

いつものように山内英輝がセットアップを担当し、コースインすると無線で「マシンのバランスが悪い。左右のバランスが悪い」と連絡があり、すぐさまピットイン。前日の左リヤ・サスペンション周りの修理をした際、アライメントも取り直しているのだが、走行してみるとどこかに狂いがあったようだ。

その後も、BRZ GT300の様子はおかしく、マシンに振動が出たり、コーナリング・バランスが崩れている。BRZ GT300は、セッション3開始から30分ほどピット内で修理が行なわれていた。それでも、根本的な解決には至らなかった様子だ。

そうしたコンディションで、山内はタイヤのマッチングを見る走行を繰り返しているが、ラップタイムはあがらず、ポジションも中盤から後ろの順位で走行している。

チームはもう一つの課題、ルーキーテストも必要だったため、そのまま奥本がステアリングを握った。

奥本は山内のタイムより1秒程度遅いタイムでラップタイムを揃えており、安定したタイムを刻んだ。走行を終えピットに戻った奥本は「今季のマシンは岡山でも乗せてもらい、今回もテストできてよかったです。バランスはアンダーが出るので、セットアップを詰める必要はあると思いますが、テストはタイムのばらつきを抑えたり、GT500のマシンへの対応だったり、というレースに必要なテクニックをテストされました。うまくできたと思います」と話していた。

また、前年までのBRZ GT300にも乗っているので、今季のマシンとの違いも聞いてみた。「今季はフロントタイヤが小径になっているのですが、そのネガな条件を全く感じないほど安定した走行ができました。全体に去年までのマシンとの大きな差というか、乗りにくさみたいなのは全くないです。今季は新車なので、正常進化しているのを感じます」と話す。

ルーキーテストを終えたあとBRZ GT300の残りの課題に対し、井口卓人がステアリングを握りテストを始めた。しかし、山内がコメントしているのと同様に、マシンのバランスは悪くタイムも伸びない。

井口は「バランスが悪いので、計測の意味がない」とコメントし、井上トラックエンジニアは、さまざまな対策をメカニックに指示をし、ジオメトリーの修正を行なった。トラックではFCY訓練が行われており、セットアップを変えたマシンで井口がコースに戻る。その後、コースオープンとなるが、他車のマシントラブルで赤旗となり、このセッション3は終了となった。

セッション3と4の間で、BRZ GT300は左のリヤサスペンションを交換している。アッパー&ロワリンクを交換し、バランスの悪さはどこに起因しているのか? 不明な状況での作業となった。

最終セッション

いよいよラストのセッション4だ。井口卓人が担当するが、整備が追いつかず10分ほど遅れてコースインした。この時気温10度、路面温度20度という状況で、タイヤ選択とマシンバランスの確認をすることになる。

また、PCUの制御確認も行ない、周回ごとに車内のスイッチを切り替える作業をドライバーは行なっていた。コスワース製のPCUとエアシフターから電気モーター式にシフターを変更しているため、アンチラグとの兼ね合いもありダウンシフトやシフトアップ制御を新しくしている。

一方でタイヤテストもしなければならず、セッション4の終盤、新しいタイヤをテストした。するとラップタイムは伸び、順位も中盤以降だったが、一気に10位まであがり、最後は8番手のタイムをマークすることに成功している。

ピットに戻った井口に話を聞くと「このタイヤはまだテスト段階でロングもできていないので、耐久性がわかりません。本番での投入はまだ先になると思います」というタイヤのようだった。

一方、マシンのバランスについて聞くと「なんでしょうね。難しいです。昨日のリヤタイヤが外れそうになったトラブルからおかしくなったので、どこかに物理的な原因があると思うんですが、それがわからないです」とスッキリできない様子だった。

小澤総監督も「テスト課題の半分くらいしか消化できない状況でした。バランスが悪いのはしっかり対応しないとですね。工場に戻ってしっかり調べる必要があります」というわけで、セッション4は待望のドライ路面になるものの、マシンが不調になるという噛み合わないテストになってしまった。

今季はニューマシンだけに、入念な準備をしていても予期しないトラブルが出ても不思議ではない。振り返ればシリーズチャンピオンを獲得した2021年もニューマシンになった年で、序盤はこまかなトラブルは出していた。しかし、マシンが安定しだすとポイントを確実に獲得し、表彰台にも上りチャンピオンを獲得した。2025年シーズンもその再現となるのか。開幕戦が待ち遠しい。

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