自動車の安全性評価を行なっているアメリカのIIHS(米国道路安全保険協会)は、乗用車のシートのシートベルトリマインダー(装着忘れ防止装置)を新たな評価項目に追加した。シートベルトリマインダーがないことで、アメリカで年間1500人の人命が失われる現状の改善を自動車メーカーに求めるためにこの評価項目を追加した。
IIHSのデビッド・ハーキイ会長は、「果的なシートベルトリマインダーにより、ベルト着用に無頓着な人にシートベルトを着用させることで、命を救うこともできます」と語っている。
シートベルトリマインダーに関するアメリカの法規は、運転席のシートベルトが装着されていない場合、4〜8秒間持続する警報音と、少なくとも60秒間持続する視覚的な警告表示とされているが、それでも装着しない人、装着し忘れる人が存在し、事故発生時の死亡率を高めているのだ。
現在のクルマはシートベルトリマインダーが装備されているが、今回の評価のポイントが低いクルマは、シートベルトを締めずに走り始めとインストルメントパネルに赤い警告灯が点滅し、断続的にチャイムが鳴り響くが、この警告音は車内の騒音に紛れてほとんど聞こえず、短時間で終了する。その約25秒後に、また5秒間チャイムが鳴り、この5秒間のオンと25秒間のオフが、2分間の評価時間いっぱい継続し、赤い警告灯は点灯したままとなるといった状態では、効果的にシートリマインダーが機能していないという評価となる。
IIHSの新しい評価基準は、主に警告音の音量の大小、時間、タイミングに基づいて、シートベルトリマインダーを「良い(Good)」、「許容範囲(Acceptable)」、「最低限(Marginal)」、「不可(Poor)」という4段階評価を採用している。
シートベルトリマインダーシステムは、10km/h以上で走行中に、前列の座席にベルトをしていない乗員がいること、または2列目のベルトが外れたことを検知すると、ダッシュボードディスプレイ、オーバーヘッドパネル、センターコンソールに音声信号と警告灯を発しなければならない。
警報音は車内の暗騒音を越えて聞こえる大きさでなければならず、前席のシートベルトが外れている場合、視覚と聴覚による警告を90秒以上継続しなければならない。2列目のシートベルトが外れている場合、警告音が30秒以上継続。2列目については、運転開始時に表示されるインジケーターも必要とされる。
前列の要件をすべて満たし、2列目の要件の一部または全部を満たしていない車両は、「許容範囲」の評価となり。前列の要件の一部または全部を満たしていないが、運転席と助手席の両方に対して8秒以上の警告音を含む車両は、「最低限」となり、8秒未満の警告音の場合は、他の条件を満たしているかどうかに関わらず、「不可」評価となる。
今回は、小型SUV、ミッドサイズSUVの合計26台を対象にして第1回目の評価が行なわれた。この評価で、2022年モデルのアセントとフォレスター(米国仕様車)が唯一の最高評価を獲得した。
アセントとフォレスターは、テストにおいて、人間の耳が周囲の車両の騒音と比較して約4倍大きく聞き取れる警告音を備え、この警告音がベルトを装着するまで継続する他に、前席と後席両方に求められるその他すべての要件も満たしており、最高評価を得ることができたのだ。