【スバル】富士重工のグローバル戦略とは 海外・日本ともインプレッサ、XVが好調

雑誌に載らない話vol56

3月期・第2四半期の決算発表を行う吉永CEO

2012年10月30日、富士重工は第2四半期の決算を発表した。2013年の第2四半期の売上高は8980億円で前年同期比で37.1%の増加。経常利益は453億円で、これも110%の増加で、好調の原因はインプレッサとXVの販売が日本はもちろんアメリカで好調を維持していることだ。

2013年のスバル車の第2四半期の販売台数は、アメリカ:16.5万台(+44.8%)、日本:7.2万台(普通乗用車は+26.6%、軽自動車は-27.6%)、中国:2.6万台(+40.8%)、欧州・ロシア:3.6万台(+81.1%)、その他:4.9万台(+20.2%)で、合計販売台数34.8万台は過去最高で、5期連続で販売は伸びている。

特にアメリカ市場では上期で16.4万台が販売され、年間販売台数予測では33万台を超えるレベルで、過去最高となるのは確実なのだ。つまりスバルにとってアメリカ市場がダントツの稼ぎ頭となっている。
吉永社長は、アメリカでの好調はアウトランダー、インプレッサ、XVなど4WDによるドライビングプレジャーと燃費性能の両立など商品力の高さ、IIHSで3年連続全車最高評価を獲得するなど安全性に対する高い評価、ディーラー販売力や質的な強化、販売店報奨金や値引きに依存せず、リセール価格を高めるマーケティングなどが好循環している結果だと語っている。

その一方で、中国は前期は好調だったが下期は政治状況が悪化したことで一転して苦戦となりつつあり、年度合計としては当初予想とは異なりマイナスが予想される。当面は171店舗あるディーラーへの来店促進、ディーラーへの経営支援を行うという。
ただし、中国市場のマイナス分、つまり中国向けのクルマは日本、アメリカ市場でのバックオーバー状況を解消することで減産など生産面への影響はないという。

またヨーロッパも欧州危機の影響で当初計画の年間8.2万台を6.6万台へと約16%下方修正している。このように中国やヨーロッパは先行き不透明感があるものの、メイン市場であるアメリカ、日本での好調により過去最高の結果を出しているのが現状だ。
この結果、日本、アメリカでの生産能力が限界に達しており、生産能力をできる限り増強している。2012年8月に太田の本工場はメインとなるBRZ/86以外にインプレッサ/XVの混流ライン化を開始し年産ベースで5万台を上乗せした15万台体制に。さらに、2013年夏までに3万台を上積みして18万台体制にまで増強する計画だという。

アメリカ市場でヒットを続けるインプレッサ G4 セダン

インプレッサ、XVのメインは矢島工場だが、矢島工場の2ライン、レガシィ・ラインとインプレッサ・ラインのいずれでもXVは生産できるブリッジ生産方式を採用しているが、インプレッサ、XVは本工場でBRZ/86ラインで生産できる混流ラインとしたブリッジ生産方式を採用したのだ。BRZ/86は現在はフル生産だが、将来的には生産数の低減が予想されるため、それをインプレッサ、XVがカバーする形になるのだ。そのためのフレキシブルなブリッジ生産体制としている。

XVは日本でも好調だが、アメリカでもコンパクト・クロスオーバーとして高評価

もちろんアメリカ市場での販売拡大に対応するためには、現地工場であるスバル・インディアナ・オートモーティブ(SIA)での生産能力拡大が急務だが、こちらは2014年夏を目処に3万台を上乗せし、年産20万台体制にするとしている。

この11月には、5年振りにフルモデルチェンジされる新型フォレスターが登場する。このフォレスターもアメリカ、ヨーロッパ、中国などで主力車種になる見込みで、さらにスバル全体の販売台数を押し上げる役割が与えられている。

スバル公式サイト

富士重工公式サイト

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