スバル 日本仕様の新型「BRZ」を詳解

スバルは2021年4月5日、トヨタGAZOOレーシングと共同でオンラインイベントを開催し、2代目となる国内仕様の新型BRZ(プロトタイプ)を発表しました。このイベントは、トヨタ・スバルのアライアンスを強調しつつ、新型のGR86とBRZの共同発表を行なったという点がポイントで、ニューモデルの詳細については後日に持ち越しとなっています。また発売はGR86より少し早めの2021年夏と発表されています。

イベントに登場したGAZOOレーシングの佐藤恒治プレジデント(左)とスバルの藤貫哲郎・最高技術責任者

2社のアライアンス関係をアピール

オンラインイベントでは、トヨタのGRレーシングの開発陣とスバルの開発陣が顔を揃え、共同開発の状況を語り、初代86/BRZの開発より一段とスムーズな開発が行なわれことがアピールされています。

初代モデルではトヨタ側がコイルスプリングのレートを変更したり、ブレーキパッドに専用品を主張したのと同様に、今回も開発終了が迫っていた時期に、プロトタイプに試乗した豊田章男社長から、よりGAZOOレーシングらしいテイストを求め、急遽GR86のコイルスプリング、ダンパーをより固める方向に変更する、などの経緯もあり、よりGRらしさへのこだわりがありました。

新型BRZは、2020年11月18日にカリフォルニア州のサーキットでワールドプレミアを行なっていますが、そのモデルは左ハンドルのアメリカ仕様で、今回初めて日本仕様が発表されたことになります。

ニューモデルの基本的コンセプトである低重心、軽量、精度の高いステアリングや意のままのハンドリング性能の追求、2+2パッケージなどは不変で、専用プラットフォームも継承しています。

大きな進化ポイントは、モアパワーという市場からの声に応えて2.4LのFA24型自然吸気エンジンを搭載し、パワー、トルクともアップし、さらにインナーボディ構造を採用したことで、ボディ剛性、ボディ全体の質感が大幅にアップグレードしています。

新型BRZの概要

ニューモデルのボディは、全長4265mm、全幅1775mm、全高1310mm、ホイールベース2575mmで、全長が約20mm延長され、全高が10mm低下、ホイールベースが5mm伸ばされています。

FR専用プラットフォームに新たにインナーフレーム構造を採用。赤色部はアルミパネル

ニューモデルは従来のFR専用プラットフォームを継承しながらも、スバルグローバルプラットフォーム(SGP)の開発から得たノウハウを追加し、新たにインナーフレーム構造や構造用接着剤などの採用によりボディを大幅にグレードアップさせ、初代モデルに対しフロント横曲げ剛性を約60%、ねじり剛性を約50%と剛性が高められています。

またルーフ、ボンネット、フロントフェンダーは軽量なアルミパネルを採用し、駆動系などの重量増を抑制し、結果的に車両重量も初代モデル並みになっています。またさらなる低重心化を追求するなど、運動性能を高めています。

目指したのは意のままの走り、リニアでコントロールしやすい操縦性と俊敏性の両立で、従来よりステアリング操作に対する応答性を高め、より軽快な回頭性能、旋回時のトラクション性能を向上させています。

また今回から18インチアルミホイール装着車には、215/40R18サイズのミシュラン・パイロットスポーツ4というハイパフォーマンスタイヤを装備していることも注目点です。

D-4Sを採用したFA24型エンジン

搭載エンジンは、アメリカ向けのFA24型を採用し、2.4Lの自然吸気のスポーツエンジンとしてチューニング。特に最大トルク250Nmを3700rpmと低い回転数で発生させることで動力性能を高めています。このGR86/BRZ専用エンジンは、トヨタD-4S(直噴/ポート噴射併用)、吸排気可変バルブタイミングを装備し、低フリクション、ハイレスポンス、高回転までの滑らかな吹け上がりを実現しています。

なおエンジンサウンドの演出は、従来型は吸気音クリエーターによる音を室内に導入する機械式でしたが、新型は本格的なコンピューター/スピーカーによるサウンド・デザインを採用し、より高揚感のあるサウンド演出を実現しています。

トランスミッションは6速MT、6速ATを設定していますが、新世代化されており、特にAT制御は大幅に進化しています。なおATモデルにはアイサイトが標準装備され、プリクラッシュ・ブレーキ以外に全車速追従機能付クルーズコントロール機能を備えています。

デザイン面では、BRZはボンネット前端がグリルに回り込む形になり、ボンネット先端の位置が従来より低められています。またグリル左右のエアインテーク、フロントホイール後部のエアアウトレットはダミーではなく、ボンネット内部のエアを積極的にボディ側面に流すことでダウンフォースを向上させる狙いになっています。また、BRZのヘッドライトはC字形のLEDシグネチャーランプのデザインにしている特長があります。

インテリアは、シンプルな水平基調のインストルメントパネルと、低く設置したメーターバイザーにより、広い視界とドライバー重視のデザインを両立。センターコンソール部の操作系スイッチは従来通りのデザインとなっています。

メーターパネルは7インチTFT液晶ディスプレイとセグメント液晶パネルを組み合わせたデジタルメーターを採用。日常の運転からスポーツ走行時まで、あらゆる状況下で見やすいデザインとなっています。

なお新型BRZはGR86とともにスーパーGT第1戦(岡山)で一般公開もされる予定になっています。

BRZ諸元表

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