2017年11月6日、スバルは2018年3月期の第2四半期業績を発表した。完成検査の不正問題でマスコミの注目を集める中で、やや通期予想を下方修正したことでネガティブな見解が報じられているが、それは正確とはいえない。
業績発表では、第2四半期の全世界販売台数は、前年同期比3.8%増の53万1000台となり、国内販売は、軽自動車が前年を下回ったものの、登録車はインプレッサ、XVが順調であったことで前年同月比21.0%増の8万2000台となった。
海外販売では、北米市場を中心にインプレッサやフォレスターが好調に推移し、海外合計として同1.1%増の44万9000台となっている。北米販売台数は9期連続、全世界販売台数と海外販売台数は6期連続で第2四半期累計期間として過去最高を記録している。
連結売上高は、為替変動や販売台数の増加などにより、同6.9%増の1兆6863億円。為替変動の利益を受けたのは他の自動車メーカーと同じだ。
損益では、アメリカでの金利上昇に伴う販売費を中心とした諸経費、試験研究費の増加があったが、為替変動や売上構成の改善などにより、営業利益が前年同期比1.7%増となる2121億円。経常利益は前年同期比6.6%減の2127億円、当期純利益は、エアバッグ関連損失引当金813億円を特別損失として計上したことで前年同期比48.1%減の850億円となっている。
通期業績見通は、前回予想(2017年8月25日)に対して、為替変動なども想定されるが、販売台数の減少を織り込むことで、連結売上高3兆3800億円、営業利益3800億円、経常利益3820億円、当期純利益は2070億円にやや下方修正修正が行なわれている。とはいえ北米販売台数は9期連続、全世界販売台数は6期連続で過去最高となる見通しだ。
この下方修正が、多くのマスコミでは、完成検査の不正問題の影響、あるいはアメリカ、中国市場での販売の鈍化といったネガティブな論評が行なわれているが、完成検査の不正問題の国内販売に対する影響はそれほど大きいとは思えない。
またアメリカ、中国での販売については、2017年以降は全体の販売が鈍化傾向にあり、各メーカーによる販売競争が激化し、結果的に自動車メーカーが負担する販売奨励金(インセンティブ)額が増大し、利益率を悪化させつつある。
スバルは販売奨励金競争には参加しないというスタンスで、利益率を維持する戦略のため、アメリカ、中国では従来のような販売拡大を予想していないための下方修正だ。そのため、営業利益率は通期予想で12.0%を守るという方針だ。もちろんこの営業利益率は他のメーカーを大きく上回るレベルにある。