スバルは2024年11月1日、第2四半期の決算発表とともに、大崎篤社長がこれからの電動化をメインにした最新の企業戦略を明らかにした。
そのメインとなるのがゼロから新設されるEV生産に向けた大泉新工場をベースにした新しいモノつくりの構想だ。
EV開発、生産の新技術をエンジン搭載モデルにも適用
大泉新工場はEVの生産を前提にしており、最新の生産設備を導入するとともに、スバルが従来から行なってきた混流生産を新たな次元に引き上げることを目指している。
この目標に従い、開発手間の半減、部品点数の半減、生産工程の半減というクルマづくりに取り組む。そのために、部品の考え方、部品設計の手法なども一新し、さらに生産工場も革新する必要がある。
部品点数の半減では、サブフレームなどの大型複数部品の一体鋳造、複数部品の一体プレスなどの先進的な設計や製造なども想定されている。
大泉新工場は、最先端レベルのEV生産工場とされているが、生産体制によりフレキシビリティを持たせ、ハイブリッド・モデル、PHEVなども混流生産が加工な工場とすることも構想されている。そのため、モジュール生産方式を取り入れ、多様なサブ生産ラインを準備し、それを組み合わせることで、EV、ハイブリッド、PHEVを状況に応じて生産することができるようにする。
新工場は完全にデジタル化することで、生産の様々なプロセスはデータで可視化され、リアルタイムに変更が反映されることになる。データに基づきすぐ行動ができるため、サブ生産ラインの組み換えなどのスピードと質は飛躍的な向上をすることになる。
つまり最新のEVの開発、生産システムをエンジン搭載モデルにも適用する新たなクルマづくりを目指し、大泉新工場の柔軟性を高めるのだ。またクルマから見れば、EV関連技術を投入することでエンジン搭載車の商品力を強化することを意味する。
協業の拡大
EVの本格的な開発、生産に向けて、スバルは他企業との協業もより拡大深化する方針だ。EVの鍵となるe-アクスルはアイシンとの共同開発が進められ、また、EVバッテリーの開発・生産はパナソニック・エナジーと協業することが決定しており、スバル用のバッテリー生産工場は大泉地区に建設することが決定している。
e-アクスルや駆動用バッテリーはEVの最重要コンポーネンツであり、これらに関しての協業プロジェクトはすでに進展している。
また半導体メーカーのAMDとの協業は、従来は次世代アイサイト用のSoCに、新たにAI推論を融合させることを目指すとしていたが、そうしたADASにとどまらず、車両運動制御も担当する統合ECUの実現に向けて協業することも発表された。
この統合ECUは、スバル独自のAWD制御なども含み、そのソフトウエアはすべてスバル内部での開発とすることで、コスト競争力を保ちつつ、車両の頭脳として知能化を図るとしている。
また、こうしたEV向けの統合ECUによる制御ノウハウはエンジン搭載車への活用、実装も想定されている。
スバルは2026年末までに現行のソルテラに加え、トヨタとの共同開発によるSUVタイプのEV2車種、スポーツ系のEV1車種の合計4車種をラインアップする計画であり、当初のEV生産は既存の矢島工場での混流生産が行なわれるが、大泉新工場の稼働が開始されることでスバルの新たなフェーズの幕が切って落とされることになる。