SUBARU/STIは東京オートサロン2023で今季のモータースポーツ活動の発表を行なった。
STI平岡泰雄社長は3つのカテゴリーのレースに参戦することを発表。中でも全日本ラリーへの参戦は2008年にWRCから撤退以来、14年ぶりのラリー競技参戦であり、ラリーファンからの熱い視線が集まっている。
参戦体制は「SUBARU Rally Challenge」という名称で、SUBARU/STIがサポートをしていた新井敏弘、蒲田卓麻の両チームを今季は運営サポートと車両開発サポートも行ない、JN1クラスに2台体制で参戦する。もちろん狙うのは打倒R5のシュコダ・ファビア、そしてGAZOO RacingのGRヤリスということになる。
ここ数年、JN1クラスではGRヤリスがトヨタGAZOO Racingとしてワークス体制で参戦し、勝田範彦がドライブするGRヤリスが速くWRX(VA型)では厳しい状況だった。さらに22年はWRCのR5規定で作られたシュコダ・ファビアをコバライネンがドライブし、シリーズチャンピオンを獲得している。
参戦車両はレギュレーションの変更に合わせ、新型WRX S4(VB型)を投入する。しかしながら、そのタイミングはシーズン途中ということで、おそらく第3戦、第4戦あたりになるだろう。マシンはこれまで以上の軽量化が可能になり、強いSUBARUのラリーを今一度見せることができると信じているとスピーチした。
GRヤリス、ファビアR5に対して23年からはSUBARU/STIがワークス体制で巻き返しを狙うというわけだ。
NBRもVB型で挑む
WRX S4はもう一つのカテゴリーNBRに2023年も参戦する。ニュルブルクリンク24時間レースには新型のVB型に6速シーケンシャルのヒューランド製トランスミッションへと換装し、FA24ターボをチューニングして参戦する。初のSGP(スバル・グローバルプラットフォーム)車での挑戦となり、そのポテンシャルの高さを実証したいと意気込みを語った。
参戦クラスはSP4Tクラスで、22年実績ではプライベーターのポルシェ・ケイマンが数台いる状況のため、クラス優勝の目標にプラスして予選ラップタイム8分51秒を目標タイムに設定した。VA型にEJ20型で参戦していた22年までは予選タイムに9分00秒の壁があったが、一気に10秒弱のタイムアップを目標にしている。また、総合ではSP8Tクラスも視野に入れつつトップでのゴールを目指し、総合順位でも上位を狙って挑むことになる。
チーム体制では総監督に辰己英治、監督沢田拓也でマシン製作はプロジェクトリーダーの渋谷直樹が指揮をとる。ドライバーはカルロ・ヴァン・ダム、ティム・シュリック、山内英輝、井口卓人、という4名体制で挑む。また全国のディーラーから選抜された精鋭のメカニック8名も参加しての挑戦になる。
スケジュールは4月のLNS、クォリファイング・レースを経て5月の本番を迎える。
チャンピオン奪還を狙うスーパーGT
そしてもう一つのカテゴリーがスーパーGT300クラスへの参戦だ。21年はシリーズチャンピオンを獲得し、2年連続のチャンピオンを狙っていたものの、最終戦を終えて2位フィニッシュとなった。
平岡社長からは、チャンピオン奪還の宣言もあり、注目されるシーズンとなる。マシンは変更なくBRZ GT300で、今季で3シーズン目にスライド採用する。ただ、ボディ関係でレギュレーションの変更が予定されており、市販車のシルエットをより強調した範囲へ変更されるということで、空力の変更がどのようになるのか気になるところだ。
チーム体制は変更なく総監督に小澤正弘(STI)、監督澤田稔(R&Dスポーツ)で、ドライバーは井口卓人、山内英輝のチャンピオンコンビだ。
2023年からはスーパーGTでもカーボンニュートラル燃料へ切り替わる。平岡社長からは「モータースポーツの新たな時代においても環境と走行性能を併せ持つ、強いSUBARU BRZをみせ王座奪回に向けて全力で戦う所存です」というコメントがあった。
そのほかGR86&BRZレースにはエントラントのサポートやパーツのサポートなどを行ない、ワンメイクレースの盛り上げに協力していく予定だ。
そしてSUBARU技術本部の若手エンジニアが中心となるチーム体制でスーパー耐久ST-Qに引き続き参戦することが発表された。マシンはBRZで、継続使用しさらに開発項目を加えながらの挑戦になる。
カーボンニュートラル燃料のさらなる次のステージ、アイサイトをレースの現場に持ち込んでの開発など量産開発にフィードバックできる取り組み、そして人財育成を目的としての継続参戦も本井雅人チーム監督から発表された。
レギュラードライバーは井口卓人、山内英輝、そしてSUBARUの開発エンジニア廣田光一の3名体制で挑戦する。
2023年、SUBARU/STIのモータースポーツは、GT300のシリーズチャンピオン奪還、NBRのクラス優勝、そして全日本ラリーのシリーズチャンピオンを目指し、熱いシーズンになることは間違いない。